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2022年04月15日

発行元:(株)資生堂

研究・サプライネットワーク

資生堂、東京工業大学との共同研究で コラーゲン産生の高解像度ライブ撮影に成功

~独自成分コケモモ抽出物、アムラ抽出物のコラーゲン産生促進効果を可視化~

資生堂は、東京工業大学 田中利明助教らとの共同研究により、同助教らが開発した真皮線維芽細胞の中でのⅠ型コラーゲンの可視化技術を応用し、I型コラーゲンが産生される様子を高解像度でライブ撮影することに、世界に先駆けて成功しました。本技術を活用することで、コラーゲンの生成において重要な過程である「部分切断」の過程が細胞内で行われている様子について、コラーゲン一粒一粒まで精細に捉えることを可能にしました。また、当社が開発した独自成分が、真皮線維芽細胞においてⅠ型コラーゲンの産生を促進する様子を可視化することができました。
資生堂では独自のR&D理念『DYNAMIC HARMONY』のInside/Outsideというアプローチのもと、皮膚を構成する重要な成分の皮膚内部での様子に最先端の技術で迫り、研究を進めています。本研究の成果の一部は、生命科学一般を扱う学術雑誌「Life Science Alliance」にて2022年2月18日にオンラインで発表しました。

図1 真皮線維芽細胞においてⅠ型コラーゲンが細胞から産生されている様子(矢印) (黄色=コラーゲンの前駆体であるプロコラーゲン、緑=コラーゲン)(出典:東京工業大学 田中利明 助教)

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研究の背景

皮膚は老化すると、真皮に存在するⅠ型、Ⅲ型コラーゲンが減少するとともに変性し、肌のハリ・弾力が低下することが知られています。資生堂は1980年代からコラーゲンの研究を始め、様々な観察技術の開発や、真皮コラーゲンの産生を高める成分の開発を行ってきました。今回、独自のコラーゲンの可視化技術※1を有する東京工業大学 田中利明助教らとの共同研究により、細胞におけるコラーゲン産生の様子を、細胞やコラーゲンの構造を壊すことなく、精彩にライブ撮影することに挑みました。
※1 特許第6868232号


<参考>東京工業大学が有する独自のコラーゲン可視化技術
コラーゲン前駆体であるプロコラーゲン遺伝子 (procollagen Ia1鎖) に改変を加え、コラーゲン本体に緑色、コラーゲンC末端のC-プロペプチドに赤色の蛍光色素を導入することで、コラーゲン本体にC-プロペプチドが結合した状態のプロコラーゲンは黄色、成熟過程でC-プロペプチドが切断されると、緑色の蛍光を発色させる技術。詳細は東京工業大学のリリースをご確認ください。(https://www.titech.ac.jp/news/2022/063742)

線維芽細胞がコラーゲンを産生する様子を高解像度で精細にライブ撮影することに成功

本研究では、資生堂が強みとする皮膚科学研究によって培ってきた細胞観察・撮影技術を、共同研究先のコラーゲン可視化技術と組み合わせることにより、細胞の中でプロコラーゲンが作られ、コラーゲンとなり、細胞の中を輸送されて細胞外へ受け渡されるというコラーゲン生成の一連の様子を、コラーゲンの一粒一粒まで活き活きと高解像度でライブ撮影することに成功しました(図1)。この技術を活用することにより、これまでは明らかにされていなかったコラーゲン産生の詳細なメカニズムを研究できるようになり、コラーゲン産生を高める新たな成分の開発などに繋がることが期待されます。

独自成分がコラーゲン産生を促進する様子を初めて可視化

当社の先行研究で、ビタミンCが細胞におけるコラーゲン産生を促進することに加えて、当社独自成分であるリンゴンベリー抽出物とアムラ抽出物の添加により、さらにその産生が高まることを確認しています。今回開発した新たな可視化技術を用いてその様子を観察したところ、リンゴンベリー抽出物とアムラ抽出物の添加によりコラーゲンの産生量が増加する様子を精細に撮影することに成功しました(図2)。

図2 リンゴンベリー抽出物、アムラ抽出物が真皮線維芽細胞においてⅠ型コラーゲン(緑色部分)の産生を促進している様子

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今後の展望

共同研究先である東京工業大学の有する先端技術と、当社が培ってきた皮膚科学研究領域での細胞観察・撮影技術を融合させることで、これまで観察することができなかったコラーゲン生成の詳細な様子を、生細胞を用いて可視化することに成功しました。今回研究対象としたⅠ型コラーゲン以外にも、皮膚を含めた生体には様々な種類のコラーゲンタンパク質が存在しており、肌の美しさや全身の健康維持に重要な役割を担っています。今後は、こうした他の種類のコラーゲンについても詳細な動態の観察が可能になると考えられます。今後も、多くのお客さまにより機能性の高いビューティーケアを提供し、内外から健やかで美しい毎日をサポートするため、資生堂はコラーゲン研究に取り組んでいきます。

※このリリースに記載されている内容は発表時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご留意ください。