資生堂の化粧療法ハカセのブログ
高齢期の孤独について
最近、高齢期の孤独に関する本を読みました。
『世界一孤独な日本のオジサン』 (岡本純子著 角川新書)
中高年の日本の男性がいかに孤独に陥りやすいか、海外の男性との比較や取り組み事例を交えて、対策が記されています。
『極上の孤独』 (下重暁子著 幻冬舎新書)
一人暮らしをポジティブにとらえ、孤独の考え方や孤独を楽しむ生活スタイルなどが記されています。
寂しい孤独と楽しい孤独、男性の孤独と女性の孤独、なかなか孤独の解釈は難しい・・・。
そこで、高齢期の孤独に関する研究を紹介したいと思います。
昨年、東京都健康長寿医療センターが65歳以上約2,000人を対象に行った大規模調査結果が報告されました(日本転倒予防学会誌 Vol.3 (3) 2017 藤原佳典)。
「普段から外出をして、人と交流のある人」に比べて、4年後の生活機能が低下するリスクが高い人はどんな人かを調べると、興味深いことに男女でリスクの高い人のパターンが異なっていました。
結果はこちら、、、
男性は、「交流なき外出」をしている人
女性は、「外出なき交流」をしている人
男性は、健康のために一人で黙々とウォーキングをしていてもリスクがあるとのこと。
女性は、やはり出不精はいけません。外に出ましょう。
理想はこのような感じです。
なかなかこんな光景は見ないですが、、、
数年前にある自治体からの依頼で、地域住民向けに介護予防として「いきいき美容教室」を各エリアで開催し、278人の方(主に60・70代女性)に参加いただきました。
アンケートでは、「化粧をするとおでかけしたくなる」と9割以上の方が回答。
そして、驚いたことに、参加者の約4割が閉じこもりがちな方(外出頻度週2,3回以下)でした。
「健康のために外に出ましょう」と言って、簡単に外に出てくれるのであれば問題ないですが、実際にはそうはならないケースが多いのです。
化粧療法を使えば、自ら「外に出たい」「人と会いたい」という気持ちになり、行動が変化します。
女性は長生きということもあり、高齢女性の一人暮らしは、約400万人、65歳以上の女性の21.1%が一人暮らしと報告されています(平成30年度高齢社会白書 (外部サイトへのリンク))。
高齢期に、「外に出て、人と会うという行動」を維持するための手段として、「粧う」ことを活用しましょう。