2025年08月19日
発行元:(株)資生堂
研究・サプライネットワーク
資生堂、宇宙環境用スキンケアを独自設計、国際宇宙ステーション(ISS)に搭載
~様々な過酷環境に対応する、水に頼らない次世代スキンケア技術が宇宙へ~
資生堂は、宇宙環境で使用する化粧品の展開を目指し、独自設計したスキンケアを、2025年3月15日に国際宇宙ステーション(ISS)に搭載しました。当社の「Second Skin」技術を応用し、肌と一体化する人工皮ふを形成する2剤式の美容液(図1)は、宇宙という過酷な環境でも肌のうるおいを守り、すこやかさを保つことを目指し開発されました。
宇宙環境において水は貴重な資源ですが、地球でも環境の変化により水の重要性が増しています。当社はこの背景を踏まえ、「水に頼らない次世代スキンケア」という発想で研究を進めました。これにより、肌の表面に気体透過性を持つ薄い人工皮ふ膜を形成することで、肌から蒸散する水分を膜の内側に留め、肌本来の水分でうるおいを保つといった循環型の保湿機能を実現しました。また、この膜は剥がす際に皮脂や古い角層を取り除く洗浄効果も有しています(図2)。これらの技術を活用することで、限られた水資源の中でも効果的なスキンケアを可能にすることを目指します。
資生堂は地球上での様々な過酷環境に留まらず、宇宙環境での利用においても、すこやかで美しい肌を届けることを目指し、企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」の実現に向け、革新的な価値創出をさらに加速させていきます。

図2:宇宙環境用スキンケアの保湿メカニズム(左)、皮脂と古い角層の除去メカニズム(右) イメージ
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JAXA宇宙飛行士 大西卓哉さんが本宇宙環境用スキンケアを使用した際の感想
宇宙では水は貴重な資源です。肌自身の持つ水分で保湿ができるスキンケアは、乾燥しがちな宇宙船内の環境に適していると思います。剥がす際、肌の古い角層を一緒に取り除いてきれいにしてくれるそうで、水を必要としない洗浄機能は、ISS内ではありがたい機能の1つです。
「Second Skin」技術について
資生堂は2018年に米国ベンチャーOlivo Laboratories社の特許技術「Second Skin」を取得し、資生堂の強みである処方開発技術と組み合わせて、その機能性を進化させてきました。「Second Skin」技術は肌と一体化し凹凸を補正する人工皮ふを肌上に形成するもので、目袋やたるみを短時間で目立たなくするなど、従来の化粧品の枠を超えたビューティーケアの可能性を見出しています。また、この技術を応用し、スキンケアやメイクなどといった横断での活用を進めています。
R&D戦略について
資生堂は、イノベーションを加速させるためのアプローチとしてR&D理念「DYNAMIC HARMONY」のもと、「Skin Beauty Innovation:既存ブランドの価値向上」「Sustainability Innovation:循環型の価値づくり」「Future Beauty Innovation:新領域への挑戦」の3つの柱を立てています。また、オープンイノベーションを推進し、さまざまな外部機関との研究アライアンスを通じて、新しい価値創造を進めています。資生堂の先進サイエンスと世界トップレベルの研究機関の知と技術の融合から創出された革新的な研究成果は、化粧品技術に関する世界最大の権威ある研究発表会IFSCCなどグローバルにおいて学術的にも高く評価されています。
参考:「Second Skin」技術に関する当社の過去のリリース一覧
※このリリースに記載されている内容は発表時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご留意ください。