2022年11月17日
発行元:(株)資生堂
研究・サプライネットワーク
資生堂、タンパク質繊維を用いた化粧品原料をSpiberと共同開発し、製品へ活用
~機能性と持続可能性を両立し得る「循環型」原料~
資生堂は、Spiber株式会社(以下、Spiber(スパイバー))が開発した、植物由来のバイオマスを原材料とし、生分解性を有する※1構造タンパク質「Brewed Protein™️繊維」を基に、製品への活用を見据えた化粧品原料の共同開発を行いました。Spiberの原料を配合した化粧品が上市に至るのは、今回が初めてです。本素材は、環境へ配慮しながら、しなやかで美しいまつ毛を演出するマスカラファイバーとして資生堂の製品に配合するほか、今後当社の製品開発に広く活用を検討していきます。
資生堂は、社名の由来でもある「万物資生」※2の考え方や、独自の R&D 理念である「DYNAMIC HARMONY」にもとづいた「Premium/Sustainability」というアプローチで、高い機能性と持続可能性を両立する「循環型」の原料・製品開発を進めています。
※1 未加工のBrewed Protein™繊維について、海水、淡水、土壌など様々な自然環境下での生分解を実証済み(海水および淡水での試験は、それぞれASTM D6691およびISO 14851に準拠して実施。海水試験では30日以内で70%以上の生分解を確認)。
※2 中国の古典「易経」の一節、「至哉坤元 万物資生(大地の徳はなんと素晴らしいものであろうか、すべてのものはここから生まれる)」の一部
Brewed Protein™️繊維を基にサステナブルな化粧品原料を共同開発
Spiberが独自技術によって開発したBrewed Protein™️繊維※3は、サトウキビやトウモロコシ由来の糖類など植物由来のバイオマスを主原料に、微生物による発酵プロセスで生産される構造タンパク質繊維で、生分解性が確認されています。これまで衣料品の原材料として多く活用されてきましたが、今回、当社の強みであるマテリアルサイエンスや、お客さまに寄り添った品質への高いこだわりを活かして、共同で化粧品原料の開発に取り組みました。化粧品原料としての安全性、安定性、機能性、使い心地など様々な観点から検討を重ね、Brewed Protein™️繊維の特徴を維持しながら、マスカラへの配合を実現しました。2021年12月にSpiberは、繊維をはじめとするBrewed Protein™️素材を化粧品原料として活用することが可能になる、INCI名登録を行っています※4。
※3 Brewed Protein™️は、日本およびその他の国におけるSpiber株式会社の商標または登録商標です。
https://spiber.inc/brewedprotein/(外部リンク)
※4 https://spiber.inc/news/brewed-protein-material-sr-polypeptide-1-has-been-registered-as-an-inci-name-an-international-labeling-name-for-cosmetic-ingredients/(外部リンク)
人にも地球環境にも優しい魅力的な「循環型」のものづくりをめざして
資生堂は企業使命である「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」の実現に向けて、資生堂の社名の由来でもある「万物資生」の考え方にもとづき、人、社会、地球環境に対する敬意を示しながら事業活動を進めてきました。R&D領域においても、高い機能性を追究しながら持続可能性に配慮した容器包装開発や、天然由来や生分解性の高い原料、廃棄部位を活用したアップサイクル原料の開発、原料の元となる植物の栽培など、「循環型」のものづくりに積極的に取り組んでいます。
参考:Spiber 株式会社
取締役兼代表執行役:関山和秀、本社:山形県鶴岡市覚岸寺字水上 234-1
構造タンパク質「Brewed Protein™素材」を開発する、山形県鶴岡市に拠点を置くバイオベンチャー。2007年設立。植物由来の糖類を原材料に使用し、微生物による発酵生産技術で次世代の新素材の開発・生産を手がける。タイにて、Spiber初となる量産プラントで Brewed Protein ポリマーの生産を開始。また米国にて協業先の ADM社と新たに量産体制を構築しており、早ければ2023年に稼働開始予定。
※このリリースに記載されている内容は発表時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご留意ください。