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2021年09月16日

発行元:(株)資生堂

研究・サプライネットワーク

資生堂、バイオフォトン測定を用いて紫外線による酸化ストレスをグローバルで確認

~世界中のお客さまに知っていただきたい紫外線ケアの重要性~

資生堂は、光電子増倍管(Photomultiplier Tube)による肌のバイオフォトン(UPE)※1測定技術を応用し、グローバルでお客さまの肌を研究した結果、紫外線による酸化ストレス※2は皮膚組織のメラニン量に関わらず生じること確認しました。また、本技術を用いて、酸化ストレスは紫外線照射直後だけでなく、その後も持続的に肌に蓄積することを明らかにしました。
資生堂の調査によると、国・地域ごとに日焼け止めの使用率には違いがあることがわかっていますが、今回の研究結果は、世界中のお客さまへ向けて、紫外線ダメージから肌を守ることの重要性をお伝えするものです。
今後もグローバルレベルで高く評価される研究開発力を強みとして革新的な価値を作り続け、当社の企業ミッションである「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(ビューティーイノベーションでよりよい世界を)」の実現に向け、世界中のお客さまへ美のイノベーションを届けます。
本研究成果は「生体医工学シンポジウム2021」(2021/9/17-18)で発表予定です。

※1:バイオフォトン(UPE (ultraweak photon emission)): 生体から発する目には見えない極めて微弱な光のこと。詳細は後述。
※2:紫外線ダメージなどにより酸化ストレスが高まると、肌本来がもつうるおい、透明感、ハリなどを保つ機能が低下します。

図1:紫外線による酸化ストレスは皮膚組織のメラニン量に関わらず生じることを確認

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研究背景

資生堂は長年にわたり、グローバルで多くのお客さまの肌や美容行動について調査をしてきました。2020年に実施したプレステージスキンケア使用実態調査※3によると、国・地域ごとに日焼け止め使用率にはバラつきがあり(図2)、紫外線ケアに対する意識の違いがあると考えられます。そこで、世界中の様々なお客さまの肌を想定し、紫外線ダメージに対する実際の肌の反応や影響を確認しました。

※3:2020年 資生堂調べ 15∼69歳 プレステージユーザー女性, N=各 約1200名

図2:日焼け止めの使用率(2020年 資生堂調べ)

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バイオフォトン(UPE)測定技術を活用した酸化ストレス評価法

肌からは、バイオフォトン(UPE)と呼ばれる目には見えない極めて微弱な光が発生しており、この微弱な光は酸化ストレスに伴い増加することが知られています。資生堂は2018年に、超高感度冷却CCDカメラによる測定技術を応用することで、バイオフォトン(UPE)を撮影し、肌を傷つけることなく、肌の酸化ストレスを高精度に可視化できるようになりました。
従来、紫外線による酸化ストレスを調べるためには、肌から採取した細胞や角層に対して試薬を用いて評価する方法が一般的でしたが、バイオフォトン(UPE)を用いた評価法は試薬を必要とせず、肌を傷つけることなく酸化ストレスを直接評価することが可能です。今回はこの評価法を用いて、従来の手法では困難であった、メラニン量が異なる皮膚組織の酸化ストレスの比較評価や、経時で酸化ストレス状態をモニターするなど、詳細な評価を行いました。

紫外線による酸化ストレスは皮膚組織のメラニン量に関わらず生じる

バイオフォトン(UPE)測定技術を活用し、紫外線(UVA)照射直後から照射2時間後までの酸化ストレスを評価しました。その結果、紫外線照射直後に急激に酸化ストレスが発生すること、そして照射2時間後になっても酸化ストレスが完全に無くなることはなく、持続することがわかりました(図1a)。続いて、メラニン量が異なる皮膚組織の酸化ストレスの比較評価を行ったところ、測定した全ての皮膚組織はメラニン量に関わらず、紫外線照射直後に酸化ストレスを受け(図1b)、照射から2時間経っても酸化ストレスが持続していること(図1c)がわかりました。
酸化ストレスは、肌本来がもつうるおい、透明感、ハリなどを保つ機能を低下させます。今回の研究成果は、健やかで美しい肌を維持するためには、日焼け止めを塗るなどして紫外線を防ぎ、肌の酸化ストレスの発生を抑制することや、紫外線を浴びた後に適切にダメージをケアすることが重要であることを科学的に示すものです。

今後も、グローバルに研究を展開し、世界中のお客さまが環境と共生しながら、内面から美しく、生きいきと輝くためのサポートができるよう、研究を進めていきます。

※このリリースに記載されている内容は発表時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご留意ください。