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化粧療法研究室ハカセのブログ

がんと就労 ~外見ケアいつ届ける?~

前回は、高齢者の就労と化粧について紹介しましたが、今回はがんサバイバーについて考えたいと思います。

昨年、国立がんセンターが発表したがんサバイバー(最年少19歳~最高齢106歳)を対象にした「患者体験調査報告書」では、がん診断時に仕事をしていた人は44.2%(60歳未満においては、84.7%)でした。そのうち「休職・休業はしたが、退職・廃業はしなかった」と回答した人は54%でした。一方で、退職・廃業した人は19.8%でした。
https://www.ncc.go.jp/jp/cis/divisions/health_s/H30_chapter5-3.pdf (外部サイトへのリンク)
職場復帰には、治療状況、心身状態、経済的事情、職場の理解や支援制度が重要な要因となります。いろんな課題がありますが、がんになっても、本人が希望すれば治療しながら働ける社会が望まれます。

では、復帰までにどのくらいの期間が必要かご存じでしょうか?

遠藤氏らの国内のがんサバイバー(1,278名)を対象にした調査によると、対象者の全体の結果では、病休開始日から時短勤務ができるまでは80日、フルタイム勤務ができるまでは201日と報告されています(一部がん種を抜粋し下表に示す)。

Endo et al, Journal of Cancer Survivorship 10: 320-329 2016をもとに作成

がん種 時短勤務ができるまでの日数
(中央値)
フルタイム勤務ができるまでの日数
(中央値)
全体 80 201
胃がん 62 124
乳がん 91 209
女性生殖器 83 172
男性生殖器 60.5 124.5

女性で罹患数が最も多い乳がんに関しては、時短勤務ができるまで約3か月、フルタイム勤務ができるまで約7か月です。

休職中はもちろんですが、職場復帰後も治療が続きますが、今年2/24のブログでもお伝えしましたように、抗がん剤の副作用による外見の悩みの上位に「色素沈着」があります。このような外見の悩みを今まで相談されたことがあるかどうかを、昨年9/30に紹介したラベンダーリング参加者にお聞きしました(下表)。

治療中の方(N=34):相談したことがある 23.5%、ない 76.5%。治療終了の方(N=20):相談したことがある 45.0%、ない 55.0%。
資生堂調べ

この結果から、治療中は外見の悩みについて相談しにくいと考えられます。
もちろん治療が最優先ですが、職場復帰を目指す、あるいは復帰が決まっているのであれば、外見ケアも考慮しつつ治療が進められてもよいのではないでしょうか?
サバイバーが相談しやすい環境づくりとして、医療従事者からの声掛け患者団体や身近な場所(生活圏)から外見ケアの情報発信などが考えられます。
当社としても医療機関、患者団体、地域と連携しながら、時短勤務あるいはフルタイム勤務ができるまでの期間に、外見ケアが届く仕組みづくりに努めてまいりたいと思います。

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