資生堂の化粧療法ハカセのブログ
健康寿命の地域格差と化粧の関係は?
「健康日本21(正式名称:21世紀における国民健康づくり運動」をご存じでしょうか?
21世紀における国民の健康に関する方針で、厚生労働省が2000年に第一次の運用を開始し、昨年5月に「第二次(2013年開始)」の最終評価が公開されました。今年5月からは第三次が始まります。
健康日本21(第二次) (外部サイトへのリンク)
健康日本21(第三次) (外部サイトへのリンク)
このブログでも頻出する「健康寿命の延伸」は、健康日本21の一番目に設定されている重要な目標です。そして、実はもうひとつ併記されている目標が、「健康格差の縮小」です。健康格差とは、地域や社会経済状況の違いによる集団間の健康状態の差、を意味しています。
第三次では、全国の健康寿命を底上げし、健康寿命の都道府県格差(下図)を縮小することを目標に定めています。
図 健康寿命上位4分の1の都道府県の平均と
下位4分の1の都道府県の平均とその差の推移
補足:上位・下位の1/4は、それぞれ11の都道府県の平均
出所:厚生労働省の資料 (PDF。外部サイトへのリンク)をもとに筆者作成
都道府県別の健康寿命ランキングで、上位1/4の地域の平均と下位1/4のそれでは、男性1.56年、女性1.87年の差があります(2019年)。健康格差は、男性より女性のほうが大きいです。
化粧療法研究者としては、やはり化粧との関連が気になりましたので、昨年12月のブログでも活用した「都道府県庁所在地別<品目分類別>1世帯当たり年間支出金額(総務省)」をもとに、上位1/4(11の都道府県)と下位1/4(11の都道府県)の化粧品年間支出金額(アイテム別)の平均値を算出してみました。調査対象となっていたアイテムは、化粧クリーム、化粧水、乳液、ファンデーション、口紅でした。
結果はこちらです。
アイテム | 化粧クリーム | 化粧水 | 乳液 | ファンデーション | 口紅 |
---|---|---|---|---|---|
上位1/4 | 5,226 | 4,583 | 1,670 | 2,992 | 964 |
下位1/4 | 4,975 | 4,732 | 1,684 | 2,821 | 1,304 |
金額差 | 252 | -149 | -13 | 170 | -340 |
補足:世帯は、二人以上の世帯
表 都道府県庁所在地別1世帯当たり年間支出金額の平均値
出所:総務省の資料 (外部サイトへのリンク)をもとに筆者作成
二人以上のあらゆる年代の世帯が含まれていることや年間の平均支出金額でみているので、個数を多く買ったのか、高価なものを1回?購入したのか等、どういう購入の仕方をしたのかはわからないことから断定的なことはいえませんが、、、、
金額だけでみると、健康寿命が長い地域の女性は、化粧クリームとファンデーションの年間購入額が若干高いようです(統計的有意差なし)。なお、口紅に関しては、統計的に有意な差が認められました。化粧クリームは、肌状態をよくするアイテム、ファンデーションは色ムラやシミ、シワなどをカバーして均一できれいな肌に仕上げるためのアイテムです。健康寿命の長い女性は、肌への関心が高いのかもしれません。。。。
健康長寿に一番良い影響を与える要因は、「社会とのつながり」があることといわれています。健康寿命の長い地域の女性は、外出したり、誰かと会ったりする機会があるため、肌への意識が高い????
今後も(自分の健康寿命が終わらないうちに)、寿命と化粧の関係について何かしら解明できることを信じて、調査・研究を続けていきます。