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2024年10月09日

発行元:(株)資生堂

サステナビリティ

資生堂DE&Iラボ、組織が真のジェンダー平等に前進するための実証結果を公表

~アンコンシャスバイアスを個人の問題ではなく、組織全体の課題として捉えることが鍵となる~

多様な人財の活躍と企業成長の関係を研究する「資生堂DE&Iラボ」は、「女性活躍からジェンダー平等へ」をテーマとした実証結果を「資生堂DE&Iラボサイト」に公表しました。

実証結果 概要

資生堂は、早くから女性活躍に取り組み、上司や本人の意識改革、働き方改革、雇用慣行の改革など、様々な施策を行ってきました。その結果、現在国内資生堂グループの女性管理職比率は40%※1を超えていますが、社内には女性管理職比率が低い組織があることも事実です。今回、東京大学の山口慎太郎教授のチーム※2と共同で、そのような組織にスコープをおき、ジェンダー不平等をもたらす要因を統計的因果推論により検証しました。
2024年4月に公表した前編では、成果を発揮する能力にジェンダーの差は見られなかったものの、難易度の高い役割を担う確率は男性の方が高い組織があること、また一部の職位(グレード)では男性上司は女性部下よりも男性部下に高い評価をつける傾向があることが明らかになりました。これらはアンコンシャスバイアス(先入観や思い込みから判断や意思決定に偏りが生じる現象)が原因ではないかと仮説を立て、後編では組織のバイアスに着目した検証を行いました。
バイアスを可視化したところ、女性の方が男女平等意識が高く、同時にアンコンシャスバイアスも高いという結果が得られました。これは、女性は男性に比べてジェンダー平等を強く意識している一方で、内面では「女性らしさ」「男性らしさ」に縛られやすくなっている、板ばさみの現状を表しているといえます。また、組織の同質性とバイアスの関係として、女性管理職比率が極端に低いまたは高い組織では、アンコンシャスバイアスが強い傾向が見られました。これは、ジェンダーバランスの偏りが組織のバイアスを強める可能性を示唆しており、組織のリーダーのジェンダーバランスの均衡を図ることが、バイアス軽減につながる重要な一歩であると考えられます。また、前編での調査結果から想定していた「上司が強いジェンダーバイアスをもつ」という仮説は支持されず、バイアスを特定の層や個人の問題ではなく、組織全体の課題として捉える必要があることが分かりました。これらの知見を踏まえ、組織が真のジェンダー平等に向けて前進するためには、以下のようなアプローチが効果的だと考えられます。

1.ジェンダーバランスの均衡を図る: ジェンダーバランスの均衡を図り、組織のリーダーの同質性を解消し、多様な視点を取り入れる。
2.全社的なアプローチ: 特定の層だけに向けてではなく、組織全体の課題として捉え、組織の一人ひとりがバイアスに向き合う機会を得ることで、偏った決めつけや当たり前を疑い、異なる考えに気づき受容できる文化を醸成する。
3.継続的な検証: 定期的に組織のバイアスを測定し、結果に基づく対応策を見定める。

これらのアプローチは、多様性を尊重し、公平な機会を提供し、異なる視点を受け入れるという点で、DE&Iの概念と深く結びついています。組織の文化として定着させることが重要であり、一過性ではなく継続的な取り組みとして常に検証と改善を繰り返す必要があります。すべての従業員が自身の潜在能力を最大限に発揮できると信じられる組織の実現、真のジェンダー平等に向けて、資生堂DE&Iラボは、これからも組織変革につながる調査を続けていきます。

※1 2024年1月1日時点。
※2本研究機関は山口氏が主幹となり、奥山陽子氏(ウプサラ大学経済学部助教授/東京大学 CREPE招聘研究員)が共同研究者として参画している。

「資生堂DE&Iラボ」とは

女性活躍に取り組み長い道のりを歩んできた資生堂には、DE&I推進のヒントとなる幅広いケーススタディがあります。「資生堂 DE&I ラボ」は、資生堂の知見やデータ、経済学的アプローチによる検証をもとに、多様な人財の活躍と企業成長のつながりを実証し、学びを社内外に公表することで、日本社会のDE&I推進に寄与することをねらいとしています。2023年2月に発足し、2024年3月に「資生堂DE&Iラボサイト」を立ち上げました。当社のこれまでの取り組みから得た学びを「ACTIONS」、東京大学の山口慎太郎教授のチームと共同で進めている、多様な人財の活躍と企業成長の関係についての実証研究で得た結果を「RESEARCH」として公表しています。

今後の展望

「資生堂DE&Iラボ」は、最初の重点テーマに日本の積年の課題である「ジェンダー平等/女性活躍」を掲げ、組織におけるバイアスと女性活躍推進の関係についての実証に取り組んできました。ジェンダーを起点としたダイバーシティ(多様性)の検証は、今後も定期的にバイアスを可視化し変化を捉えていきますが、次は、ダイバーシティが実現した先に必要となる「エクイティ(公平な機会の提供)」と「インクルージョン(異なる視点を受け入れる)」の検証にチャレンジします。多様な意見や違いが尊重される組織づくりに必要なインクルーシブ要因を定量化することで、インクルーシブな組織運営を実現するためのヒントを探ります。
その第1弾として、多様なバッググラウンドを持つ人材で構成された組織がイノベーションを実現したプロセスにどのようなインクルージョンがあったのかという社内事例を、11月中旬に「資生堂DE&Iラボサイト」で公開予定です。

資生堂のダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)

資生堂は企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」の実現に向けて、社員がジェンダーや年齢、国籍などに関係なく、個々人の違いを認め尊重し合い、それらのシナジーによりイノベーションを生み続ける組織カルチャーをつくるため、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)を重要な経営戦略の柱と位置づけています。これまでの取り組みを通じて蓄積した経験や知見をいかし、成し遂げるべき戦略アクションを「ジェンダー平等」と「美の力によるエンパワーメント」とに設定し、2030年までにそれぞれ100万人の人々を支援していきます。社員だけでなく生活者をはじめとするステークホルダーと共に、私たちの企業活動において、誰もが自分らしくいられる、インクルーシブな(包摂性豊かな)社会づくりの基盤として、「すべてのステークホルダーの人権の尊重」にも引き続き最大限注力していきます。

※このリリースに記載されている内容は発表時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご留意ください。