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2020年08月20日

発行元:(株)資生堂

研究・サプライネットワーク

資生堂、“オルタナティブオートファジー”を世界で初めて化粧品分野に応用

皮膚の細胞を内側から健やかにする新しいアプローチ

資生堂は、東京医科歯科大学との共同研究により、生体に備わる細胞の特別な応答機構“オルタナティブオートファジー※1”を世界で初めて化粧品分野に応用し、皮膚の細胞を内側から健やかな状態に整えて良好な細胞活動をサポートする新しいアプローチを見出しました。また、カメリア種子抽出液にオルタナティブオートファジーの発動を促進する作用があることを発見しました。
今後得られた知見を活用し、生命感にあふれる健康的な美しさをもつ肌へと導くスキンケア製品の開発を目指します。本研究成果の一部は「Cell Symposia-Multifaceted Mitochondria」(2020/11・スペイン)で発表予定です。

※1: オルタナティブオートファジー(Alternative autophagy)は、通常のオートファジーと異なり、細胞に過度なダメージが加わった時に発生する新たに発見された特別な応答機構で、細胞がダメージに負けず健やかに活動するために重要な役割を担っているとして注目されています。詳細は後述の「新たに発見された特別な応答機構 オルタナティブオートファジー」をご参照ください。

図1: オルタナティブオートファジーを活用した新しいアプローチ(イメージ図)

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細胞のエネルギー供給を担うミトコンドリア

私たちの皮膚は、バリア機能を担う表皮細胞やコラーゲンなどを産生する線維芽細胞などから構成されており、細胞が正常に活動することは健やかで美しい肌に重要です。加齢や紫外線などのダメージにより細胞の活動力が低下すると、皮膚の構造が乱れ、肌荒れやシワ、たるみなどの発生に繋がります。私たちは今回、細胞のエネルギー産生を担い、細胞の活動力の源となるミトコンドリアに着目して研究を進めました。
ミトコンドリアは細胞内に存在する器官で、細胞が活動するために必要なエネルギー(ATP)を産生しています。1つの細胞には300-400個のミトコンドリアが存在し、絶えず分裂や融合を繰り返し、生体活動におけるバランスを保っています。しかし、加齢や紫外線などによりミトコンドリアがダメージを受けると、ATP産生能が低下し、生体に悪影響を及ぼす活性酸素(ROS)を排出することがわかっています。

図2: 細胞のエネルギー供給を担うミトコンドリア(イメージ図)

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ミトコンドリアなど細胞内小器官の再構築に重要なオートファジー

生体には、細胞がミトコンドリアなどの細胞内小器官を自ら分解・処理するオートファジー(自食作用)※2という機構が存在しています。オートファジーは新陳代謝に貢献する細胞内浄化やストレス応答などにおいて重要な役割を果たしており、細胞内組織の再構築を促しています。オートファジーは日常的に行われており、例えば、機能が低下したミトコンドリアはこの機構により自ら再構築して機能を取り戻しています。

※2: 「自ら(Auto)」を「食べる(Phagy)」という意味を持つ「オートファジー(Autophagy)」は、1963年にクリスチャン・ド・デューブ博士(1974年ノーベル生理学・医学賞受賞)が提唱し、1992年に大隅良典博士がその仕組みを解明しました。大隅博士は「オートファジーの仕組みの解明」により、2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

図3: ミトコンドリアなどの細胞内組織は自ら再構築して機能を取り戻す(イメージ図)

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新たに発見された特別な応答機構 オルタナティブオートファジー

近年、日常的に行われている細胞内組織の再構築を行う通常のオートファジーとは異なり、紫外線ダメージによりDNAが損傷するなど、細胞が過度なダメージを受けたときに発生する特別な応答機構が東京医科歯科大学の清水重臣教授によって発見されました。これまで知られていたオートファジーとは全く異なるメカニズムで発生するこの機構をオルタナティブオートファジー※3といい、通常のダメージやストレスでは対応できないトラブルにも機能して細胞内組織の再構築を促す、特別な応答機構として注目を集めています。
資生堂は、東京医科歯科大学との共同研究により、この新しい機構を世界で初めて化粧品分野へ応用することに成功しました。また、皮膚の細胞において、カメリア種子抽出液がオルタナティブオートファジーの発動を促進する作用があることを発見しました。これはつまり、カメリア種子抽出液により皮膚の細胞が内側から健やかになり本来の力を取り戻すことで、生命感にあふれる美しい肌へ導く可能性を示しています。今後、本研究成果を活用し、新たなアプローチで肌を内側から輝かせるようなスキンケア製品の開発を進めていきます。

※3: 参考文献 オルタナティブオートファジー(Alternative autophagy):Nature 461, 654-658, 2009

図5: カメリア種子抽出液によるオルタナティブオートファジー発動促進作用

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※このリリースに記載されている内容は発表時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご留意ください。