2026年04月16日
発行元:(株)資生堂
研究・サプライネットワーク
資生堂、加齢による深部血管の血流バランスの崩れが肌のたるみを引き起こすことを発見
~「べにばな」由来エキスとナイアシンアミドが血流を調整し、たるみ改善へ~
株式会社資生堂(以下、資生堂)は、米国・ウィスコンシン大学との共同研究により、顔の深部に存在する血管と筋肉の加齢変化を、MRI(磁気共鳴画像法)で解析し、加齢で深部血管の血流バランスが偏ることで、筋肉への栄養供給が滞り、肌のたるみを引き起こすことを発見しました。
また、「べにばな」由来エキスとナイアシンアミドの相乗効果が血流バランスを整えることを明らかにしました。
本研究の成果の一部は、「2023 ISMRM Annual Meeting & Exhibition(国際磁気共鳴医学学会年次総会)(2023年6月)」にて口頭発表されました。
研究背景
資生堂の血管研究では、加齢によって毛細血管が細く衰え、肌の弾力低下につながることや、毛細血管の状態が、シミの形成だけでなく改善プロセスにおいても密接に関係していることを解明してきました。しかし、毛細血管よりも太く、深部に存在する血管の加齢変化による影響については分かっていませんでした。
今回、ウィスコンシン大学との共同研究により、顔に存在する動脈の中で一番太い動脈と、毛細血管をつなぐ細動脈の加齢変化を、MRIで画像解析することで、顔全体の血流の加齢変化を確認しました(図2)。さらに、肌を支えている筋肉の状態を調べることで、たるみを引き起こす直接的な原因を探りました。
加齢によって深部血管の血流バランスが偏る
顔の皮下組織を流れる動脈は、首から顔へ血液を運ぶ主要な血管で、肌や筋肉に栄養や酸素を届けています。そこから分かれた細動脈は、血流量を細かく調節し、毛細血管を介して肌のすみずみまで血液を行き渡らせる役割を担っています。
それぞれの血管をMRIの一種であるMRA(磁気共鳴血管撮影法)で画像解析した結果、たるみのない若齢肌では、動脈と細動脈の血流量は一定でバランスが取れている一方、たるみのある高齢肌では、動脈の血流量が多く細動脈の血流量が少ないことが分かりました(図3)。
細動脈の血流量低下が筋肉に影響を及ぼし、たるみを引き起こす
続いて、肌を支えている筋肉の状態を調べました。資生堂のたるみ研究では、表情筋の機能低下がたるみ形成要因となることを解明しています。今回、頬上部付近にある大頬骨筋、上唇挙筋、咬筋をMRIでそれぞれ解析したところ、大頬骨筋において加齢により筋肉量が減少し、筋肉内に脂肪細胞が入り込む脂肪浸潤が認められました(図4)。したがって、細動脈の血流量低下により筋肉への栄養供給が不足し、大頬骨筋量や質が低下することで、肌のたるみを引き起こすことが示唆されました。
血流をコントロールする交感神経の働きを整える成分
血流バランスを改善するために、深部血管の血流をコントロールする交感神経に着目しました。交感神経は、細動脈をはじめとした血管の動きを調整し、血流バランスを保つ神経です。その働きが高まると血管は収縮して血流が減少し、働きが弱まると血管は広がって血流が増加します。この調整機能は、加齢によって酸化ストレスが蓄積すると、低下することが知られています。
今回、iPS細胞(人工多能性幹細胞)由来のヒト交感神経細胞モデルを培養し、交感神経の酸化ストレス耐性を評価した結果、「べにばな」由来エキスとナイアシンアミドにストレス耐性を増加させる効果があることを見出しました(図5)。これらのエキスは、組み合わせることでそれぞれ単独で使用するよりも高い効果を生み出し、交感神経細胞をより健康な状態に保てることが分かりました。
<今後の展望>
資生堂は、加齢に伴う深部血管の状態や血流の変化を、毛細血管研究で蓄積してきた知見と融合することで、顔全体の血管の全体像を明らかにしました。今後も血管研究を深化させ、「べにばな」由来エキスをはじめとする成分の相乗効果を活かしたソリューション開発を通じて、生活者のエイジング悩みに応える新たな価値創造を目指します。
※このリリースに記載されている内容は発表時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご留意ください。
