1. Home
  2. ニュースリリース
  3. 第14回「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」受賞者10名決定

2021年06月16日

発行元:(株)資生堂

研究・サプライネットワーク

サステナビリティ

第14回「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」受賞者10名決定

資生堂は、「資生堂 女性研究者サイエンスグラント(※1)」の受賞者10名を選出しました(応募総数119名)。本グラントは次世代の指導的役割を担う女性研究者を支援することが科学技術の発展につながるという考えのもと設立され、今年で14回目を迎えます。この研究助成金は対象が化粧品関連領域にとどまらない幅広い研究分野であること、応募には年齢制限がないこと、研究を推進する目的であれば女性のライフイベント(出産や育児)のサポートなどに幅広く使用出来ることなどの特長があり、過去の受賞者は受賞後にキャリアアップを果たしたり、自らの研究室を設けるなど、多くの研究者が継続して研究活動にまい進されています。
今回は、6月24日(木)に第13回の受賞者と合わせて、本グラントの授賞式をオンラインで開催いたします。この授賞式では、各受賞者から受賞に際しての喜びの声や今後の研究活動への意気込みについてコメントを頂きます。
※1:グラントとは「研究助成金」の意味。受賞者には各100万円の研究助成金を贈呈します。

資生堂 女性研究者サイエンスグラントについて

1. 設立の目的
一般的に、STEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)領域では、ジェンダー間の格差が大きいことが課題となっています。日本国内の研究者に占める女性の割合は16.9%(※2)で、近年緩やかな上昇傾向にあるものの、諸外国と比較していまだ低い水準にとどまっています。この背景として、日本は出産・育児・介護などをサポートする環境が十分ではなく、性別役割分担(※3)の意識が根深いことも女性の研究活動に大きく影響を及ぼしているとも考えられます。当社は女性研究者の研究活動を支援し、指導的女性研究者の育成に貢献することを目的に2007年より助成制度「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」を運営しています。第13回までの本グラントによる助成件数は129件、総額1億2千9百万円にのぼります。
※2:総務省 2020年(令和2年)科学技術研究調査より
※3:「男性は働くべき、女性は家庭を守るべき」といった、社会的・文化的に男女の役割を分担すること

2. 本グラントの特徴
本グラントの対象研究分野は幅広く、自然科学分野全般の女性研究者を対象としています。助成金は試薬や機器などの研究費用としてだけではなく、出張時のベビーシッター代や研究アシスタントの雇用費などライフイベントの間の研究活動のサポート費用として、また学生の学会参加費など指導者としての活動費に使用できることも特長です。

3. 本グラント受賞者のキャリア形成
これまでの本グラント受賞者は、その研究内容が高く評価されることにより、猿橋賞(※4)や米沢富美子記念賞(※5)の受賞、教授への昇進をはじめ、それぞれの学術領域において多くの方が評価され、ステップアップを続けています。
※4 猿橋賞; 1980年に創立された「女性科学者に明るい未来をの会」によって授与される賞で、自然科学の諸分野で、顕著な研究業績を収めた女性科学者に毎年贈呈される。
※5 米沢富美子記念賞; 「女性科学者に明るい未来をの会」会長として女性科学者の支援に尽力し、女性として初めて日本物理学会長を務めた故米沢富美子氏の業績を称え日本物理学会が2019年に設立した、女性会員の物理学分野における活動を奨励するための賞。

資生堂は女性が持てる力が自由に発揮できる、ジェンダーギャップのない社会の実現を目指しています。「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」は引き続き日本の研究界におけるジェンダーギャップ解消に向けて、指導的立場を目指す女性研究者の育成を支援し続けます。

第13回・14回授賞式典 概要

日時:2021年6月24日(木) 13:00~14:00
目的:第13回、14回グラント受賞者の紹介と授賞式
形式:Microsoft teamsを用いたオンライン授賞式
※ 資生堂グローバルイノベーションセンター(S/PARK) 2F S/PARK PLAZA(神奈川県横浜市西区高島1-2-11)から各拠点をリモートで接続いたします。

第14回 資生堂 女性研究者サイエンスグラント 受賞者一覧

助成期間:2021 年6 月~2022 年5 月
氏名(敬称略、五十音順)
所属・職位
研究分野・受賞研究テーマ(研究の概要)

雨宮 史織(あめみや しおり)
国立大学法人東京大学医学部付属病院放射線科 助教・特任講師
【放射線医学/神経科学】
fMRIネットワーク動態解析法開発と臨床応用
(神経細胞集団がネットワークを形成し、脳として働く仕組みの研究)

櫻木 美菜(さくらぎ みな)
学校法人君が淵学園崇城大学工学部ナノサイエンス学科 准教授
【超分子集合体/小角X線散乱】
深共融解溶媒に分散したトランスファーソームの構造特性と経皮デリバリーへの応用
(柔軟に変形できるナノカプセルの形状と皮膚浸透過程の観察)

佐藤 可織(さとう かおり)
国立大学法人九州大学応用力学研究所 助教
【地球物理学】
雲粒子の氷・水質量比の全球3次元分布の解明
(地球観測衛星から雲の相変化の謎に迫る)

杉原 加織(すぎはら かおり)
国立大学法人東京大学生産技術研究所 講師
【生物物理工学/バイオメディカル・エンジニアリング】
抗菌ペプチド「ダブル・コオペラティブ効果」を利用した新抗菌薬の開発
(二つのペプチドを混ぜることでスーパーパワーを発揮する現象「コオペラティブ効果」の仕組みを理解することで感染症に対する新薬の開発を目指す)

DAO Thi Ngoc Anh(ダオ ティ コック アン)
国立大学法人東北大学多元物質科学研究所マテリアル・計測ハイブリッド研究センター 助教
【マテリアルサイエンス/高分子材料/癌治療学】
持続的で制御可能な薬物放出を目的とするコロイドナノ薬剤のシルクタンパク質のゲル状マトリックスへの固定化
(通常は布地作りに用いるシルクタンパク質を、本研究では薬剤ナノ粒子を含むゲル状フィルムとして生成させ、癌部位で癌の成長を抑制する)

西村 有香子(にしむら ゆかこ)
国立大学法人北海道大学遺伝子病制御研究所発生生理学分野 助教
【細胞生物学/メカノバイオロジー】
細胞運動メカノセンシングにおける微小管情報伝達機構
(細胞が周囲の環境状態を知り行動するメカニズムを探る)

野澤 佳世(のざわ かよ)
国立大学法人東京大学定量生命科学研究所クロマチン構造機能研究分野 助教
【タンパク質構造生物学】
ゲノム折り畳み構造のクライオ電子顕微鏡観察スキームの開発
(生物の設計図が書かれたゲノムDNAを細胞から取り出して、そのまま形を観察する方法を開発する。)

間石 奈湖(まいし なこ) 
国立大学法人北海道大学大学院歯学研究院口腔病態学分野血管生物分子病理学教室 助教
【腫瘍生物学/細胞生物学/基礎医学】
腫瘍血管制御による新しいがんの診断・治療法の開発
(腫瘍血管の病態解明によりがんの再発・転移を制御する新しい診断・治療法を開発する)

松花 沙織(まつはな さおり)
国立大学法人神戸大学大学院理学研究科生物学専攻 助教
【分子発生生物学】
体色をつくる色素細胞の分化決定機構の解明-体色が相手の行動に与える効果の理解に向けてー
(遺伝子改変により新たな色や模様をもつ魚をつくり出します)

吉井 紗織(よしい さおり)
国立大学法人東京大学大学院医学系研究科分子生物学分野 助教
【分子生物学・酵母ジェネティクス】
出芽酵母を用いたミトコンドリアの若返りメカニズムの解析
(出芽酵母において母細胞から娘細胞が生まれるとき、娘細胞のミトコンドリアが若返ります。)

※このリリースに記載されている内容は発表時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご留意ください。