2022年06月23日
発行元:(株)資生堂
研究・サプライネットワーク
資生堂 みらい開発研究所 堀場聡研究員 抗加齢医学会総会 最優秀演題賞を受賞
資生堂 みらい開発研究所 堀場聡(ほりばさとし)研究員が、第22回日本抗加齢医学会(※1)総会(2022/6/17-19)において、「IL-34発現量の低下にともなうマクロファージのM1/M2バランスの乱れは露光部皮膚のインフラマエイジングを引き起こす」というテーマで発表し、最優秀演題賞を受賞しました。本賞は、老化に関する多分野にわたる研究の中から、特に優れた研究発表に対して贈られる賞です。
当社は加齢や紫外線による皮膚の老化のメカニズムを、さまざまな角度から解き明かしてきました。当社は今後も医療分野など最先端の研究手法や知見を採り入れ、皮膚老化研究への取り組みを続けます。
※1 医師ならびに医生物研究者らが中心となって2001年に設立。老化の病的プロセスを予防する抗加齢医学を積極的介入する方法を追求・実践することにより、 生活者のQOL(クオリティー・オブ・ライフ:生活の質)の向上、健康寿命の伸展を図ることを目的としている。
https://www.anti-aging.gr.jp/
受賞研究発表の概要
■「IL-34発現量の低下にともなうマクロファージのM1/M2バランスの乱れは露光部皮膚のインフラマエイジングを引き起こす」
慢性炎症のメカニズムを明らかにすることは高齢化社会においてQOL(クオリティー・オブ・ライフ:生活の質)向上を目指す上では重要です。特に、慢性炎症が老化を促進する「インフラマエイジング」は様々な疾患の原因となる可能性が示されており、そのメカニズム解明が急がれています。日光に暴露されている(露光部)皮膚においては、慢性炎症が生じ、それによりシワやたるみが生じることが以前より示唆されてきましたが、その詳細なメカニズムはわかっていませんでした。本研究では、免疫細胞の一種であるマクロファージのバランスの乱れが露光部皮膚においてインフラマエイジングを引き起こし、さらに表皮から供給されるIL-34(※2)の減少がインフラマエイジング発生のメカニズムに関与する可能性を初めて示しました。
※2 細胞から分泌されるたんぱく質で、細胞間相互作用に関与するインターロイキンの一種で、2008年に同定された。特に皮膚では、ランゲルハンス細胞の維持に重要な因子として、多く発現していることが知られている。
【関連のニュースリリース】
資生堂、世界で初めてマクロファージのバランスが皮膚老化に関与することを発見(2020年)
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003038
資生堂、老化によるマクロファージのバランスの崩れがコラーゲン代謝に影響することを発見(2022年)
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003374
※このリリースに記載されている内容は発表時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご留意ください。