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2020年06月17日

発行元:(株)資生堂

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サステナビリティ

第13回「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」受賞者10名決定

~未来のリーダーとなる女性研究者を支援し、次世代への裾野を広げる~

資生堂は、「女性研究者サイエンスグラント※1」の受賞者10名を選出しました(応募総数134名)。本グラントは次世代の指導的役割を担う女性研究者を支援することが科学技術の発展につながるという考えのもと設立され、今年で13回目を迎えます。この研究助成金は対象が化粧品関連領域にとどまらない幅広い研究分野であること、応募には年齢制限がないこと、研究を推進する目的であれば女性のライフイベント(出産や育児)のサポートなど幅広く使用出来ることといった特長があり、昨年までの受賞者119名のうち約4割の研究者が受賞後に自らの研究室を設け、研究活動にまい進されています。
また、今年度より、WEBを活用した女性研究者同士の交流会を開催します。WEBを活用することで、遠隔地から自由に参加することが可能となり、柔軟で多様な研究ネットワーク作りやロールモデルをより身近に感じることができるなど、多くの女性研究者が抱える課題を共有し、解決に向けた活動を支援していきます。
なお、今年度第1回目のWEB交流会は7月13日(月)に予定しています。
※1:グラントとは「研究助成金」の意味。受賞者には各100万円の研究助成金を贈呈します。

資生堂 女性研究者サイエンスグラント設立の目的

STEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)領域では、一般的にジェンダー間の格差が大きいことが課題となっています。日本において研究者に占める女性の割合は16.6%※2で、近年緩やかな上昇傾向にあるものの、世界では29位と諸外国(例: 1位アイスランド47.2%、18位アメリカ33.4%)と比較していまだ低い水準にとどまっています※3。この背景として、日本は出産・育児・介護などをサポートする環境が十分ではなく、女性の研究活動に及ぼす影響が大きいことも考えられます。資生堂はこうした状況を踏まえ、指導的立場を目指す意欲があり、科学技術発展への貢献が期待できる女性研究者を支援することを目的に、2007年に本グラントを設立し、14年間にわたって活動を継続してきました。
※2:総務省 2019年(令和元年)科学技術研究調査より
※3:総務省 2018年(平成30年)科学技術研究調査より

女性研究者を支援

本グラントの対象研究分野は幅広く、自然科学分野全般の女性研究者を対象としています。助成金は試薬や機器などの研究費用としてだけではなく、出張時のベビーシッター代や研究アシスタントの雇用費などライフイベントの間の研究活動のサポート費用として、また学生の学会参加費など指導者としての活動費に使用できることも特長です。
過去の受賞者からは、本グラントが異分野の研究者との交流の機会をもたらし、新たな研究の展開に繋がったとの声も寄せられています。

当社は企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(ビューティーイノベーションでよりよい世界を)」の達成に向けた重点活動領域のひとつとして「Respectful Society」を設定し、国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の一つでもある「ジェンダー間の平等・公平の実現」を目標にしています。女性がその力を最大限に発揮できる社会の実現に向け、今後も幅広く女性支援活動に取り組んでいきます。

受賞研究者web交流会 概要

日時:2020年7月13日(月) 13:30~15:00
目的:グラント受賞者の研究ネットワークづくり
形式:Microsoft teamsを用いたweb交流会※
※ 資生堂グローバルイノベーションセンター(S/PARK) 2F S/PARK PLAZA(神奈川県横浜市西区高島1-2-11)から各拠点をリモートで接続いたします。

第13回 資生堂 女性研究者サイエンスグラント 受賞者一覧

助成期間:2020 年7 月~2021 年6 月
氏名(敬称略、五十音順)
所属・職位
研究分野・受賞研究テーマ(研究の概要)

秋元 文(あきもと あや)
国立大学法人東京大学大学院工学系研究科 准教授
【材料工学/医用工学/高分子化学】
表面開始精密重合によるハイドロゲル表面の接着性制御
(肌や細胞に密着するゼリーのような素材を開発し、医療応用を目指す)

池内 桃子(いけうち ももこ)
国立大学法人新潟大学理学部 准教授
【植物発生学】
植物の再生能力を引き出すペプチドホルモンの探索
(植物が傷を治し再生することを助けるペプチドホルモンを探索し、その機能解明につなげる)

石澤 有紀(いしざわ ゆき)
国立大学法人徳島大学AWAサポートセンター 准教授
【薬理学】
大規模医療情報データベース解析と基礎研究を融合した新規手法による急性大動脈疾患予防戦略の開発
(ビッグデータ解析+基礎医学実験で突然死を防ぐ)

瀬海 美穂(せかい みほ)
国立大学法人京都大学医学研究科分子腫瘍学 特定助教
【免疫学/腫瘍学】
上皮細胞による“非自己(がん細胞)”認識メカニズム及び免疫系の関与の解明
(上皮細胞がどのようにがん細胞を認識し排除するのかを明らかにする)

田尻 怜子(たじり れいこ)
国立大学法人東京大学新領域創成科学研究科先端生命科学専攻 日本学術振興会特別研究員 (RPD)
【発生生物学】
昆虫クチクラの多彩な性質をつくりだす原理を探るための再構成系の構築
(昆虫の「殻」を人工的に作ってみることで、その多彩な性質が生じる仕組みを理解する)

堀口 道子(ほりぐち みちこ)
公立大学法人山陽小野田市立山口東京理科大学薬学部薬学科薬剤学・製剤学分野 講師
【薬剤学 / 製剤学】
細胞および臓器選択的ナノドラッグデリバリー製剤の開発
(体の必要な場所に薬を届けるナノ技術の開発)

日比谷 由紀(ひびや ゆき)
国立研究開発法人海洋研究開発機構海洋機能利用部門海底資源センター 日本学術振興会特別研究員PD【宇宙地球化学/惑星物質科学】
初期太陽系進化解明に向けた微小固体物質からのマルチ元素抽出法の開発
(宇宙から来たミリメートルサイズの物質から元素を取り出して、太陽系の起源に迫る)

森田 梨津子(もりた りつこ)
国立研究開発法人理化学研究所生命機能科学研究センター細胞外環境研究チーム 研究員
【幹細胞生物学】
毛包表皮幹細胞へのlineage primingに寄与する細胞間相互作用の理解
(毛包の幹細胞が胎仔期に生み出される仕組みを理解する研究)

湯浅 磨里(ゆあさ まり)
国立大学法人東京医科歯科大学生体材料工学研究所 助教
【生命科学/創薬化学】
核内受容体の分解制御に着眼した新規レチノイド併用療法の開発
(細胞内のタンパク質に注目し、その制御を行うことでこれまでの薬をさらに生かす研究)

若林 里衣(わかばやし りえ)
国立大学法人九州大学工学研究院応用化学部門 助教
【バイオテクノロジー】
高機能エマルション製剤の創製に向けた自己組織化ペプチドの活用
(ペプチドが形成するネットワークをエマルションに導入することで、安定に薬剤を届ける製剤を開発する)

※このリリースに記載されている内容は発表時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご留意ください。