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2024年05月27日

発行元:(株)資生堂

研究・サプライネットワーク

第15回中国化粧品学術検討会で、資生堂がリードする肌の「たるみ」研究知見が1等賞を受賞

~中国現地研究所発の技術も含め、エントリーした4報すべての論文が受賞~

資生堂は、中国香料香精化粧品工業協会が主催する、第15回中国化粧品学術研討会(2024年5月24~26日、中国・江蘇省無錫市)における優秀論文として、179件の論文エントリーの中から「1等賞」、「2等賞」2件と「優秀賞」を受賞しました。当受賞は研究内容に加え、中国化粧品業界の技術進歩への貢献が評価されたもので、今回、当社がエントリーした4件の論文全てが受賞し、うち1件は中国現地の研究所で企画・推進まで全てをリードし創出された技術についてのものです。また、最も優秀な研究に贈られる「1等賞」については、資生堂として通算9回目の受賞となります。これら、グローバルな研究開発ネットワークを活かして生み出された最新研究や高い技術を、中国専用ブランド「オプレ」をはじめ、グローバルに展開する「エリクシール」や「SHISEIDO」ブランドなどの化粧品開発へ幅広く活用していきます。

授賞式にて1等賞を受け取る 江連フェロー

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受賞した研究論文の概要

【1等賞】
●論文タイトル:肌の抗重力システム『ダイナミックベルト』の解明 ~皮膚解析を革新する「4Dデジタルスキン」の開発~
●発表者:資生堂 みらい開発研究所 江連智暢フェロー
●論文の概要:加齢に伴い、重力で肌がたるみ、見た目の老化に繋がります。しかし、重力に肌が抵抗するシステムは謎に包まれていました。今回、研究チーム(国際医療福祉大学 医学部形成外科学 松﨑恭一主任教授と自治医科大学、生理学研究所)は世界に先駆けて肌内部の動きを4次元的にビジュアル化する「4DデジタルスキンTM」を開発することで、その謎に迫りました。解析の結果、顔の肌には、立毛筋という微小な筋肉が高密度で配向し、これが重力に抵抗して肌を支える可能性が示されました。そこで、この立毛筋による抗重力システムを「ダイナミックベルトTM」と呼ぶことにしました。一方、加齢とともに立毛筋が衰え、ダイナミックベルトの機能が低下することで、たるみに繋がることが示唆されました。さらに、肌をストレッチすることが、衰えた立毛筋を活性化することを明らかにしました。今回得られた知見を基に、新たなスキンケアの開発を進めていきます。

資生堂 みらい開発研究所 江連智暢フェロー

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【2等賞】
●論文タイトル:高分子保湿剤が肌内部で働く、革新的な年齢肌用スキンケア ~ヒアルロン酸を送達し効果を高める体積制御技術~
●発表者:資生堂 みらい開発研究所 藤井美佳研究員
●論文の概要:ヒアルロン酸の体積を制御し、肌への浸透性を高める技術を開発しました。ヒアルロン酸は、様々な化粧品に活用されていますが、分子量が大きいため、肌表面に留まって高い保湿効果を発揮します。一方、保湿効果を持つ高分子量のヒアルロン酸を肌の角層内部に届けることは困難でした。また、皮下組織まで直接注入できる美容医療のヒアルロン酸注射は、侵襲的であり、全顔に適用できないという課題がありました。当技術によりヒアルロン酸の体積を小さくし、角層に浸透しやすくすることで、角層の柔軟性や透明度の向上が認められました。また、小さくなったヒアルロン酸の体積を再度大きくすることにより、角層水分量や肌のキメ状態の改善が認められたことから、ヒアルロン酸の効果を肌内で発揮させる画期的な製剤への応用が期待されます。


●論文タイトル:納豆菌の同種菌の発酵から得られる環状ペプチドのスキンケア機能の探求
●発表者:資生堂 中国イノベーションセンター 曲睿(チウ ルエイ)製品開発シニア研究員
●論文の概要:納豆菌と同種の枯草菌から発酵させて得られる生物界面活性剤に注目しました。その特異な親水性の高さを活かし、さらにサステナブルな補助乳化成分と併用する際の水、油、界面活性剤の適切なバランスの状態を研究しました。その結果、天然由来成分でつくられた透明で安定性の高い、大量生産可能なナノエマルジョンを開発することに成功しました。さらに、このナノエマルジョンパーツを配合することで、良好な浸透感と高い薬剤浸透効果をもつスキンケア製剤をつくることができるようになりました。

資生堂 みらい開発研究所 藤井美佳研究員

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資生堂 中国イノベーションセンター 曲睿(チウ ルエイ)製品開発シニア研究員

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【優秀賞】
●論文タイトル:容器のライフサイクルにおけるCO₂排出量削減のための充填・成形技術について
●発表者:資生堂 ブランド価値開発研究所 大高康佑研究員
●論文の概要:環境問題への取り組みは、化粧品業界において非常に重要な企業使命のひとつと考えられています。私たちの化粧品容器は基本機能としての化粧品の品質担保だけでなく、環境負荷にも配慮し、かつ情緒的な価値を提供するものでなければなりません。従来技術では、環境負荷を低減した設計と情緒的な価値を両立するのが難しく、私たちは容器の成形と中味充填を同時に行う新技術の活用を試みました。この新技術では従来の標準的な同容量のつけかえ容器と比較して、容器包装のライフサイクルにおけるCO₂排出量を約70%削減できることがわかりました。結果として、私たちは上記2つの要素を両立した容器開発を実現しました。

資生堂 ブランド価値開発研究所 大高康佑研究員

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中国香料香精化粧品工業協会

中国香料香精化粧品工業協会(China Association of Fragrance Flavour and Cosmetic Industries, CAFFCI)はエッセンス・香料、化粧品および化粧品の原料、機器、包装、関連研究開発、デザイン、教育などの企業、機関、および個人で構成された非営利団体です。中国化粧品学術研討会は2年に一度開催される、化粧品に関する研究発表と学術討論の一大発表会であり、論文賞には、中国国内外の多くの企業・大学・研究機関が参加し、中国化粧品産業の技術進歩に貢献する優秀な論文が選考されています。



※本学会における資生堂の受賞歴についてはPDFでご確認いただけます。

※このリリースに記載されている内容は発表時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご留意ください。