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化粧療法研究室ハカセのブログ

いろんな化粧療法

これまでこのブログでは、高齢者を対象とした化粧療法を紹介してきましたが、他にもいろんな領域で様々な方を対象とした化粧療法が行われています。
実は、資生堂では、あまり知られていませんが、化粧を通じて社会課題解決を目指すセミナー活動を行っています。いろんな領域での化粧療法をせっかくなので、紹介させていただきます。

領域 対象 資生堂の取り組み内容
カバーメイク 瘢痕、あざ、皮膚疾患などの患者
1956年
戦禍によるケロイドで悩む方向けの専用商品「スポッツカバー」の発売
2006年
あざや白斑に悩む方へのメイクアドバイスを行う専門施設「資生堂ライフクオリティービューティーセンター」設立
関連情報
https://www.shiseidogroup.jp/slqc/concept.html
アピアランスケア がん患者
2008年
抗がん剤治療の副作用による美容上の悩みに対応したメイクアドバイス開始
2017年
がんになっても笑顔で暮らせる社会の実現を目指すラベンダーリング活動に参画
関連情報
http://lavender-ring.com/about.html (外部サイトへのリンク)
https://www.shiseidogroup.jp/slqc/information/information_180129.html
化粧ケア・整容ケア 高齢者
1975年
介護施設での化粧ボランティア開始
2013年
化粧療法プログラム開発・「資生堂ライフクオリティービューティーセミナー」有償サービス提供開始
関連情報
https://www.shiseidogroup.jp/seminar/labo/index.html
ロービジョンケア 視覚障がい者
1984年
点字テキスト発行
2002年
美容情報ウェブサイト「リスナーズカフェ」開始
関連情報
https://www.shiseidogroup.jp/listener/
2019年
視覚障がい者向けのメイク法「ガイドメイク」を開発

私は、化粧は人間と社会のインターフェースと思っています。インターフェース(interface)とは、IT用語で、物事の境界となる部分、接点、境界面という意味です。
例えば、ハードウエアインターフェースといえば、写真のような外部機器とPCをつなぐ部分のことです。

ハードウエアインターフェース

化粧療法は、きれいになっていただきたいとの思いはもちろんですが、最終的な目的は、化粧を通じて社会とのつながりを維持することです。
加齢や疾患によって健康状態や生活環境の変化によって社会とのつながりが弱くなっていくことがあります。外に出なくなり、人と会う機会が減ってくると、段々身だしなみに気を配らなくなったり、化粧をしなくなったりします。丸一日、家にいて誰にも会わないと分かっていたら、フルメイクはしませんよね。
一方で、上述したセミナー活動を通じて出会う多くの方々は、参加されて笑顔になり、その笑顔が自信につながり、外に出て、人と話たくなるといった変化がおきます。
化粧は、人と社会との境界面をつなげる接着剤のような役割があると思います。
古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、「人間は、社会的動物である」と言いました。ライオンやオオカミなどが群れをなして行動するという点では社会的動物ですが、化粧はしませんね。人間だけが社会性を維持するために獲得した化粧行動を、加齢や疾患という理由だけで絶やさないように、今後も化粧療法を続けていきたいと思います。

来年は、高齢者だけでなく、上述した対象者にも化粧療法研究の範囲を広げ、「化粧のちから」の社会的意義を探索していきたいと思っております。

一年間、ありがとうございました。
よいお年をお迎えください。

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