2021年11月17日
発行元:(株)資生堂
研究・サプライネットワーク
資生堂、進化した「Second Skin」技術で化粧品の枠を超えたビューティーケアへ
~ヒトの肌の可能性を広げる”第二の皮膚”~
資生堂は、2018年に米国のベンチャー企業Olivo Laboratoriesより取得した「Second Skin」技術※1を更に進化させ、従来の化粧品の枠を超えたビューティーケアの可能性を見出すことに成功しました。これまでに、「Second Skin」技術による『目袋の即時形状補正効果』については報告してきましたが、今回新たに『頬のたるみ(ほうれい線・マリオネットライン)の即時形状補正効果』を実現したことに加え、『連用によるたるみ・シワ改善効果』、『薬剤浸透促進効果』など、メイクアップ効果に留まらない価値を創出しました。本研究成果の一部は「国際化粧品技術者会連盟(IFSCC※2)カンクン(メキシコ)中間大会2021」(2021/10/18-10/28)にて発表しました。
本研究は、資生堂独自のR&D理念『DYNAMIC HARMONY』のFunctionality/ Japan Qualityというアプローチで研究を進めています。圧倒的効果と手軽な使いやすさを両立し、今後も肌悩みの即時カバー機能や、紫外線防御機能、使用部位の拡大など、これまでにない新たな価値の追求を続けていきます。
※1:米国ベンチャー企業Olivo Laboratoriesの「Second Skin」事業を取得(2018)https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000002349
※2:IFSCC: The International Federation of Societies of Cosmetic Chemists
世界中の化粧品技術者が集い、より高機能で安全な化粧品技術の開発に向けて取り組む国際機関
図1: 頬(マリオネットライン)の即時形状補正効果(メイクアップ効果によるもの)(右側:ANTERAで撮影)
Download Small Image[31.9KB] Download Large Image[155KB]研究背景
当社は2018年に、皮膚科学の世界的権威である米マサチューセッツ工科大学のRobert Langer博士らによって創設されたベンチャー企業Olivo Laboratories社より、ポリマーベースの基剤の上に、専用の基剤を重ねて塗ることで、肌と一体化し凹凸を補正する人工皮膚を肌上に形成する「Second Skin」技術を取得し、研究を重ねてきました。当社は既に、「Second Skin」技術による『目袋の即時形状補正効果』や、酸素や二酸化炭素を透過し、肌を乾燥から守るバリア効果を有し「第二の皮膚」とも呼べる特性をもつことを報告していますが、「Second Skin」技術を更に進化させるべく、検討を続けました。
進化した「Second Skin」技術
今回、「Second Skin」技術をさらに進化させ、新たに3つの効果を生み出すことに成功しました。
①頬のたるみ(ほうれい線・マリオネットライン)の即時形状補正効果
たるみとは重力で顔の形状が下垂した状態のことを指し、加齢とともに顔の各部位でたるみが起こります。特に目の下や頬に発生しやすく、このパーツのたるみが進行することで、見た目年齢の引き上げにつながります。そこで「Second Skin」技術を活用し、目袋よりも大きく深い、頬のたるみ補正に挑戦しました。頬上部のたるみによって生じるほうれい線や、頬下部のたるみによって生じるマリオネットラインに対し、肌に刻まれた線よりも上に、広範囲で「Second Skin」技術の膜を形成すると、「Second Skin」技術の強い形状補正効果によって、たるみが引き上げられ、ほうれい線やマリオネットラインを目立たなくすることに成功しました(図1,4)。
②連用によるたるみ・シワ改善効果
「Second Skin」技術を応用した試作品を連用することで、目袋のたるみやシワが改善することを見出しました。44歳~66歳の女性33名を対象にした連用試験において、8週間後には「Second Skin」技術のない素肌の状態で目袋の体積が平均13.3%減少し、目袋のシワグレード※3が20%改善したことを確認しました(図5)。「Second Skin」技術には使用時の即時形状補正効果に加え、肌悩みを根本から解決できる可能性があります。
※3:シワグレード(標準):日本香粧品学会策定のガイドラインに基づく、シワの指標(http://www.jcss.jp/journal/contents_guideline1.pdf)
③薬剤浸透促進効果
当社が開発した薬剤、4-メトキシサリチル酸カリウム塩(以下、4MSK)を塗布した部位を「Second Skin」技術の膜で覆うことで、肌内部への4MSKの浸透を高めることに成功しました。また、塗布2時間後に、角層中に含まれる4MSKの量を確認したところ、膜で覆うことにより角層中の4MSK量が高まることがわかりました(図7)。
今後の展望
「Second Skin」技術は、環境や加齢に左右されない、ヒトの肌のポテンシャルを超えて、もう一つの皮膚を創る発想のテクノロジーです。外部の環境から皮膚を守り、皮膚の形状を変化させ、皮膚そのものの機能を上げることができます。化粧品を超えた圧倒的な物理的効果で、お客さまの肌の悩みに応える新たな一手を提案していきます。今回得られた成果は、新たな製品やサービスの開発に活用していきます。
※このリリースに記載されている内容は発表時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご留意ください。