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2021年08月12日

発行元:(株)資生堂

技術・研究開発

資生堂、赤外線が肌に悪影響を与えるメカニズムを解明

~進化を続ける資生堂の光研究は3つのタイプの光酸化へ対応~

資生堂は、赤外線の影響を正確に評価する実験手法を独自に確立し※1、赤外線が肌に悪影響を与えるメカニズムの一端を解明しました。赤外線の光ではなく、赤外線によって産生される熱が肌内部にダメージを与えることを確認しました。また、赤外線の熱によって生じる肌ダメージをケアする薬剤として、数種類の植物由来エキスを見出しました。当社の先行研究において、紫外線が肌にもたらす酸化ストレス※2は光老化※3の原因の一つであることや、太陽光強度のブルーライトが肌にダメージを与えることを見出してきましたが、今回新たに赤外線による影響も確認し、健やかで美しい肌を保つためには、紫外線やブルーライトだけではなく、赤外線を含めた、光が原因となって起こる3つの酸化から肌を守ることが重要だとわかりました。
当社は「美の力を通じて「人々が幸福を実感できる」サステナブルな世界」の実現を目指しています。今後も得られた研究成果を活用し、環境と共生しながらお客さまがイキイキと自由に生活を楽しむことができる製品やサービスの開発を進めていきます。

※1:特許出願中
※2:紫外線ダメージなどにより酸化ストレスが高まると、肌本来がもつうるおい、透明感、ハリなどを保つ機能が低下します。
※3:太陽光に含まれる紫外線によって生じる「シミ・シワ」などの肌の老化現象のこと。肌老化の主要な原因とされています。

図2:3つのタイプの光酸化 (イメージ図)

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研究背景

赤外線とは、可視光より波長が長く、物体を温める作用をもつ光です。一般的に、太陽光に含まれる赤外線量の割合は紫外線よりも非常に多いとされています。当社の調査によると、天気の良い日に屋外で太陽に当たると、人の体表温度はわずか数分で約40℃にまで達することを確認しています。昨今、赤外線による肌への影響は指摘されはじめていますが、赤外線は熱作用が大きく、影響を正しく評価するためには温度上昇をコントロールする必要があることから、詳細な検証は困難とされていました。そこで今回、赤外線の影響を正確に評価するために、光と熱による影響を切り分けて確認することができる独自の実験手法を確立し、研究を進めました。

赤外線が肌に悪影響を与えるメカニズム

今回、細胞を用いた実験と皮膚中成分の分析という2つの方法で影響を確認しました。
まず、独自の実験手法を用いて、温度条件をコントロールしながら、線維芽細胞に日常的に浴びうるレベルの赤外線を照射して、その影響を観察しました。その結果、赤外線の「光」ではなく、赤外線によって生じる「熱」によって血管内皮増殖因子(VEGF-A)が増加することがわかりました(図3)。VEGF-Aは、シミや赤み、シワなどの肌悩みとの関与が示唆されていることから、過剰な増加は肌へ悪影響を及ぼすと考えられます。
続いて、皮膚中に存在する成分の変化を成分分析で確認したところ、こちらも赤外線の照射時の温度(熱)で、皮膚中の肌トラブルの原因となる成分(過酸化脂質)が増加することが明らかになりました(図4)。
これらの結果から、日常的に浴びうる赤外線によって生じる「熱」が、肌に悪影響を与えることがわかりました。

図3:赤外線照射の熱によりVEGF-Aが増加

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図4:赤外線照射時の温度(熱)により肌トラブルの原因となる成分が増加

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有用な薬剤の探索

日常的に浴びうる赤外線による肌への影響をケアするために、有用な薬剤の探索を行いました。今回、数種類の植物由来エキスに、赤外線の熱によって肌内部で起こるVEGF-Aや過酸化脂質の増加を正常な状態へ導く作用が認められました(図5,6)。つまり、これらの薬剤は赤外線の熱によって生じる肌ダメージを防ぐ可能性があります。

図5:VEGF-A産生抑制効果のある植物由来エキスを特定

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図6:過酸化脂質産生抑制効果のある植物由来エキスを特定

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今回の研究成果により、健やかで美しい肌を保つためには、紫外線やブルーライトだけではなく、赤外線(熱)からも肌を守ることが重要だとわかりました。紫外線酸化、ブルーライト酸化、赤外線酸化(熱酸化)の3つのタイプの光酸化へ対応し、環境と共生しながら、お客さまの健やかで美しい肌をサポートする研究を今後も続けていきます。

※このリリースに記載されている内容は発表時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご留意ください。