資生堂の化粧療法ハカセのブログ
がん治療効果と白斑の関係
2018年のノーベル生理・医学賞は、「免疫チェックポイント阻害薬」という新しいタイプのがん薬物療法(免疫療法)の開発に貢献したとして、京都大学の本庶佑氏と米テキサス大MDアンダーソンがんセンターのジェームズ・アリソン氏が受賞されました。
免疫療法は、がん治療の手術療法、放射線療法、化学療法の3つの柱に加え、4つ目の柱として注目されています。免疫療法は従来の治療と比べ副作用の発現が少ないという特徴がありますが、様々な臓器に対して、免疫関連有害事象(immune-related Adverse Events: irAE)という独特の副作用をもたらします。時に重篤な症状を引き起こし、中断を余儀なくされる例も少なくないそうです。
その免疫関連有害事象の中で、免疫チェックポイント阻害薬の「ニボルマブ」が、皮膚がんの一種の悪性黒色腫に対する治療に使われたときに、白斑が出現するという報告があります。
白斑とは、メラノサイト(色素細胞)が何らかの原因で減少・消失する病気で、皮膚の色が白く抜けてしまいます。
難治性の疾患と言われています。発症部位によっては、心理的な影響や社会的な活動に影響を与えます。
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa20/s1_q01.html (外部サイトへのリンク)
- 「ニボルマブ」を使用したとき、白斑は13-25%程度に出現し、治療効果と関連し、早期に出現した場合は、奏効率(効果を示した患者の割合)が高い(Nakamura, Y., et al. J Dermatol 2016)
- 免疫関連有害事象の数が多いほうがより全生存率が改善。また、発疹と白斑が最も全生存率の改善に寄与していた(Freedman-Keller., et al. Clin Cancer Res 2016)
副作用として白斑の症状が現れたほうが、お薬の効果があったということです。効果があるのは喜ばしいことですが、ご本人とっては外見の変化は悩ましい問題かと思います。
もし、そのような症状が出現した場合、化粧のちからで、悩み解決のお手伝いができます。当社では、白斑のカバー用リキッドファンデーションを2006年から発売しています。単に厚塗りをして隠すのではなく、光の補正効果を活用した白斑対策専用の化粧品です。
パーフェクトカバーファンデーション VC (使用方法動画あり)
昨年実施したがんサバイバーの外見変化に関する調査では、治療の副作用として、さまざまな外見変化があることわかりました。色の変化では、白斑という回答もありました。
https://corp.shiseido.com/slqm/jp/information/information_230203.html
外見変化の対応策の選択肢のひとつに、「化粧」があるということを是非知っていただき、お悩みの方に伝えていただきたいです。
化粧品会社として、治療中も「自分らしさ」を維持しながら、がんと共生できる社会づくりに貢献していきたいと思います。