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いい顔に迫る資生堂クロストーク「ONE ON ONE」

ラグビー選手 福岡 堅樹 × 女優 吉岡 里帆

ラグビー選手 福岡 堅樹 × 女優 吉岡 里帆

チーム全員の個性を活かす

吉岡

福岡選手は5歳の時にラグビーをはじめられたんですよね?

福岡

はい、そうです。父が高校、大学とラグビーをしていて、息子といっしょにラグビーがしたかったそうなんです。それで父に練習に連れていかれて、そのままハマってしまった感じです。

吉岡

2019年のワールドカップ日本大会を観て、ラグビーの楽しさに目覚めた方々がたくさんいると思いますが、まだ触れたことのない人たちにはどんな言葉で魅力を伝えますか?

福岡

いろいろな個性を活かせるところが魅力のひとつかなと。大きい人には大きい人の役割があるし、小さい人にもその人にしかできない役割がある。チーム全員が個性を活かして、それぞれの役割をしっかり果たせば、個の力で劣る相手にも勝つことができるという面白さがあると思います。

吉岡

みなさんの雰囲気やチームワークが素晴らしかったですよね。

福岡

日本人選手も外国人選手も入り混じって、みんな仲がよかったです。ただ「ONE TEAM」と言っても、実際にそこまで辿り着くのは難しくて、僕らもいろいろあったんですね。スタッフと選手の考え方の違いとか、日本人と外国人の文化の違いとか、長い時間をともに過ごすことでそういったものを乗り越えて、ひとつになることができたので、日本の社会でもそういう流れがもっとできたら嬉しいなと思います。

吉岡

個性と言えば、福岡選手は本当に足が速いですよね。映像で拝見したのですが早送り映像のようで驚きました。

福岡

僕はそこで勝負しているので(笑)。僕にとってラグビーの楽しさとは、何とかして止めに来るディフェンスを、スピードを活かして、少しも触らせずに抜き去る時の爽快感が一番です。それが病みつきになってますね。

吉岡

福岡選手の50メートルの記録が5秒8で、日本の室内記録が5秒75なんですよね。陸上選手にもなれるんじゃないかって、素人考えで思っちゃいましたが、そういうものではないんですか?

福岡

いえいえ、それはなかなか(笑)。僕の場合、最初は速いんですけど、そこからの伸びが陸上選手はまったく違うので、やっぱり専門にやってる方は凄いみたいです。

吉岡

ラグビーに適した走力なんですね。

福岡

だから僕は加速で勝負して、相手を諦めさせるようにしています。相手がもう追いかけてこないように。それから走り方もラグビー向きで、かなり前傾した走り方なんです。姿勢が低い分、相手がタックルしづらいので、そこも強みのひとつかなと思います。

吉岡

本当にラグビーをするために神様が力を与えてくれたんでしょうね。

ラグビー選手 福岡 堅樹 × 女優 吉岡 里帆

あまり悩むクチじゃない

吉岡

自分の強みが明確で、自信もみなぎっているように見える福岡選手ですけど、ラグビーに対して悩みや迷いがあった時期はありますか?

福岡

一度だけラグビーを辞めたいと思った時期があって、それが2015年、前回のワールドカップ直前の宮崎合宿の時です。当時の日本代表ヘッドコーチだったエディ・ジョーンズさんが本当に厳しい人で、特に若手にはめちゃくちゃ厳しくて、オフレコでしか言えないようなことをさんざん言われて(笑)。練習もハードだったので、心と体にストレスがかかって逃げ出したい気持ちになったんですね。

吉岡

こんなにタフな方がそこまで?

福岡

おかげさまで耐性がついたので、世の中の理不尽にはだいたい耐えられるようになりました(笑)。今となっては、その時の苦しみがあったからこそ2019年の厳しい代表合宿を苦にせず乗り越えられたと思うので、やはり経験が生きたんだと思います。

吉岡

高校時代には膝の靭帯を断裂する怪我をされてますよね。その状態でもプレーされたことがあると聞いて、どれだけメンタルの強い方なんだろうと思ったんですけど。

福岡

あまり悩むクチじゃなくて、今までの人生でも後ろ向きになったことがそれほどないんです。怪我したら怪我したで、じゃあ次はどうしようとか、最悪を想定すればそれよりマシだとか、すぐ切り替えるようにしていて。いい意味で淡泊というか、こだわりが薄いので、そこも自分の強みにしています。

吉岡

福岡選手は7人制ラグビーの日本代表をめざした後、医師の道に進むことを公言されています。選手として脂の乗ったこの時期に引退されるなんて、惜しむ声が多いと思うんです、辞めないでって。

福岡

そうやって求めてもらえるのは嬉しいことなので、もちろんありがたい気持ちはあるんですけど、ワールドカップ日本大会というゴールがあったからあれだけのパフォーマンスができたと思いますし、やりきったという充実感も得られたんですね。アスリートにとっては引き際も大事なので、別の夢をめざすためには今のタイミングしかないのかなと思っています。

吉岡

私、同い年なんですよね。この年齢で引き際を明確にできるなんて、本当にカッコいいなと思います。

福岡

どちらかと言うと、もともとは医師を志す気持ちのほうが強かったんです。それがたまたま日本代表に入ることになって、ワールドカップ日本大会が決まって、じゃあそこまではやりたいと思ったんですね。だから最初からこうするつもりでした。

吉岡

医師をめざしていたところで、日本代表に選ばれるまでの才能が見出されたんですね。ある意味、才能って罪ですね…。

福岡

若手でさらにいい選手が出て来てますから。

吉岡

では福岡選手が注目する選手を教えてください。

福岡

同い年でまず松島幸太朗選手。彼の才能はピカ一なので、今後は彼が中心になってやってくれると思います。あとはパナソニック・ワイルドナイツに新しく入ってきた竹山晃暉選手。彼も僕と同じポジションですけど、僕にはない嗅覚を持っていて、トライが起きる場所には必ず彼がいるんです。同じチームにいる間に少しでも伝えられることを伝えて、日本代表に食い込んでいってほしいなと思っています。

医師になる夢も実現したい

吉岡

これまでの競技生活で最高だった瞬間を教えてください。

福岡

間違いなくワールドカップ日本大会のスコットランド戦ですね。自分たちの目標であるベスト8進出を達成した瞬間は、今まで生きてきた中で最高の瞬間だったと言い切れると思います。

吉岡

目前にはまだ7人制ラグビーという目標が控えていますね。

福岡

僕は目標がないと頑張れないタイプなので、何もなかったら家でぐうたらしているだけだと思うんです。まず目標を決めて、そのために毎日100%尽くそうと思って生きているので、挑戦できるチャンスがあればやはりアスリートとしてそこをめざしたいと思います。

吉岡

7人制に向けて、今もっと強化していきたい、ブラッシュアップさせたいと思っているのはどんな点ですか?

福岡

7人制は15人制と違って、立ったままボールをどんどんつないでいくんですね。そういう点では、周りを使うプレーをもう少し磨いていきたいかなと。15人制では自分自身がトライを獲る、リスクが多少あっても自分で何とかしようとするようなプレーが多いんですけど、周りともっとコミュニケーションを取りながら、周りを活かすプレーの引き出しを増やしていきたいです。

吉岡

先ほどはこだわりが薄いとおっしゃってましたけど、反対にものすごくこだわってしまうことってありますか? ラグビーに関係ないことでもかまわないので。

福岡

コーヒーが好きなので、コーヒーを淹れる時間はしっかり大切にしたいなと思ってますね。

吉岡

素敵だと思います!

福岡

それから「夢」というこだわりもあると思います。自分がやりたいと思うことは譲りたくないので。医師になる夢を実現できたら、僕自身も怪我をしてきて、怪我をした人の気持ちは理解できるので、患者さんの気持ちに寄り添っていけるドクターになりたいなと思っています。

資生堂クロストーク「ONE ON ONE」