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2024年02月22日

発行元:(株)資生堂

研究・サプライネットワーク

資生堂、ふたご研究から、スキンケアを含む生活習慣などが美肌の鍵である毛細血管に与える影響を発見

~肌・身体・心の関係性を解明し、資生堂独自の美のアルゴリズムの進化へ~

資生堂は、日本で唯一の体系的ふたご研究基盤を有する大阪大学大学院医学系研究科附属ツインリサーチセンター(以下「大阪大学ツインリサーチセンター」)※1との共同研究を通じて、肌・身体・心の関係性を解明する新たなアプローチとして “ふたご”を対象にした検討を行い、スキンケアを含む生活習慣が肌内部に与える影響※2を科学的に明らかにすることに成功しました。当社が独自に開発した皮ふの毛細血管可視化技術※3,4を用いて、一卵性のふたごの血管を解析したところ、遺伝情報が同じであっても生活習慣の違いにより、毛細血管の形状に違いがでる事を明らかにしました。さらに、ふたご間の毛細血管と肌内部との関係性を調べた結果、皮ふの毛細血管が適度に多い状態の場合、肌内部のコラーゲン密度が高く、酸素飽和度が高いという関係性を見出しました。これまでも、生活習慣により肌表面の状態が変わることは確認されてきましたが、今回の検証により、日々のスキンケアや生活習慣によって、皮ふの毛細血管を含む肌内部の状態も良好に保つことができる可能性を確認しました。
今後さらなる検討を行うことにより、後天的な因子(生活習慣、スキンケア、食生活など)と肌・身体・心の関係性を明らかにし、肌の健康状態を向上させるための革新的なアイテムやケア方法の開発に活用していく予定です。
本研究成果は、日本双生児研究学会 第38回学術講演会(2024/1/27)で発表しました。

※1 双生児研究基盤を整備しふたご研究を推進・支援する研究機関 https://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/twin/
※2 生まれつき(先天的)ではない、スキンケアや食生活・運動・睡眠習慣などの後天的な影響のこと
※3 肌を切らずに毛細血管を可視化することに成功 (2017年)https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000002265
※4 資生堂、顔全体の毛細血管を3次元で可視化することに成功 (2020年)https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000002992

図1.生活習慣の異なるふたご(姉妹)の肌と肌の血管 左側:血管の分布が均一、右側:血管の分布が不均一

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研究背景

資生堂は、肌状態や、血管やコラーゲンなどの肌内部を可視化する技術を数多く開発し、スキンケアに関連する多くの知見を創出してきました。肌状態と毛細血管は、密接に関わっていると考えられていますが、それらは生まれつきのものや生活習慣などの影響が複雑に絡み合うため、未解明なことが多くあります。そこで本研究では、一卵性のふたごを対象にすることにより、生まれつきではない生活習慣などが肌に及ぼしている影響を明らかにすることに取り組みました。

皮ふの毛細血管は生活習慣などの影響を受ける

資生堂は、長年の研究の中で皮ふの毛細血管と肌の弾力の関係性を見出してきました※5。一方で、皮ふの血管は顔の部位による差や個人差が大きく、これらが生まれつきのものなのか、それとも、生活習慣などの影響によるものなのかを見極めることが難しいという課題がありました。そこで今回、肌を傷つけることなく顔全体の皮ふの毛細血管を可視化する独自の計測技術※4を用い、一卵性のふたごの方々の血管を解析しました。その結果、生まれつきの影響がほぼ同じである一卵性のふたごであっても、皮ふの血管状態は異なっていることが明らかになりました(図1)。これにより、皮ふの毛細血管はスキンケアを含む生活習慣などの影響を受けている事を確認することができました。

※5 資生堂、肌の弾力と毛細血管の関係性を解明 (2019年)https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000002780

皮ふの毛細血管と肌状態との関係性を発見

更に研究を進め、皮ふの毛細血管と肌状態との関係性を調べました。大阪大学ツインリサーチセンターに登録されているボランティアの方々を対象に検討を行ったところ、一卵性のふたごのペア内で毛細血管が多い群は肌内部のコラーゲン密度が高く(図2)、酸素飽和度が高い結果を得ました。このことから、肌状態の変化は、年齢や先天的な要素によるものだけではなく、スキンケアを含む生活習慣などの積み重ねによって、毛細血管やコラーゲンなど肌内部から生じることが示唆されました。

図2.毛細血管が多いとコラーゲン密度が高い

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今後の展望

今回の研究結果をもとに、どのような生活習慣が肌内部状態に影響を与えるのかを今後も解析し、肌・身体・心の関係性解明※6,7,8を進めます。この研究により、美の鍵となる様々な要素をさらに見出していくとともに、化粧品だけではなく、食品、運動、睡眠など一人ひとりに合った提案を行い、当社の2030年のビジョン「Personal Beauty Wellness Company」を加速させていきます。

※6 資生堂、理化学研究所と共同で、 肌・身体・心の関係性に基づく新規肌予測モデルを開発 (2023年)
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003691
※7 資生堂、弘前大学 大学院 医学研究科に共同研究講座「ビューティウェルネス学研究講座」を開設 (2022年)
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003464
※8 資生堂とDeNAライフサイエンスがデータ解析に関する包括連携協定を締結 (2022年)
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003529

R&D戦略について:
資生堂の研究開発は、R&D戦略の3本柱である「Skin Beauty INNOVATION」、「Sustainability INNOVATION」、「Future Beauty INNOVATION」のもと推進しています。今回はその 1 つである「Future Beauty INNOVATION」のもと、肌・身体・心の関係性を明らかにし、当社独自の美のアルゴリズムを進化させることを目的に進められました。
・2022年統合レポート(ビューティーイノベーション)
https://corp.shiseido.com/report/jp/2022/value_creation/innovation
・キーワード
Future Beauty INNOVATION、肌・身体・心の関係性解明

※このリリースに記載されている内容は発表時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご留意ください。