資生堂の化粧療法ハカセのブログ

「身だしなみ・化粧」と認知症について

今年5月8日、厚生労働省の研究班は、全国4つの自治体の調査をもとに、将来の全国の認知症の人の数を公表しました。2040年時点の認知症数が約584万人、軽度認知障害の人数が612万人、軽度を含めれば計1200万人となります。
認知症は、65歳以上の高齢者のおよそ15%、6.7人に1人の割合です。2022年の約443万人から大幅に増えます。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ninchisho_kankeisha/dai2/siryou9.pdf (PDF。外部サイトへのリンク)

もちろん認知症予防も重要ですが、周囲がおかしいなと早期に気づくことも重要です。認知症予防財団ホームページには、ご自身や家族が簡単に予測できるように考案されたテストが掲載されていますので、チェックしてみてください。

出典:公益財団法人認知症予防財団 大友式認知症予測テスト
https://www.mainichi.co.jp/ninchishou/explanation.html (外部サイトへのリンク)
質問事項 ほとんどない 時々ある 頻繁にある
1 同じ話を無意識に繰り返する 0点 1点 2点
2 知っている人の名前が思い出せない 0点 1点 2点
3 物のしまい場所を忘れる 0点 1点 2点
4 漢字を忘れる 0点 1点 2点
5 今しようとしていることを忘れる 0点 1点 2点
6 器具の説明書を読むのを面倒がる 0点 1点 2点
7 理由もないのに気がふさぐ 0点 1点 2点
8 身だしなみに無関心である 0点 1点 2点
9 外出をおっくうがる 0点 1点 2点
10 物(財布など)が見当たらないことを他人のせいにする 0点 1点 2点
合計
0~8点 正常
9~13点 要注意
14~20点 要診断

8,9番目の質問項目は、化粧に関わることかと思います。身だしなみの一つに化粧がありますし、外出するときは、身だしなみを気にするのではないでしょうか。
認知症の人が、目的もなくうろうろ歩き回ることを「徘徊」と言います。身だしなみを整えず、着の身着のままでふらふらと外出したら、周囲も心配になります。多くの場合、ご本人なりの外に出る目的や理由があると言われていますので、周囲の人は、その行動の意味を理解して、声掛けすることが重要です。
もし、認知症の人が、化粧(例えば口紅をつける)をして、外に出たとしたら、それは「徘徊」ではなく、「お出かけ」ではないでしょうか。おめかしをしてどこかに行く、誰かに会う、という目的があるということかと思います。外に出ようとした行動を理解することには役立ちます。

身だしなみや化粧をすることは、脳への良い刺激になります。化粧と脳の関係については、下記サイトの「脳」をご覧ください。認知症の予防につながれば、「徘徊」の防止につながるのでは。
https://corp.shiseido.com/seminar/jp/labo/index.html
少なくとも、普段から身だしなみを整えていると、上記のテストの8番が、0点になります。

昨今、「徘徊」という言葉が、侮蔑的なニュアンスがあるとのことで「ひとり歩き」と言い換える自治体もあります。近年、厚生労働省も文書や口頭では、「ひとり歩き」という言葉を使っているそうです。
化粧療法的に「徘徊」を言い換えるとすると、
「身だしなみなきお出かけ」でしょうか、、、

どのような言い方であれ、今年1月に施行された「認知症基本法」に記載されている認知症の人が尊厳を保ち最期まで希望をもって暮らせる「共生社会」の実現を化粧療法でお手伝いできればと思います。
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001119099.pdf (PDF。外部サイトへのリンク)

お知らせ

6月から、認知症に関する基礎的な情報から予防法、ケア方法、専門家のインタビュー情報などを発信しているWebメディア「SOMP笑顔倶楽部」で化粧療法の取材記事(4回シリーズ)が掲載されています。是非、こちらもご覧ください。
https://www.sompo-egaoclub.com/articles/topic/1585 (外部サイトへのリンク)

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