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化粧療法研究室ハカセのブログ

「がんとの共生」を化粧でお手伝い

医療の進歩に伴い、治療をしながら働くがんサバイバーは、全サバイバーの約3割と言われています。
弊社が、がん患者団体の協力を得て、がんサバイバー(女性 N=141)を対象に行ったWeb調査(2020年4月~5月)では、76%が外見の変化が気になったとの回答でした。多くの方が外見に悩んでいることがお分かりいただけるかと思います。
厚生労働省が開催している「がんとの共生のあり方に関する検討会」でも、外見変化によって約4割のがんサバイバーが「外出機会が減った」「仕事や学校を辞めたり休んだりした」と報告されています(第3回 資料4 がん治療に伴う患者の外見変化とその支援)。
https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/000559469.pdf (外部サイトへのリンク)

外見変化は、生命に直接影響を与えるわけではありませんが、社会的な行動に影響を及ぼします。

では、外見変化に関する主な相談先となる医療機関でのアピアランス支援はどうなっているのでしょうか?

全国がん診療連携拠点病院の看護師(726名)を対象としたアピアランス支援の実態調査では、93項目の様々な外見の変化に対する支援(相談を受ける、情報提供、具体的なケア等)が提供され、回答者の約5割が「適切にできている自信がある」と回答しています(Palliat Care Res 2019; 14(2) 127-138)。
やはり、看護師さんは心強い味方です。ただ半数は自信がないということでもありますので、今後アピアランス支援に関する研修が普及することを願うばかりです。

さて、抗がん剤による副作用の中には、皮膚の乾燥や色素沈着があります。保湿のためのスキンケアやしみをカバーするメイクなど化粧品でケアできることもあります。
上述の調査の中には、支援の項目のひとつに、化粧品会社としては気になる「皮膚の変化の予防とケア」という項目がありました。

Palliat Care Res 2019; 14(2) 127-138をもとに作成

ケアに使用するアイテム 実施の割合
スキンケア化粧品 68.1%
メイクアップ化粧品 20.2%

医療機関でもスキンケア化粧品を使ったケアは高い割合で支援が行われていますが、メイクに関しては2割という結果でした。確かに、現実問題として、医療従事者が業務の中でメイクアップの支援をするには、時間的・技術的になかなか厳しいかと思います。美容従事者と連携することで支援の輪が広がることを期待したいです。

資生堂では、メイクを通じてがんサバイバーを支援するさまざま活動を行っています。

今年も認定NPO法人キャンサーネットジャパン主催の「ジャパンキャンサーフォーラム」内で、メイクと写真撮影を行い、化粧とクリエイティブのちからによってがんサバイバーを応援するイベント「Lavender Ring Makeup&Photo With Smiles」を開催します。
今年は初のオンライン開催です。
https://www.japancancerforum.jp/ (外部サイトへのリンク)

これまでに、このイベントを通じて撮影された方の写真は3年間で200名を超し、公共施設や病院、がん患者会などの会場で写真展しています。

昨年の写真展の様子

また、下記ウェブサイトでは、基本テクニック等を紹介する情報を発信しています。

今後も、化粧のちからを通じてがん患者さんが笑顔で暮らせる社会を目指して活動を継続していきます。

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