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2025年11月10日

発行元:(株)資生堂

経営・業績

資生堂、2030 中期経営戦略を策定

~ブランド価値最大化による新たな成長軌道へ~

資生堂は、2030年に向けた「2030 中期経営戦略」を策定しました。当社は、前中期経営戦略「SHIFT 2025 and Beyond」および「アクションプラン 2025-2026」において、注力ブランドへの選択と集中、グローバルでの抜本的な構造改革を遂行し、より強固な収益基盤の構築に取り組んできました。本戦略では、その基盤をもとにブランド価値を最大化するため様々な取り組みを進め、持続的な成長に不可欠な新たな価値創造へ再投資できる好循環を生み出します。新たな成長を実現することによって企業価値・社会価値の最大化をねらいます。まずは、2026年はアクションプランで掲げたコア営業利益率目標の7%を確実に達成し、そこからコスト構造最適化により利益率を3%向上させる計画です。そして、2025年~2030年までの年平均売上成長率を市場を上回る+2~5%と設定し、2030年コア営業利益率10%以上の実現を目指します。

2030 中期経営戦略 概要

当社は企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」のもと、2030年目指すビジョンを「ひととの繋がりの中で新しい美を探求・創造・共有し、一人ひとりの人生を豊かにする」と定めます。また、このビジョンを体現するスローガンとして2005年に発表した「一瞬も 一生も 美しく」を改めて掲げ、その意義を深く追求していきます。激しく変化する社会の中で、人の生き方が多様化する今だからこそ、資生堂は一人ひとりに向き合い、「新しい美」を探求し、世界中の人々に届けていきます。当社の強みは、価値創造力、価値伝達力、それらを融合し新たな美を実現する社員にあります。価値創造力とは、「人を一生という時間軸で捉え、肌・身体・心の全体を対象に研究」するR&Dや、「安心・安全な品質への信頼を担保」する生産技術・品質保証を指します。価値伝達力には、「感性に訴える新しい文化・価値を提言」するクリエイティブや、「感動を生み、生活者と深く繋がる顧客体験」を届けるおもてなしの心が含まれます。そして、けん引していくのが社員の力です。これらの強みをさらに磨き、3つの戦略の柱を定め実行していきます。

戦略の柱1:ブランド力の向上を通じた成長加速
今後の成長領域を明確化し、市場環境と当社の競争優位性に基づくカテゴリー別戦略を定義した結果、今後は、中核となる「スキンケア」、「サンケア」を軸に、「メイクアップ」、「フレグランス」、「メディカル&ダーマ」、「ライフスタイル」分野へ注力していきます。また、それぞれの成長領域で、カテゴリーのトップを目指すブランドを配置したブランドポートフォリオを再構築しました。以下の3つの手法を活用して成長を目指します。
① 技術力を活かしたイノベーションの最大化
当社の強みである独自の研究技術を、「特定のブランドのコアとして活用」、「コーポレート横断で活用」することで、イノベーションを最大化します。現在もしみ、しわ、たるみといった肌悩みへアプローチするための最新知見が商品へと搭載されていますが、これから2028年までにさらに10以上の最新技術をブランドへ搭載し、新商品を継続的に発売する予定です。
② 展開国拡大による成長加速
フレグランス:米州とアジアパシフィックでの成長機会を捉え、欧州以外の市場でのプレゼンスを強化
サンケア:先進技術と処方技術の強みを活かし、欧州市場の成長機会へチャレンジ
スキンケア:プレステージブランドを通じて、世界中の富裕層に比類なきブランド体験を提供
③ 新しいカテゴリー・領域への拡張を通じた新市場創造
「メディカル&ダーマ」、「ライフスタイル」という新たなカテゴリーを確立します。また、エイジングケアの領域での知見を活かして65歳以上の肌質を捉えた「ライフステージパートナーシップ」や「美の検診」の領域を拡張することで、新しい市場を創造していきます。またCEO直轄体制で、「生活者との共創」や「外部協業」を通じて、新たなビジネス・価値創造モデルへ挑戦します。
さらに、生活者と深く繋がるブランド体験も強化することで、一人ひとりのニーズに応え、愛用者基盤を維持拡大していきます。また、地域ごとに注力テーマに沿い、具体的に定めたアクションプランの実行を徹底することで、全地域で収益性の改善を進めます。アジアパシフィック、米州、欧州では2桁のコア営業利益率を目指し、日本と中国・トラベルリテールに偏っている利益バランスの適正化を図ります。

戦略の柱2:グローバルオペレーションの進化
(1) バリューチェーンにおけるオペレーショナルエクセレンスの追求
バリューチェーン全体を通して、「グローバル最適化」「リードタイム短縮」の2つの側面から全体最適化を図ります。地域・機能を横断したクロスファンクショナルチーム体制で推進し、課題解決のスピードをあげ、その効果の最大化を狙います。
(2) デジタル/AIの戦略的活用
AI投資を強化しAI活用を加速することで、価値開発力の強化、バックオフィス業務の高度化・自動化、顧客体験・ロイヤリティ向上を進めます。
(3) マトリクス組織の進化
個々の機能強化と全体最適化をすすめ、アジリティの高いグローバル体制を構築します。

戦略の柱3:サステナブルな価値創造
(1) 人財戦略(社員の成長をかなえる組織の確立)
新たな挑戦の機会の拡大、当社が大切にする価値観の体現、グローバルで一体感のある組織を土台に、強力に人財育成を進めます。人財開発投資を、次の5年間は25年実績の3倍水準に拡大します。
(2) サステナビリティ戦略(DE&Iによる社会価値創出・適切な環境対応による社会課題解決)
社会の側面では、誰もが自分らしく美しく生きられる社会の実現を目指し、「ジェンダー平等」、「美の力によるエンパワーメント」、「人権尊重の推進」について取り組みを加速していきます。環境の側面では、人と地球の両面から持続可能性を高めていく 「資生堂ビューティー・サーキュラーモデル」を確立し、豊かな自然環境の実現に貢献します。「地球環境の負荷軽減」、「サステナブルな製品の開発」、「サステナブルで責任ある調達の推進」に取り組み、社名の由来である「万物資生」を体現していきます。

財務戦略

注力領域への積極投資により市場を上回る成長を実現し、安定的に資本コストを超えるリターンを創出できる経営の実現を目指します。2030年の財務目標として、コア営業利益率 10%以上、ROIC 10%以上、ROE 12%以上、フリーキャッシュフロー1,000億円以上を掲げます。キャッシュアロケーション・株主還元については、リターンを重視した規律ある投資で強化したキャッシュ創出力を基盤に、成長投資と株主還元に資本を効率的に配分することで企業価値を最大化し、株主価値のさらなる向上を実現します。2026年~2030年累計で5,000~6,000億円の営業キャッシュフローを見込み、設備投資、負債返済、配当の順に配分します。設備投資は、AI・デジタル関連をはじめ、将来の競争力強化につながる分野を中心に資源を投入します。また、配当金については、DOE2.5%以上を目安に、長期安定的かつ継続的な還元拡充を維持し、業績や市場環境を踏まえ、自己株式取得も機動的に検討していきます。

※このリリースに記載されている内容は発表時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご留意ください。