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2021年11月17日

発行元:(株)資生堂

研究・サプライネットワーク

資生堂、紫外線を肌に良い作用をもたらす光へと変換する革新技術を開発

~環境と共生し、その恵みから美を生みだす新発想~

資生堂は、これまで肌に悪影響を及ぼすとされてきた紫外線を、肌に良い作用をもたらす可視光(美肌光)へと変換し、ただ逃れるだけではなく、環境と共生しながら美へ導く革新的な技術を開発しました。太陽光を恵みと捉える“光合成”に着想を得た本研究は、藻類由来のSpirulinaエキスと天然鉱物由来の蛍光酸化亜鉛に、効率よく紫外線を可視光(美肌光)に変換する効果を見出し、紫外線による肌ダメージを回復させるとともにコラーゲンやヒアルロン酸の産生を高めることに成功しました。この技術を応用することで、太陽光のもと、お客さまがより一層アクティブで自由に日々の生活を楽しむことができる未来を目指します。本研究の成果の一部は「第31回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC※1)横浜大会2020」(2020/10/21-10/30)にて発表しました。
本研究は、資生堂独自のR&D理念『DYNAMIC HARMONY』のPremium/Sustainabilityというアプローチで進めています。これまでの化粧品では実現できなかった紫外線を美肌光へ変換する革新技術により環境との共生を実現することで、新たな価値をもつ製品やサービスの提供を目指し研究を進めていきます。
※1:IFSCC: The International Federation of Societies of Cosmetic Chemists
世界中の化粧品技術者が集い、より高機能で安全な化粧品技術の開発に向けて取り組む国際機関

図1: Spirulinaエキスと蛍光酸化亜鉛を配合することにより紫外線が可視光(美肌光)に変換される様子

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研究背景

当社は長年光研究に取り組み、これまでに様々な光による肌への影響を調べてきました。これまでに、紫外線が肌にもたらす酸化ストレスは光老化の原因の一つであることや、太陽光強度のブルーライトが肌にダメージを与えること、赤外線によって産生される熱が肌内部にダメージを与えることなどを解明し、健やかで美しい肌を保つために、紫外線など様々な光ダメージから肌を守ることが重要であるとお伝えしてきました。しかし、太陽の光は私たちの生命を育んできた命の源です。単に逃れるだけでなく、その恵みを生かして、共により良く生きることを目指し、肌に有害な紫外線を有益なものに変えるという逆転の発想のもと、新たな技術開発に挑戦しました。

紫外線から変換された可視光(美肌光)による効果

本研究では、肌に有害な紫外線を有益なものに変えるため、地球上の生命を支えている“光合成”に着目しました。光合成は太陽の光を利用してエネルギーを生み出しますが、そのプロセスの中で太陽光を可視光へ変換しています。そこで、紫外線を別の光に変換することで、肌に有益な効果を与えられないかと考え、研究を進めました。紫外線を吸収し、それを異なる光エネルギーとして放出させる特性をもつ物質の探索を行い、400種類以上の原料の中から、十分な光の強度や安定性を有し、安全性の高い、Spirulinaエキスと蛍光酸化亜鉛を見出しました。

①Spirulinaエキスによる真皮細胞活性化効果
肌のハリなどに重要なコラーゲンやヒアルロン酸を産生している真皮細胞(線維芽細胞)は、紫外線を浴びるとダメージを受けて、その産生が衰えることがわかっています。今回、Spirulinaエキスにより紫外線を可視光(美肌光)へ変換することで、紫外線によりダメージを受けた真皮細胞の活性が回復し、紫外線照射前よりもコラーゲンやヒアルロン酸の産生が高まることを確認しました。

図2: Spirulinaエキスによる線維芽細胞活性効果

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図3: Spirulinaエキスによるコラーゲン・ヒアルロン酸産生促進効果

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②蛍光酸化亜鉛による表皮細胞活性化効果
 蛍光酸化亜鉛によって放出される光は、Spirulinaエキスが発する光よりも波長が短いことから、肌の表面に作用を及ぼすと考えました。今回、蛍光酸化亜鉛により紫外線を可視光(美肌光)へ変換することで、紫外線によりダメージを受けた表皮細胞の活性が回復することを確認しました。これは、美肌光により、肌のバリア機能が回復する可能性を示しています。

③Spirulinaエキスと蛍光酸化亜鉛の組み合わせによる抗炎症効果
Spirulinaエキスと蛍光酸化亜鉛を組み合わせた場合の効果についても検証を行いました。紫外線を浴びた皮膚の細胞からは炎症因子が放出され、肌に赤みとなって現れます。炎症を繰り返すと、長期的には肌の光老化に繋がります。今回、2つの原料を組み合わせて紫外線を可視光(美肌光)へ変換することで、炎症を抑えて肌の赤みを抑制することに成功しました。これはつまり、美肌光が炎症因子による光老化を防ぎ、健やかで美しい肌を維持する作用があることを示唆しています。

図4: 蛍光酸化亜鉛による表皮活性化効果

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図5: Spirulinaエキスと蛍光酸化亜鉛の組み合わせによる抗炎症効果

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図6: 美肌光は炎症を防ぎ、紫外線による肌の赤みを抑制する

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今後の展望

当社は「環境を受け入れて調和する」という新発想の技術をさらに進化させ、今後は太陽の光だけでなく、お客さまを取り巻く様々な環境を味方にする技術の開発に挑戦し続けます。
今後もグローバルレベルで高く評価される研究開発力を強みとして革新的な価値を作り続け、当社の企業ミッションである「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(ビューティーイノベーションでよりよい世界を)」の実現に向け、世界中のお客さまへ美のイノベーションを届けます。

※このリリースに記載されている内容は発表時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご留意ください。