資生堂の化粧療法ハカセのブログ

エイジズムをご存知ですか?

先月のブログで紹介した、国連のDecade of Healthy Ageing(2020-2030)の4つのアクションの1つに、
「Combatting Ageism」がありました。
https://www.who.int/teams/social-determinants-of-health/demographic-change-and-healthy-ageing/combatting-ageism (外部サイトへのリンク)

Ageism(エイジズム)とは、年齢差別という意味で、年齢による偏見や差別を意味する言葉のことを言います。
アメリカ国立老化研究所の初代所長でバート・バトラーによって1969年に提唱され、「エイジズムとは、年をとっているという理由で高齢者たちを組織的に1つの型にはめ、差別すること」と定義しています。
エイジズムは、レイシズム(人種差別)、セクシズム(性差別)と並ぶ主要な差別問題ともいわれていますが、エイジズムは他と少し異なる2つの特徴があります。

1つ目は、「肯定的エイジズム」の存在
差別を肯定とは、どういうことでしょう??

肯定的エイジズムの例としては、交通機関、テーマパーク、美術館などで導入されているシニア割、後期高齢者医療制度など、高齢者が優遇される制度などです。他には、高齢者ほど経験や知識が豊富だという考え方や電車で席を譲る行為なども肯定的エイジズムになります。
日本には、「敬老の日」や還暦・古希を祝う風習があることからも肯定的エイジズムが強い国と言われています。さすが高齢先進国です。

2つ目は、自分に対してエイジズム
自分で年齢差別って、どういうことでしょう??

「化粧」をエイジズムの観点でみるとご理解いただけるかと。
2021.11.29のブログでも紹介しましたが、私が介護施設などで高齢者と化粧の話をしたときに、よく聞くコメントがあります。
高齢者本人:「もう、歳だし、、、」

みなさんも聞いたことがあるのでは。私はよく聞きます。
年齢を重ねた自分に相応しくあるために行動範囲を制限するような、自分に対する偏見もエイジズムの表れです。化粧や美容に関していうと、本人自らが年齢差別をしてしまっている点が、エイジズムのもう一つの特徴です。
そう言ってしまうは背景には、典型的なエイジズムといえる「もう、歳なんだから・・・」「いい歳して・・・」と言う人がいることやそんな雰囲気があるということが考えられます。
以前のブログで、ヨーロッパでは、年齢を重ねてもメイクやおしゃれを楽しんでいるという現地社員のコメントを紹介しましたが、日本は高齢期の「化粧」や「おしゃれ」という点では、意識や社会風土が遅れていると感じざるを得ません。

昨年の日経新聞の特集記事で、女優の賠償千恵子さんの素敵な言葉が掲載されていました。
「年齢なんて、数字にすぎない」
この言葉が当たり前になれば、エイジズムは、いつかなくなるのではないでしょうか。

いつでもどこでもどんな状況・状態になっても、化粧を楽しみたいと思えば当たり前に化粧ができる社会が実現できれば、年齢にとらわれず「人」として、自分らしく輝き続けられる、そしてエイジズムのない世界に少し近づくのではないでしょうか。

化粧療法で「Combatting Ageism」

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