2016年06月28日
発行元:(株)資生堂
研究・サプライネットワーク
加齢に伴う真皮空洞化のメカニズムを解明
- 汗を分泌する器官「汗腺」の委縮が鍵 -
資生堂は、加齢に伴い皮膚の真皮が失われて脂肪に置き換わること(真皮の空洞化※1)を見出し、真皮が空洞化している人ほど外見上も顔がたるんでいることを明らかにしてきましたが、その原因はわかっていませんでした。このたび、真皮が空洞化している部位では汗を分泌する器官「汗腺」が著しく委縮していることを世界で初めて発見しました。汗腺の委縮が真皮空洞化の鍵であることを解明した本知見を基に、新たなスキンケアへの応用を目指します。
真皮空洞化と汗腺の委縮の関係を解明
今回、これまで資生堂が培ってきた皮膚解析技術をさらに応用し、X線-CT(Computed Tomography: コンピューター断層撮影装置※2)を用いて、皮膚の内部の微細な構造を三次元で解析することに成功しました。解析の結果、真皮が空洞化している部位では、「汗腺」(図1の黄色で示した器官)が、加齢に伴い著しく委縮していることを世界で初めて発見しました(図1、2)。真皮の空洞化と汗腺の委縮の部位が一致することから、真皮の空洞化に汗腺の萎縮が関与していることを明らかにしました。
汗腺は真皮の深い部位に存在し、そこで分泌された汗が細長い導管を通って肌表面へ届けられます。30代女性の皮膚では汗腺は真皮の最も深い位置にありました。それに対し、60代女性の皮膚では、汗腺が表皮近くの浅い位置へ上昇していました(図2)。加齢に伴い汗腺が萎縮すると同時に、委縮した部位が皮下脂肪に置き換わることで、空洞が拡大したと考えられます。
本研究成果により、汗腺と真皮空洞化の関係が明らかとなり、たるみなど肌の老化改善のターゲットが明確になりました。資生堂は皮膚科学研究の総合的な知見を活かし、今後もお客さまの悩みを解決するイノベーションを提供していきます。
資生堂が培ってきた皮膚解析技術
今回の発見に繋がったX線-CT による皮膚の三次元形状解析技術の一部は、2016年6月3日(金)にリスボン(ポルトガル)で開催された皮膚測定の国際学会「40th World Congress of ISBS (International Society for Biophysics and Imaging of the Skin)」で発表し、最優秀発表賞 (Best Poster Award)を受賞しました。
※1 2015年10月資生堂リリース「資生堂、加齢に伴う真皮の空洞化が顔のたるみに繋がることを発見」および下記の補足図参照
※2 体や物の内部を立体的に観察できる技術
※このリリースに記載されている内容は発表時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご留意ください。