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2020年05月25日

発行元:(株)資生堂

研究・サプライネットワーク

資生堂、毛細血管が肌の弾力を生み出すメカニズムを解明

ハリを内側から蘇らせる、太く丈夫な毛細血管を育てるスキンケア

資生堂は、毛細血管が肌の弾力を生み出すメカニズムを解明し、加齢や紫外線などのダメージで細く衰える毛細血管を太く丈夫な状態に保つためにニーム葉抽出液やドクダミ抽出液が有効であることを発見しました。今後、本研究成果を活用し、毛細血管をケアすることでシワやたるみなど肌の弾力低下によって生じる肌悩みを防ぎ、ハリのある肌へ導くスキンケア製品の開発を進めていきます。
本研究成果の一部は「国際化粧品技術者会連盟(IFSCC※1)ミラノ中間大会2019」(2019/9/30-10/2)で口頭発表し、最優秀賞を受賞しました。また「北米血管生物医学会Vascular biology 2019」(2019/10/27-31)で発表しました。

※1 IFSCC (The International Federation of Societies of Cosmetic Chemists): 世界中の化粧品技術者が集い、より高機能で安全な化粧品技術の開発へ向けて取り組む国際機関

太い毛細血管をつくる鍵 “弾力センサー” APJ

過去の研究で、毛細血管を良好な状態に維持することが肌の弾力に重要であることを明らかにしており※2、ハリを蘇らせるために、毛細血管を太く丈夫にするメカニズムの探索を続けてきました。
本研究では、毛細血管中に存在する因子APJ(図1)が周囲の弾力を感知して毛細血管の太さをコントロールする“弾力センサー”として働くことを発見しました(図2)。様々な弾力の肌モデルを用いた実験において、適度な弾力の環境下ではAPJの発現が高まり、毛細血管が太くなることを確認しました。一方、弾力が失われた環境下ではAPJの発現が減少し、毛細血管は細く不安定になります。そこで、APJの発現量を実験的に高めたところ、弾力のない環境下でも太い毛細血管を導くことに成功しました。

※2 2019年:資生堂、肌の弾力と毛細血管の関係性を解明https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000002780

図1 毛細血管上の弾力センサーAPJ

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図2 適切な弾力下で毛細血管は太く丈夫になる

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丈夫な毛細血管をつくる鍵 VE-カドヘリン

弾力を感知して太い毛細血管へ導くAPJの下流では、血管内皮細胞同士の接着を良好にし、血管を丈夫にするVE-カドヘリンという因子が働いています。本研究では、VE-カドヘリンが低下した毛細血管は細く衰えていくことを明らかにしました(図3)。更に、肌モデルを用いた実験で、毛細血管でVE-カドヘリンが低下すると、肌の弾力も低下することがわかりました。つまり、太く丈夫な毛細血管を維持することは、肌の弾力を向上させ、ハリある肌に導くと考えられます。

図3 VE-カドヘリンが低下すると毛細血管は細く衰える

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毛細血管を太く丈夫な状態に保つ薬剤の探索

加齢や紫外線などのダメージは、肌の弾力を低下させて弾力センサーであるAPJの発現を減少させると考えられます。また、VE-カドヘリンの機能低下も引き起こすことがわかっているため、老化と共に毛細血管は細く衰えていきます。当社は、毛細血管を強化する薬剤を探索した結果、ニーム葉抽出液にAPJ発現促進効果があること(図4, 5)、ドクダミ抽出液にVE-カドヘリン産生促進効果があること(図6, 7)を確認しました。これら薬剤の作用は、太く丈夫な毛細血管を育成し、内側からハリを蘇らせる効果が期待できます。今後、本研究成果を活用し、毛細血管のケアによって肌のハリを生み出す新しいスキンケア製品の開発を進めていきます。

図5 ニーム葉抽出液によるAPJ発現促進効果

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図7 ドクダミ抽出液によるVE-カドヘリン促進効果

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※このリリースに記載されている内容は発表時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご留意ください。