2023年12月20日
発行元:(株)資生堂
経営・業績
指名委員会等設置会社への移行および収益性向上に向けた経営改革について
資生堂は、本日開催の取締役会において、2024年3月に開催予定の第124回定時株主総会において承認されることを条件として、当社の取締役会の機関設計を「監査役会設置会社」から「指名委員会等設置会社」に移行することを決議しました。
事業構造改革・中長期成長について
当社は、本年より2023年~2025年までの3カ年を中心に取り組む中期経営戦略「SHIFT 2025 and Beyond」において、中長期的な成長を目指すために、「ブランド」、「イノベーション」、「人財」の3つの重点領域への投資を強化しています。しかし、昨今の急激な外部環境の変化を受け、本中期経営戦略をさらに強化する必要が出てきています。そのため、事業構造改革と積極投資による高収益構造への転換による持続的な安定成長を目指し、グローバルで400億円を超えるコスト削減を実現するとともに、戦略的投資を通じて米州/欧州/アジアパシフィック事業を飛躍的に成長させます。これにより、地域別売上高および利益において一部地域への依存を修正のうえ適正な地域ポートフォリオへ転換し、不透明で変化の激しい市場環境にも柔軟に対応できる経営基盤を構築します。
こうした取組みを迅速かつ着実に実行するため、収益性向上に向けた経営改革を行います。また、「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー」として企業価値向上を目指すための経営戦略の重要な要素として、コーポレートガバナンスについても、一段の強化を図るべく、以下の通り変革を実施いたします。
指名委員会等設置会社への移行について
当社は、コーポレートガバナンスを持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するための基盤と位置づけています。従来より、モニタリングボード型を指向した取締役会運営等、透明性・公正性を確保しながら、戦略策定とその迅速な執行を行うためコーポレートガバナンス進化に向けた取り組みを行ってきましたが、今回これを一段進めることで、更なる企業価値向上を目指します。
(1) 移行の目的と概要
既述の事業構造改革の遂行を支える体制構築として、業務執行と監督の機能を明確に分離しそれぞれの強化を通じて、経営環境の不確実性が増す中でも戦略の実効性を高めるために、指名委員会等設置会社への移行を決定しました。
取締役会は、経営戦略・事業計画の決定とそれらの執行の監督に集中することで、監督機能を強化し、変化の激しい環境下で、迅速な対応が求められる執行の取り組みを促します。また、指名委員会および報酬委員会は、独立社外取締役のみで構成し、戦略の実現に繋がる役員指名と報酬の決定を、公正に透明性・客観性高く実現します。さらに、内部監査部門の機能を強化し、監査委員会はこれを通じた実効性の高い監査を実施します。
これに対し執行は、代表執行役を中心として、よりスピード感をもった意思決定および業務執行を担います。同時に、CEOを中心に確実な成果を創出する自律的な監督・モニタリング機能を強化し、結果への責任とアカウンタビリティを果たします。
(2) 具体的な体制
取締役会の過半数は独立社外取締役で構成し、指名委員会、報酬委員会はすべて独立社外取締役で構成する予定です。なお、移行後体制における取締役候補者は、本日付け「取締役および執行役体制について」にて別途開示しております。
(3) 移行の時期
2024年3月に開催予定の第124回定時株主総会において、必要な定款変更について承認をいただき、指名委員会等設置会社に移行する予定です。移行に伴う定款変更の内容は追って開示いたします。
組織改革と執行体制の強化 ~中長期戦略の再構築および実行を推進~
当社は、戦略および重要な決定事項を議論・決裁する「グローバルストラテジーコミッティ」を設置し、事業運営しています。こうした執行でのコミッティに加え、各エリア・領域ごとのアカウンタビリティを、これまで以上に明確にし、事業構造改革の結果を確実に出すために「実行・モニタリングの強化」をすべく、CEOを委員長とする「グローバルトランスフォーメーションコミッティ」を2024年から設置します。このコミッティには、6つの地域本社(日本/中国/アジアパシフィック/米州/欧州/トラベルリテール)に、グローバル本社、サプライネットワーク、マーケティング&イノベーションの3つを加え、合計9つのタスクチームで編成します。それぞれ、「グロスプロフィットの拡大」、「抜本的なコスト削減と人的生産性の向上」という2つの軸で、アクションプランを実行し、ターゲットの達成に向けて、トラッキングを強化します。
(1) グロスプロフィットの拡大
画期的なイノベーションを通じたブランド力の強化による売上成長のみならず、選択と集中をもう一段進めます。グロスプロフィットを優先したブランドミックス、プロダクトミックスに転換することに加え、競争力の高い適正な価格設定、物流効率化等を通じた原価率低減により、売上成長率を超えるグロスプロフィットの拡大に徹底して取り組みます。
(2) 抜本的なコスト削減と人的生産性の向上
2015年から2017年に実施した「グローバルでのコスト削減プロジェクト(実績633億円)」に、再度、取り組みます。コロナ禍に実施した事業譲渡、足元での市場環境変化、中長期的な市場環境見通しを踏まえたコスト構造への適正化を完遂すべく、IT、物流、購買、オフィス、経費など、グローバルで聖域なきコスト削減を進めます。また、マーケティング投資についても、データを活用してROIを一層高め、収益性向上を実現します。
さらに、市場の変化に柔軟に対応した利益創出を実現すべく、固定費比率の低減にグローバル全体で取り組みます。統合基幹システム(FOCUS)の刷新と業務改革が2024年に完了することで、間接部門の生産性を徹底して向上することに加え、EC売上構成比を飛躍的に高めることで、グローバルで人員規模の適正化を実現します。
グロスプロフィットの拡大と2024~2025年の2年間での400億円超のコスト削減を通じて、確実に収益性を高めます。また同時に、経済環境の変化を十分に精査しながら、マーケティング強化に機動的に再投資することで、成長性の拡大につなげ、持続的な収益性向上と中長期的な企業価値向上の実現をより強力に推進していきます。
※このリリースに記載されている内容は発表時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご留意ください。