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2019年03月15日

発行元:(株)資生堂

研究・サプライネットワーク

世界初!泡がメイクを溶かしだす、新規クレンジング製剤の開発

~ハイブリッド泡状バイコンティニュアスマイクロエマルション(BME)型メイク落とし~

資生堂は、優れたメイク落とし効果がありながら泡立てることが困難であった「バイコンティニュアスマイクロエマルション(BME)※1」の溶液を、泡状にすることに世界で初めて成功しました。更にこの技術による泡は、泡がはじける時のエネルギーを利用してメイクを溶かしだすことができるこれまでにないものです(図1)。 優れたメイク落とし効果と泡状にすることを両立し、泡が自発的にメイクを溶かしだす本技術により、メイク落としの基本価値である「メイクが落ちる」「さっぱりする」のみならず、「肌に負担をかけずに軽くなじませるだけでよく落ちる」「たれ落ちない」「洗い流しがしやすい」など、お客さまに心地よく使っていただける高付加価値のクレンジング製剤を実現することができました。

なお、本技術は2018年12月20日に開催された第83回日本化粧品技術者会(SCCJ)※2研究討論会にて発表され、当社の渡辺啓主幹研究員が最優秀発表賞を受賞しました。

資生堂はグローバルレベルで高く評価される研究開発力を強みとし、革新的な価値を作り続けています。4月には新研究所「資生堂グローバルイノベーションセンター」が稼働するなど、より多様な人との交流・知の融合を行い、さらなるイノベーションによる新価値創造を加速させていきます。
※1:油と水の両方がそれぞれに連続した層をなす状態で、主にクレンジングオイルなどに用いられる構造
※2:THE SOCIETY OF COSMETICS OF JAPAN=化粧品産業の発展に寄与することを目的とした学術団体

図1)  従来の泡と新技術の泡の比較

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開発の背景

一般的に、洗浄剤を泡にすると洗浄成分の分散性が高まり洗浄力を発揮しやすくなるため、汚れとの付着性が向上し、洗い流しが容易になります。また、泡ならではの使用感の良さなどのメリットが得られます。これまでも泡立つタイプの製品は存在しましたが、優れたメイク落とし効果をもたせることは難しいとされていました。これは、メイクに含まれる疎水(水になじまない)化色素、ワックス、皮膜剤などの疎水性固体を落とすためには相当量の油性成分が必要となるためです。疎水性固体や油性成分は泡を壊す作用があるため、優れたメイク落とし効果をもつ泡状のメイク落としをつくることは不可能と考えられてきました。

本技術の開発

メイク落とし効果が良好である「バイコンティニュアスマイクロエマルション(BME)」構造中に、本来共存することが難しい、泡を立てる性質のあるイオン性界面活性剤を均一に混ぜ込む(ハイブリッド化する)ことに成功し、世界で初めて洗浄効果の高い泡状のメイク落としを実現しました(図2)。BMEとは透明で均一な溶液で、油と水の両方がそれぞれに連続した層をなす状態を指します。油にも水にも良くなじむため優れたメイク落とし効果を有しますが、泡状にするためには従来不向きとされていました。

図2)  ハイブリッドBMEの構造:用途の異なる界面活性剤が混ざり合って構造を形成している

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また更に、この「ハイブリッドBME」の泡ならではの特徴である、外から物理的な力をかけなくても泡が自発的にメイクを溶かしだすという現象を見出しました(図3)。これは、この泡がメイクと接触して泡がはじけ(破泡)、破泡のエネルギーにより「ハイブリッドBME」に流れが生じてメイクとなじみ、はじけてできた空洞に新たな泡が供給されることの繰り返しによるものと考えられます。

図3) ハイブリッド BME溶液の原液と泡立てたものの比較:泡立てることで破泡のエネルギーを利用して自発的にメイクを溶かしだすことができるようになる

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※このリリースに記載されている内容は発表時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご留意ください。