資生堂の化粧療法ハカセのブログ
人生100年時代というけれど、、、
この言葉が言われ出したのは、2016年に発刊された「LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著 東洋経済)」です。その中で紹介された下のグラフ(2007年生まれの子どもの半数が到達する年齢)が、人生100年時代の根拠です。
その翌年に、日本では、「人生100年時代構想会議」が設置され、年末には「2017年ユーキャン新語・流行語 大賞」に「人生100年時代」がノミネートされたこともあり、一気にこの言葉が広まっていきました。
今年、私が所属している日本老年社会科学会の第66回学術大会で発表された研究では、「百歳まで生きたいと思いますか」という質問に対する回答は、「はい(35.9%)」「いいえ(63.2%)」と報告されていました。回答者は、地域在住高齢者820人(男性409人、女性411人平均年齢83歳)。
出典:日本老年社会科学会 vol.46 (2), p172
今の高齢者は、100歳まで生きたいと思っている人は、意外に少ないです。気になったので、他の調査結果も調べてみました。
質問:「あなたは100歳まで生きたいと思いますか?」
「とてもそう思う」と「そう思う」の合計 | 調査年 | 対象 | 出典 |
---|---|---|---|
21.2% | 2018 | 20~60代 男女1,000名 |
人生100年時代に関する意識調査 2018年AXA生命 https://www2.axa.co.jp/info/news/2018/pdf/180717.pdf (PDF。外部サイトへのリンク) |
27.8% | 2022 | 20~80代 男女2,800名 |
株式会社 Hakuhodo DY Matrix 100年生活者研究所 2022年 https://hakuhodo-rdc.com/100years_lab/posts/100_230320_02/ (外部サイトへのリンク) |
26.6% | 2023 | 20~70代 男女2,400名 |
株式会社 Hakuhodo DY Matrix 100年生活者研究所 2023年 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000117890.html (外部サイトへのリンク) |
27.5% | 2024 | 20~70代 男女2,400名 |
株式会社 Hakuhodo DY Matrix 100年生活者研究所 2024年 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000117890.html (外部サイトへのリンク) |
幅広い世代でみると、100歳まで生きたいと思っている人は、3割にも満たない結果でした。
上表の2022年調査の年代別の結果では、80代は他の年代と比較して、最も高い38.3%が100歳まで生きたいと回答していました。前述の学会の報告と似た数値となっていました。
80代で高い割合になっているのは、老年期後半に出現する心理特性「老年的超越」が関係しているかもしれません。スウェーデンの社会学者、ラルス・トルンスタムが1989年に提唱した概念です。
https://www.tyojyu.or.jp/net/topics/tokushu/koureisha-shinri/shinri-chokoureisha.html (外部サイトへのリンク)
化粧をすると、心理的に良い影響を与えることは知られています。多くの人が100歳まで生きたいとポジティブに思える社会になるように、化粧でお手伝いしていければと思います。