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オンライン版 統合レポート2023

CPO

人財戦略CPO
MESSAGE

CPOメッセージ

過去から積み上げてきた強みを活かしながら、
さらにエネルギーに溢れた企業になっていくために、
職場環境・文化「Beauty Innovation Atelier
(ビューティー・イノベーション・アトリエ)」の創造を目指します。

エグゼクティブオフィサー
チーフピープルオフィサー(CPO)
和田 真司

過去から積み上げてきた強みを活かしながら、さらにエネルギーに溢れた企業になっていくために、職場環境・文化「Beauty Innovation Atelier(ビューティー・イノベーション・アトリエ)」の創造を目指します。

人やカルチャー面から見た強みと課題

私は、2023年10月の入社、CPO就任以降、社員との対話や各種調査結果の分析などを通じ、資生堂の人やカルチャー面における強みと課題を考察してきました。

最初に感じたことは、働きやすい風土があり、資生堂のブランドイメージを大切にし誇りを持っている人たちが多く、各種指標が示すようにジェンダーやキャリアの面でのダイバーシティが進んでいるということです。また、創業以来の想いを150年以上にわたって受け継ぎながらも、社員が価値創造の源泉であるという「PEOPLE FIRST」の思想に基づき社員への積極的な投資を続け、人事施策を確実に進化させ続けることでグローバル企業としての基盤を確実に整えてきている点には感銘を受けました。一方、一人ひとりの「将来に向けてどんどん変革していこう」という強いエネルギーがもっとあってよいのではないかと考えます。そして、一流のグローバル企業として飛躍していこうという強固な意志とエネルギーに溢れた組織・文化にしていくための人財戦略を、構築していく必要があると感じています。

目指すべき姿「Beauty Innovation Atelier」

2024年 国内資生堂グループ合同入社式での社員によるバンド演奏
2024年 国内資生堂グループ
合同入社式での
社員によるバンド演奏

私は、社員が仕事を通じてエネルギーレベルがあがるような仕組みをつくり、組織と人を一流の会社にしていきたいと考えています。例えば、目指す組織像として世界最高峰のオーケストラを考えてみたとします。世界最高峰のオーケストラでは、全員が世界レベルの超一流で、並々ならぬ情熱を持ち、幼少のころから専門の楽器演奏能力を磨くことに一生を捧げてきています。そして無駄なポジションは1つもなく、すべてのポジションがそのようなスーパースターで占められています。また、ジェンダーや国籍などの属性にかかわらず、演奏能力のみで評価されます。素晴らしい演奏をするためには、他の楽器のパートもよく聴き、理解し、全員が同じ方向に向かって音を奏でます。1つのオーケストラとして(チームとして)、世界トップクオリティーの素晴らしい交響曲を演奏することができるのは、このような背景があるのです。

こうした考えのもと、資生堂における価値創造の現場である職場とその文化として目指すべき姿を、グローバルに「Beauty Innovation Atelier」と定義しました。一人ひとりが高いパッションを持ち、サイロ(分断)なく協働して素晴らしいハーモニーを奏でながら、一流のクオリティーのアウトプットを目指すことで、ビューティーイノベーションを連続的に起こす職場を目指していく、というものです。

ここでのパッションとは「持続可能なエンゲージメント」を意味します。単なるスキル研修を展開するのではなく、一人ひとりの社員のもっと深いところ、例えばモチベーションのエネルギーの源や、エンゲージメントを高める施策が会社の業績と正の相関があると複数の研究が示すように、厳しい外部環境の中でさらなる成長に取り組む資生堂にとって、社員のエンゲージメントを高めることが優先課題の1つと考えます。そして、内発的動機に基づく仕事への活力、熱意があってこそ、真の意味でのエンゲージメント(パッション)を高く保ち、さらに引き上げることが可能となります。そのため、社員のエネルギーレベルを引き上げる施策に徹底的に注力し、8つの「パッション・ドライバー」を定義しました。そして、あらゆる人事施策が一つひとつのパッション・ドライバーの向上に寄与するように各施策を見直し、展開していこうと考えています。

パッションドライバー

人財戦略のフレームワーク

人財戦略のアプローチとしては、以下の3つを柱に実行していきます。1つ目は、個の強化と組織開発を通じたカルチャー醸成を行う「Build Talent(既存の社員の育成)」です。個の強化としては、これまでの施策を継続しながら、イノベーション創出とリーダーシップ能力向上に重点的に注力し、「パッション・ドライバー」に紐づけた各人事施策のもと、エネルギーレベルを引き上げていきます。同時に組織開発の観点からもアプローチし、関係性の質を向上させる施策を展開していきます。そして、組織の枠を超えた交流により、人と人との「化学反応」を意図的に起こしていきたいと思います。またジェンダーや年齢、国籍などの属性に関係なく、一人ひとりの違いを認め尊重し合い、新しい価値創造に向けて議論する風土醸成を推進しています。2つ目は、変革をさらに加速するために必要な世界のトップタレントの獲得を目指す「Acquire Talent(人財の採用)」です。決して妥協しない高い採用基準の実現と、トップタレントのみを採用するために現行のプロセスを見直します。また、そのような人財を惹きつける、魅力ある職場への弛まぬ努力と、資生堂の良さを最大限に伝える採用ブランディングの徹底強化に注力していきます。「育成」だけでは時間がかかるため、「育成」と「採用」の2つのアプローチのバランスを取っていくことが必要だと考えています。

そして、3つ目のアプローチが「Transform Organization and Enable “Work Smart”(組織変革とワーク・スマート)」です。最適な組織の在り方を模索しながら、ITツールやAIを徹底的に活用し、生産性の高い組織の構築を目指していきます。

人財戦略のロードマップ

こうした人財戦略の遂行は中期的なものになりますが、2024年は現状を脱却し変革を起こすための取り組みとして、強いリーダーシップを持った社員の育成・採用を重点的に進めます。また、「Beauty Innovation Atelier」のもと、パッション・ドライバーと連動した各種施策を進めつつ、スピード感を持った組織最適化も進めていきます。そして、中長期的に新たな価値創造につなげていくためにも、さらなるパッション向上に向けた施策に全力投球していきます。

CPOとしての抱負

私は、スタートアップや大手グローバル企業の米国本社において、ダイバーシティ溢れるグローバルチームをゼロから結成し、制度や文化を最適なものに変革することで急成長するビジネスを支えてきました。逆に厳しい局面では構造改革も主導してきました。これらの経験から、資生堂が世界で勝ち抜くためには、グローバルの成長や自分が成したいことの実現に対し、もっと貪欲になり、より迅速に実行していける企業にならなければならないと感じています。世界に冠たるブランド企業、ビューティー企業と戦い、超えていく気概が必要です。多くの強みを有する資生堂であれば、目指す姿が明確かつ具体的になり、その実現に向けてエネルギーレベルがあがって、価値創造が飛躍的に増大し、リーダーシップのもとそれらが正しく方向付けられれば、世界の一流グローバルプレーヤーになって、企業使命である「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」により近づくことができるはずです。この変革が私のCPOとしての目標です。

そして、同時に目指すことは、グローバルにおける資生堂の人財ブランドの確立です。社名を聞くだけで一流の社員・組織として想起され、羨望されるような企業になる。そのような理想像に向けて私は、資生堂を人・文化・組織の面から変革していくことに大きく貢献していきたいと思います。どうぞご期待ください。

2024年4月

これまでの主な取り組み

  • 【人事制度・組織開発】

    • 適所適財に向けた「ジョブ型人事制度」の国内本格導入(管理職は2015年10月~、一般社員(総合職)は2021年1月~)
    • 資生堂グループ共通の「グローバルグレード制度」を導入
    • 海外地域へのグループ共通賞与制度(One Shiseido Bonus Program)の導入
    • グローバルエンゲージメント調査の実施(2022年 肯定的回答率 65%、隔年実施)
  • 【育成】

    • 上司以外の管理職と対話するキャリアメンタリングプログラム実践(2023年 184名受講)
    • グローバルリーダーシップトレーニングの継続実施(2023年 153名参加)
    • 自律的学習プラットフォームLinkedIn Learningのグローバル展開(2023年 約14,000名受講)
    • 次世代を担う経営リーダーを育成する「Shiseido Future University」始動(2023年11月~)Shiseido Future University
  • 【DE&I】

    • 若手社員がリーダー層のメンターとなるリバースメンタリングを日本で実施(5年累計 148名参加)
    • 女性リーダー育成の研修「NEXT LEADERSHIP SESSION for WOMEN」を日本で実施(7年累計 266名参加)
    • 女性役員と女性社員のメンタリングプログラム「Speak Jam」を日本で実施(4年累計 165名受講)
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