資生堂の化粧療法ハカセのブログ

第4期がん対策基本推進計画に「アピアランスケア」

今年3月に「第4期がん対策推進基本計画」が閣議決定されました。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001077564.pdf (外部サイトへのリンク)

2007年に第1期の計画が策定され、6年1期として見直しが行われています。本計画は、がん対策基本法に基づき政府が策定し、がん対策の総合的な推進と基本的方向について定めるもので、がんに関わる全国の医療機関はこの計画をもとに今後の活動を考えていきます。

第4期がん対策推進基本計画では、我々の活動にも関わる大きなテーマが加わりました。
それは、がん患者さんの社会的な問題への対策のひとつとして、明記された「アピアランスケア」です。第3期の計画では、社会的な問題のひとつとして、外見(アピアランス)の変化があると記載されていただけでしたが、第4期では大きな方針が記載されている概要版に「アピアランスケア」の文字が登場しました。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001077544.pdf (外部サイトへのリンク)

副作用による外見変化の悩みは、やはり心理社会的な影響が大きいため、医療現場でも何らかの対応が求められているということです。

アピアランスケアは、広義では「医学的・整容的・心理社会的支援を用いて、外見の変化を補完し、外見の変化に起因するがん患者の苦痛を軽減するケア」のことをいいます。アピアランスケアは、医療従事者の間で使われる言葉で、我々のような民間側では外見ケアという言葉を使います。

今回の計画書には、次のようなことが書かれています(本文より一部抜粋)。

  • 患者体験調査等*)によると、がん治療に伴う外見の変化に関する相談ができた患者(成人)の割合は、成人で28.3%(2018年)
  • 国はアピアランスケアの充実に向けて、拠点病院等を中心としたアピアランスケアに係る相談支援・情報提供体制の構築について検討する、との記載があります。
    *)患者体験調査報告書平成30年度調査
    https://www.ncc.go.jp/jp/cis/divisions/health_s/H30_all.pdf (外部サイトへのリンク)

2月のブログでも紹介しましたが、日本人は外見変化に関する相談を「しにくい」と感じている患者さんが他国に比べて多いようです。相談しにくいと感じていると、なかなか積極的には相談できないと思います。
https://corp.shiseido.com/seminar/jp/labo/blog/2023/0227.html

弊社は、昨年2月にがん治療の副作用による特有の美容上の悩みや、外見上の変化(肌の色変化、眉・まつ毛の脱毛など)に対し、性別を問わず誰もがスキンケアやメイクアップによってカバーできるテクニックをまとめた小冊子「外見ケアBOOK ~自分らしく、心地よく。~」を発行しました。

資生堂 ライフクオリティー メイクアップサイトからの
閲覧やダウンロードも可能です。
https://corp.shiseido.com/slqm/jp/cm.html

例えば、眉毛の脱毛対応として、ウィッグの前髪や眼鏡をかけることで脱毛部位を隠すという手段もアリですが、アイブロウを使って眉を描くことも有効な手段ですので、冊子では、脱毛した眉毛の描き方を紹介しています。相談しにくい人はもちろん、副作用による外見の変化でお悩みの方々にとって、お役に立てれば幸いです。

情報を提供することもアピアランスケア(外見ケア)になります。本ブログをご覧になった方は、是非、情報発信をして下さい。

今後も、化粧品会社としてできる情報発信をするとともに、医療機関の皆さまと連携して、地域で相談しやすい場づくりに取り組んでいきたいと思います。

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