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2020年04月27日

発行元:(株)資生堂

研究・サプライネットワーク

資生堂、AIを活用した皮膚解析の新技術『デジタル3Dスキン TM』を開発

超高精細に、そして自在に、皮膚解析は次の時代へ

資生堂は国際医療福祉大学医学部形成外科学 松﨑恭一主任教授と自治医科大学、生理学研究所との共同研究により、AIを活用し、皮膚を超高精細にコンピューター上に再現して解析する『デジタル3DスキンTM』技術を開発しました。これにより、コンピューター操作で、皮膚内部の超微細構造まで3次元で自在に解析することが可能となりました。この皮膚解析の革新的な技術、デジタル3DスキンTMを活用し、様々な製品・サービスの開発を進めていきます。
本研究成果の一部は化粧品技術者の世界大会「国際化粧品技術者会連盟ミュンヘン大会2018(IFSCC※1 Congress 2018)」で口頭発表し、最優秀賞を受賞しました。

※1 IFSCC (The International Federation of Societies of Cosmetic Chemists): 世界中の化粧品技術者が集い、より高機能で安全な化粧品技術の開発へ向けて取り組む国際機関

複雑な皮膚内部を理解する難しさ

皮膚の状態は見た目の印象を左右します。皮膚の状態を決める要因を解き明かすには、皮膚を内部まで詳細に観察して、理解する必要があります。しかし皮膚の内部では、コラーゲンや細胞等、様々な構造が複雑に入り組んでいるため、その立体的な形状や分布、関係性等を観察することは困難でした。

コンピューター上に皮膚をデジタル情報として再現、自在な解析を可能に

今回、電子顕微鏡で観察した皮膚を、コンピューター上に超微細構造まで再現して解析する、デジタル3DスキンTM技術を開発しました(図1)。これにより、コンピューター上で皮膚内部を、3次元で自在に解析できるようになりました。例えば、皮膚の構造の分離、特定の構造の単離、周囲の構造との関係性の解析等、皮膚内部を統合的に理解するための様々なアプローチが可能となりました。

■図1 デジタル3DスキンTMによる皮膚内部の自在な解析
⇒画像はリリースPDFよりご確認ください。

a)皮膚の超微細構造までコンピューター上に3次元で再現したデジタル3DスキンTM(表皮と真皮の境界付近を例示。視認性向上のため、各種構造を色分けして表示)。コンピューター操作により、b) 皮膚の構造の分離、c) 特定の構造の単離(シミに関係する色素細胞の単離例)、d) 周囲の構造との関係性の解析(色素細胞と表皮細胞の結合の解析例)等、自在な解析が可能。

AIを活用し、膨大な皮膚の画像を解析

デジタル3DスキンTMの開発には、人工知能 (AI: Artificial intelligence)の活用が鍵となりました。コンピューター上で自在に皮膚を解析するには、皮膚の多様な構造をあらかじめ分類する必要があります。しかし皮膚内部の膨大な構造を、人間の力で分類することは非常に困難です。そこで皮膚の構造をAIに学習させ、自動的に分類する手段を確立しました。これにより、分類時間を大幅に軽減して、デジタル3DスキンTMを確立できました。

デジタル3DスキンTMを活用し、皮膚の真実を解明していく

今回開発した皮膚解析の革新的な技術、デジタル3DスキンTMは、皮膚内部の理解を飛躍的に進める様々な手段を提供します。またこの技術は、共有も容易なことから、領域を超えた様々なコラボレーションを可能とします。このような先進性を活用し、自由な発想と多様なアプローチにより、皮膚の実態解明と健やかな皮膚の実現に貢献していきます。


<参考>関連する過去の技術リリース
・2018年:第30回 国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)ミュンヘン大会2018で7大会連続「最優秀賞」受賞
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000002530
・2018年:資生堂、肌内部で起きる「老化の伝播」を解明
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000002569
・2020年:資生堂、真皮の細胞が織りなす『線維芽細胞ネットワーク』を解明
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000002898

※このリリースに記載されている内容は発表時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご留意ください。