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2020年12月24日

発行元:(株)資生堂

文化・スポーツ

資生堂、複合的な物理刺激が肌の若返りを促す新知見を発見

-新たな肌を生み出す能力に重要な血管と幹細胞にアプローチ-

資生堂は、高周波・低周波を含む複合的な物理刺激(STエネルギー)※1を肌組織に作用させることで、毛細血管の密度を高め、新しい肌を生みだす真皮幹細胞※2の数を増やすことを発見しました。幹細胞がその能力を十分に発揮するためには、土台となる毛細血管が太く、高密度で存在し、健やかな状態であることが重要です。これまでにも有用な薬剤などの開発に取り組んできましたが、本研究では新たに、STエネルギーが毛細血管と幹細胞にアプローチし、肌の若返りを促すことを見出しました。また、今回の知見に基づき、STエネルギーを含む複数の物理刺激を、物理刺激を肌に伝えるための最適化された基剤とともにヒトの顔面皮膚に作用させた結果、弾力性(ハリ)の改善や、頬・フェイスラインの引き締めなどの効果がみられました。
今後も、企業使命である「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」の実現を目指し、化粧品の枠に留まらない新しいアプローチも視野にいれて、お客さまの健やかで美しい肌のために研究をすすめていきます。

※1: ヤーマン株式会社の実験用機器を用いて検討を実施しました。
※2: 真皮に存在する多様な細胞を生みだす能力のある細胞で、肌を構成する細胞である線維芽細胞などの基となります。

図1: 知見を応用したアプローチの効果 (※個人に最適化した物理刺激を与えた結果の一例)

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新たな肌を生みだす真皮幹細胞と毛細血管の関係性

若々しい肌を実現するためには、新たな肌を生みだす母細胞である「真皮幹細胞」の働きが重要です。当社の長年にわたる皮膚科学研究により、真皮幹細胞がその能力を十分に発揮するためには、肌内部の毛細血管が健やかであることが重要だとわかってきました※3。真皮幹細胞は、肌深部の毛細血管の周りで維持・安定化され、存在しています。真皮幹細胞が血管の周りで安定化して存在するためには、毛細血管との相互作用を高め、真皮幹細胞を安定化させる「真皮幹細胞安定化因子」が必要であることがわかっていますが、この因子は加齢とともに減少し、真皮幹細胞の数も減少してしまうことが明らかになっています。また、毛細血管を良好な状態に維持することが肌の弾力に重要であることもわかっています※4。
つまり、健やかで美しい肌を目指すためには、真皮幹細胞と毛細血管を良好な状態に導くアプローチが鍵になるといえます。この肌再生の鍵をターゲットとして、過去にも有用な薬剤の開発を進めてきましたが、今回はさらに、物理刺激によるアプローチで肌再生を促す手法の研究を進めました。

※3: 真皮幹細胞に関する4つの発見(2012) https://corp.shiseido.com/jp/newsimg/archive/00000000001388/1388_z8c33_jp.pdf
※4: 肌の弾力と毛細血管の関係性を解明(2020) https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000002780
毛細血管が肌の弾力を生み出すメカニズムを解明(2020) https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000002911

STエネルギーが肌の若返りを促す

本研究では、高周波・低周波を含む複合的な物理刺激(STエネルギー)が肌深層の毛細血管に働きかけ、 ①血管密度を高める効果、②真皮幹細胞の数を増やす効果、③真皮組織成分を産生する能力を高める効果をもたらすことを発見しました。

①血管密度を高める効果
肌組織にSTエネルギーを作用させることで、肌組織内部の毛細血管の密度が増加することがわかりました。(図2)
②真皮幹細胞の数を増やす効果
肌組織にSTエネルギーを作用させることで、肌組織内部の真皮幹細胞の数が増えることがわかりました。(図3)
③真皮組織成分を産生する能力を高める効果
肌組織にSTエネルギーを作用させることにより、真皮を構成する成分であり、肌のハリや弾力につながるV型コラーゲン・弾力線維(フィブリリン1)の形成が促進されました。(図4,5)


図4: V型コラーゲンの形成促進

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図5: 弾力線維の形成促進

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参考:本知見の応用例

当社の長年にわたる皮膚科学研究の成果と今回得られた新たな知見を応用して、STエネルギーを含む複数の物理的な刺激を、物理刺激を肌に伝えるための最適化された基剤とともにヒトの顔面皮膚に作用させた結果、弾力性(ハリ)の改善や、頬・フェイスラインの引き締めなどの効果がみられました。これは、この基剤単独での作用と比べてより高い効果を示しており、複合的な物理刺激は基剤と相加効果を生んでいることが確認されました。

今後、本研究成果を活用し、化粧品の枠に留まらない新しいアプローチも視野にいれながら、お客さまの健やかで美しい肌を実現していけるよう、研究をすすめていきます。

図6: 知見を応用したアプローチの効果

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※このリリースに記載されている内容は発表時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご留意ください。