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化粧療法研究室ハカセのブログ

高齢期の握力や手指の器用さについて

4月23日にスポーツ庁は、昨年6~11月に実施した令和2年度体力・運動能力調査の速報値を公表しました。
https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/toukei/chousa04/tairyoku/kekka/1368159.htm (外部サイトへのリンク)
例年約65,000人分のデータが集まりますが、昨年は新型コロナウイルスの影響で、約6分の1のデータ数になったようです。こんなところにも新型コロナウイルスの影響がでています。

さて、身体機能の中で化粧行為にも関係する握力の結果(年代別)がこちらです。
なお、握力は全身の筋力を反映する重要な指標のひとつです。ご自身の握力はいかがでしょうか。

年代別握力のグラフ
令和2年度体力・運動能力調査の速報値をもとに筆者作成

ご覧のように、男女ともに40代をピークに低下していきます
数値としては、筋肉量などの影響もあり、男性より女性のほうが、握力が弱いのは仕方ないのですが、高齢になっても男性より女性が勝っている機能があることをご存知でしょうか?

それは手指運動機能、いわゆる手先(指先)の器用さです。
手指運動機能は、小さな穴に30秒間で何本ピンを差し込むことができるかを調べることで評価ができます。
研究や臨床で使用する道具はこちら https://www.tigermedical.jp/r369a.html (外部サイトへのリンク)

この方法で70代の男女を評価すると、明らかに女性ほうが手指の運動機能が高いとの報告があります(二階堂ら ヘルスプロモーションヘルスプ理学療法 Vol.6(2)2016、八田ら リハビリテーション医学 Vol.21(6) 1993)。

論文の考察では、高齢女性は家事動作を行っており,その際に手指機能動作を頻繁に行っているため、維持されているのでは、とのこと。
年代的に確かにそうかもしれませんが、私としては、化粧動作も影響していると推察しています。
ファンデーションのコンパクトを開けるとき、口紅を繰り出すとき、眉メイクをするとき、などの動作を想像してみて下さい。指先を使うシーンのオンパレードです。
長年、化粧をしている経験が手指運動機能に影響を与えると考えてもおかしくないのではないでしょうか?

握力に関しては、これまでの研究で、化粧をやめている要介護高齢者に化粧療法プログラムを実施することで、握力が向上した結果が得られています。
https://corp.shiseido.com/seminar/jp/labo/index.html
(ページ内の「身体」をご覧ください)

化粧を続けることで、ある程度の握力と手指の器用さを維持できる可能性があります。
この2つが維持されれば、好きな洋服を着る、料理をしておいしいものを食べるなど、日常生活をいつまでも楽しむことができるでしょう。

たかが化粧、されど化粧。化粧とともに人生100年時代を楽しみましょう。

私自身、握力が低下しはじめる年代に入りました。悲しいことに全国平均値を下回っています。。。
拙著にも書きましたが、私は、毎日眉を描いていますので、せめて手指の運動機能は維持したいと思います。

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