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サステナブルで責任ある調達の推進

資生堂は、有限な自然資源を活用し事業活動を展開しています。そのため、環境保全や生物多様性の観点、さらにサーキュラーエコノミーに対応した資源の使用量削減や再利用など、サプライチェーンにおけるサステナブルな原材料調達に責任をもって取り組むことが重要と考えています。また、人権侵害などの課題に対しても、自社だけではなくサプライヤーとの協働が不可欠です。

生物多様性の対応と原材料調達

資生堂の事業活動は地球の恵みと豊かな生物多様性に支えられています。
近年、生物多様性の急速な喪失が多くの科学者やNGO団体などから警告されており、種の保存の観点だけでなく、持続可能な事業の観点からも、事業と自然環境との関連についての透明性ある情報開示と、生物多様性の保全が求められるようになってきました。一般的に、原材料の生産地では乱開発による生物多様性喪失だけでなく、そこで働く人たちの人権問題も懸念事項になっています。

生物多様性に関するコーポレートの取り組み

資生堂は事業と陸域・水域・海洋の生物多様性との関係を分析し、原材料調達において陸域生態系への依存と影響が大きいことを特定しました。なかでもパーム油や紙は影響も重大なため、企業の積極的な対応が求められています。2020年に資生堂はパーム油と紙について中長期的な目標を開示し、サステナブルな原材料への切り替えを進めています。当社は、パーム油、紙の調達に関してNDPE(No Deforestation, No Peat, No Exploitation:森林破壊ゼロ・泥炭地開発ゼロ・搾取ゼロ)を支持し、サプライヤーに対してもNDPEの遵守徹底を要求しており、それらを「資生堂グループ 持続可能な原材料調達ガイドライン」にも反映しています。
マイカに関しては、自社での調達方針を明確にし、他企業と協働した生産地でのサポート体制の構築などを通じて、生産地域の問題解決に向けた取り組みを強化しています。

資生堂は、Taskforce on Nature-related Financial Disclosures(TNFD)の枠組みとLEAPアプローチを活用し、事業活動による自然への依存と影響の両面からリスク/機会の分析を進めています。事業所の管理者責任の観点から、TNFDメンバーを擁するMS&ADインターリスク総研株式会社に当社工場の敷地を含めた事業所周辺地域の希少生物生息地域や保護地区、水資源の状況などの詳細調査を依頼し、貴重さと重要性の観点から分析を行いました(センシティブロケーションとマテリアルロケーションの特定)。また、バリューチェーンを通じた間接的な影響を評価することを目的として、ライフサイクルアセスメントによる分析を実施しました。影響の大きい要因として特定された農産物由来の原料について、ミツバチなどの花粉媒介者による生態系サービスの価値を金額化し、調達における生物多様性への依存度を可視化しました。こうした分析の結果を、2023年には資生堂 気候/自然関連財務情報開示レポートにまとめて、開示しました。

今後は、実施した分析結果を踏まえ、生物多様性の回復・再生を導く活動の必要性を強く認識し、サプライヤーや外部有識者などのステークホルダーと協働しながら自然や生物多様性と調和した持続可能な事業活動を推進していきます。

生物多様性に関するブランドの取り組みと、その他の活動

資生堂は、さまざまなブランドや地域で生物多様性の保全に関する取り組みを行っています。
「SHISEIDO」は、2019年から “Respect for Ocean” をテーマに、グローバルで海を守る活動「SHISEIDO BLUE PROJECT」を実施しています。サーフィンの世界的団体「WSL(World Surf League)」のグローバルサステナビリティパートナーとして、より美しい海の実現に向けてローカルコミュニティーやNGO団体と連携し、ビーチクリーンや植樹活動などを継続して行っています。5年目を迎える2023年には、WSLの公式サンケアパートナーとして環境保全活動を継続するとともに、フランス・タヒチ島で行われる「Tahiti Pro」にて冠協賛をしました。

「樹木との共生」をテーマに掲げる「BAUM(バウム)」は2023年10月に岩手県盛岡市にある「BAUMオークの森」で、岩手県森林整備協同組合、住友林業株式会社とともに、第3回目となる植樹を行いました。BAUMは2020年の発売以来、「樹木の恵みを受け取るだけではなく、自然に還していく」というブランドの取り組みの1つとして、再びBAUMの木製パーツに使用する循環を目指した取り組みを行っています。

日本では、古くから多くの薬草が栽培されてきた伊吹山の自然保護活動を2022年より開始しました。独自の薬草園を開園し植物の栽培に加え、山麓に豊かな恵みをもたらす伊吹山の自然保護のため、当地域で環境保全に取り組むNPO法人「霊峰伊吹山の会」とともに、植生回復活動に取り組んでいます。2023年には、未利用の伊吹山の薬草を余すところなく活用するため、松田医薬品株式会社とともに薬草湯[蘇湯SOYU]を開発し、伊吹山の自然保護活動のためのクラウドファンディングの返礼品として活用しました。

  • 滋賀県米原市、岐阜県揖斐郡揖斐川町・不破郡関ケ原町にまたがる伊吹山地の半独立峰。標高1,377m日本百名山

農作物の受粉に重要な役割を担っているミツバチの減少が懸念されている欧州では、フランスのバル・ド・ロワール工場およびジアン工場がミツバチの保護と地域の生態系の保全をサステナビリティ計画に盛り込んでいます。ミツバチの巣箱を設置するとともに、工場敷地内での農薬の使用を禁止しました。設置したミツバチの巣箱からは、2023年は約179kgのハチミツが生産されました。

パーム油

  1. ※1:持続可能なパーム油のための円卓会議(Roundtable on Sustainable Palm Oil)
  2. ※2:RSPOの物理的なサプライチェーン方式により認証された原料
  3. ※3:2022年稼働の福岡久留米工場は2024年に認証取得予定
  4. ※4:食品・消費財メーカーや小売社が加盟する国際的な業界団体(The Consumer Goods Forum)
  5. ※5:持続可能なパーム油ネットワーク(Japan Sustainable Palm oil Network)
  6. ※6:資生堂社員および退職した社員の寄付金により、社会課題の解決に取り組むNPOやNGO団体を支援する社会貢献活動
  7. ※7:World Wildlife Fund for Nature
RSPO, Jonathan Perugia

RSPO, Jonathan Perugia

RSPO

資生堂は、資源の持続可能な利用と海洋プラスチックごみ問題の解決を目的として、化粧品の容器包装へのシングルユースプラスチックの使用を可能な限り削減するため、化粧品の外箱などの2次包装の紙化を積極的に進めています。一方で、紙の原料である木質チップを生産する植林地では、森林破壊や生物多様性の喪失、地域住民の権利侵害が問題となっており、環境や人権に対応したサステナブルな紙の使用が求められます。

資生堂は、2023年までに製品の容器包装に使用される紙を、100%サステナブルな紙に切り替えるという目標を達成することができました。
化粧品の容器包装には、環境配慮に加えて美しいデザインや重量に耐え得る強度などさまざまな特性が求められます。製紙メーカーとの協働により、こうした優れた特性や新しい機能の紙製容器包装のイノベーションにも取り組んでいます。
さらに、販促物やその他のオフィスにおけるコピー用紙など消耗品についてもサステナブルな紙への切り替えを推進しています。特に、販促物については、2023年から社内において「POSMエコデザインガイド」に沿って取り組みを進めています。例えば、販売台やハンディバッグ、リーフレットなどの紙器類を、認証紙や再生紙に切り替えています。また、一部の化粧品サンプル台紙については統一化・標準化により、紙の使用量削減を進めています。

  • 森林保全の観点から認証紙や再生紙を使用

マイカ

マイカは、美しい光反射や耐熱性から、美容関連産業だけではなく幅広い産業で使用されています。資生堂は、2017年にRMI(Responsible Mica Initiative)に加盟しました。RMIは、マイカ生産国の採掘現場から児童労働や強制労働を撲滅し、サステナブルで責任あるマイカ生産の確立を目標に掲げています。当社は、児童労働などの人権課題が懸念されるインド産マイカに関しては、RMI加盟企業からの調達や人権課題がないことの確認を進め、責任ある調達に努めています。
RMIは、2018年から2023年までの6年間で、NGO団体やインド政府、参加企業などと連携し、180の村のマイカ生産に従事することで生計をたてている約1万9,500の家庭、約9万5,000人にコミュニティエンパワーメントプログラムを実施し、彼らの収入と生計を改善する活動支援などを行いました。
資生堂は、今後もRMI加盟企業を中心に、社会的懸念のない生産者から供給されるマイカの使用に努めます。

Responsible Mica Initiative

トレーサビリティ

資生堂は、2023年に化粧品業界15社※から構成されるコンソーシアム「Traceability Alliance for Sustainable Cosmetics(TRASCE)」に参加し、主要な原材料に関して業界全体でサプライチェーンのトレーサビリティを向上することを目指しています。メンバー企業とともにISN社が提供する共通のデジタルプラットフォーム「Transparency-One」を用いてバリューチェーン全体の情報をマッピングすることに取り組んでいます。

  • TRASCEの創設メンバー企業15社: Albéa, Chanel, Clarins, Cosfibel group powered by GPA, Dior, The Estée Lauder Companies, Groupe Pochet, L’Occitane en Provence, L’Oréal, Merck, Neyret, Nuxe, Sensient, Shiseido and Sisley(アルファベット順)

サプライヤーアセスメントプログラム

エシカルなサプライチェーンの方針・活動

企業が持続的に発展していくためには、経済価値だけでなく社会価値の観点からも社会に貢献していくことが重要と資生堂は考えています。すべての事業におけるサステナブルで責任ある原材料調達を通じて、人権の尊重と環境の保全に取り組むことは私たちの務めです。

近年、社会課題や環境問題の深刻化に伴い、企業に対して各国法令の遵守はもとより国際条約や国際規約を尊重し、サプライチェーン全体でサステナブルな社会の実現に取り組むことが強く求められています。そのため、資生堂では調達に関する基準と方針などを定めています。

エシカルなサプライチェーンを実現するために、「資生堂グループ サプライヤー行動基準」、「資生堂グループ 調達方針」、「資生堂グループ 持続可能な原材料調達ガイドライン」を遵守し、また定期的にサプライヤー評価や監査によるモニタリングを行い、サステナブルで責任ある原材料調達を推進してきました。
さらに、ステークホルダーとの課題の共有・解決に努めるとともに、国際的な人権の専門家や原材料産地で働く方々をはじめとするさまざまな関係者との対話を図り、専門的な知見に基づいた責任ある調達の活動に取り組んでいます。

資生堂グループ 調達方針

私たちは、お客さまに満足いただける安全で優れた製品を提供するために、すべてのサプライヤーを尊重し、社会・環境面に配慮した持続可能な調達の実現を調達方針として掲げています。
コストや品質といった経済価値に紐づく項目に加えて、公正な取引、法令順守、異なる文化や価値観の尊重、人権尊重、環境配慮といった社会価値の共創に向けた方針を宣言し、サプライヤーに対し方針の内容を共有しています。
2022年2月に、サプライヤーと更にサステナブルで責任ある調達を積極的に推進していくため、本方針を改定し公表しました。環境や人権面でサプライヤーに遵守を求める内容を方針に規定するとともに、第三者監査実施等による厳格で客観的なリスク特定と是正プロセスの導入や、サステナビリティ観点でサプライヤーを評価することを明記しています。

資生堂グループ 調達方針[ PDF : 576KB ]

資生堂グループ サプライヤー行動基準

国連グローバル・コンパクトに参加したことを契機として、2006年に「資生堂グループ サプライヤー行動基準」を策定しました。この行動基準は、人権、法令遵守、労働慣行、知的財産の保護、機密の保持、環境保全、公正な取引に関する規範を明文化したもので、私たちと取引のあるすべてのサプライヤーに対して遵守を求めています。
サプライヤーと協働して持続可能な調達を実現するべく、サプライヤーアセスメントとその後の是正活動を含むサプライヤーアセスメントプログラムを定期的に実施しています。サプライヤー行動基準に違反していることが判明した場合には、是正要請、是正指導、支援を実施しています。

資生堂グループ サプライヤー行動基準(2019年6月発行版)[ PDF : 1.09MB ]

資生堂グループ 持続可能な原材料調達ガイドライン

原産国において環境・人権問題が深刻化している可能性が高いと判断した原材料については、問題への不関与を第三者認証された原材料への切り替えや、国際的なイニシアティブへの参加による問題解決を進めています。
そのなかでも近年、森林破壊や労働問題が強く指摘されたパーム由来原料、紙、そしてマイカについて問題解決に向けた目標と手段を明確化し、持続可能な調達を実現するためのガイドラインを策定しています。

資生堂グループ 持続可能な原材料調達ガイドライン [ PDF : 662KB ]

当社取扱品目とサプライヤーの概況

当社取扱品目

取扱品目は当社製品に関するパッケージ、原材料、香料などの生産用材、販売支援ツール、およびOEM調達品、生産委託品です。

資生堂は「資生堂グループ 調達方針」にある「よきパートナーシップの構築」、「公正な購買取引」、「契約の履行」、「責任ある調達の推進」、「多様な価値観の尊重」という方針に基づき、世界各国・各地域のサプライヤー889社※1、2と取引を行っています。

  • ※1:同一グループ会社は1社とカウント(1次サプライヤーのみ)
  • ※2:カテゴリ間で重複する場合は、1社とカウント

地域・カテゴリ別サプライヤー分布

戦略サプライヤー

戦略サプライヤーの特定

戦略サプライヤー特定のプロセス(年1回特定)

戦略サプライヤー

戦略サプライヤー数


サプライヤー数
1次 23社
1次以外 5社
合計 28社

お取引までの流れ

お取引までの流れ

サプライヤーアセスメントプログラム

持続可能なサプライチェーンの構築とサプライチェーン全体におけるリスクを可能な限り排除することを目指し、資生堂はサプライヤーアセスメントプログラムの実施を進めています。

資生堂では、2022年に改定した「資生堂グループ 調達方針」に基づきプログラムを実行しており、サプライヤーアセスメントによりリスクが高いことが判明し、監査で発見された課題が是正されていないサプライヤーとは取引を行いません。

新規のサプライヤーに対しては、まずEcoVadis/Sedex/資生堂SAQのいずれかの評価法※1でサステナビリティ(人権・労働安全衛生・環境・ビジネス倫理)の基準に対してセルフアセスメント(自己評価)を実施しハイリスクでないことを確認したうえで、「資生堂グループ サプライヤー行動基準」に合意いただいてから取引を行います。

既存のサプライヤーに対しても、前述の評価法を用いてサプライヤーを評価することで「資生堂グループ サプライヤー行動基準」の遵守状況を継続的に確認しています。

資生堂では、リスクの程度やビジネス上の重要性から、優先的にアセスメントすべき重要なサプライヤーをスクリーニングしています。スクリーニングにあたっては、サプライヤーのリスク(ESGリスク、国・産業・商材リスク)、スペンド、QCDST※2パフォーマンスなどを考慮しています。

資生堂のサプライヤーアセスメントフロー

セルフアセスメントの結果については、リスクの程度に応じてローリスク・ミドルリスク・ハイリスクの3種類にサプライヤーを分類し、ハイリスクに該当する場合は第三者監査※3を実施しています。

また、すべてのサプライヤーに対して対面またはオンラインでアセスメント結果のフィードバックを行うとともに、必要に応じ、従業員がサプライヤーの拠点を訪問し、改善に向けた議論も行っています。

第三者監査では、現場視察に加え、労働者インタビュー、必要書類の検証などが行われます。監査により発見された課題については、課題の是正を要請しています。重大な課題が見つかった場合は、再度第三者監査により是正状況を確認し、一定期間内に是正されていない場合は、取引の停止を検討しています。

  1. ※1:セルフアセスメントツールの詳細については、以下をご参照ください
ツール ツールの説明(主な評価項目など)
EcoVadis

方針、実施対策、結果を通して企業のESGマネジメントシステムの質を評価する。評価は、環境、労働慣行と人権、倫理、持続可能な資材調達の4つのテーマにおいて実施される。

質問票は、回答企業の業種、ロケーション、企業規模、規模などに応じてカスタマイズされる。また、回答の際、回答を裏付ける証明書類の提出が求められる。

Sedex

労働基準、安全衛生、企業倫理と環境に基づく設問によりサプライヤーを評価する。設問の量はサプライヤーの業種によって異なる。

リスクレベルは、質問票への回答に加え、国やセクターなどに固有のリスクも考慮し算出される。

資生堂SAQ(Self-Assessment Questionnaire) 「資生堂グループ サプライヤー行動基準」に基づく設問表で、人権・労働、安全衛生、環境、ビジネス倫理の4つの観点で評価を行う。
  1. ※2:Quality, Cost, Delivery, Service, Technologyの略
  2. ※3:WCA監査(インタ―テック社によるサステナビリティ監査プログラム)、SMETA監査(Sedexが策定・管理する監査プログラム)など

実績

2022年の活動

2022年は、リスクの程度やサプライヤーの重要性を鑑み、合計72社(戦略サプライヤー28社、2021年度末時点でのハイリスクサプライヤー44社)を対象にサプライヤーアセスメントプログラムをグローバルで実行しました。

このうち10社がセルフアセスメントにおいてハイリスクに該当しました。

  • 全社に対し、結果のフィードバックおよび是正に向けたアクションプランの助言を実施しました
  • 第三者監査を通じた是正、取引の見直しなどを行い、最終的にハイリスクサプライヤーは0となりました

2022年サプライヤーアセスメント実績

1次サプライヤー 67社※1
2次戦略サプライヤー 5社
  1. ※1:2022年調達金額の37%に相当

ハイリスクサプライヤーの是正状況

アセスメント実施 ハイリスクサプライヤー数(年度末時点)
2020 132社
2021 44社
2022 0社

(KPI1)サプライヤーセルフアセスメント比率(1次サプライヤー、数ベース)

年度 2020 2021 2022 2023
実績 実績 実績 目標 目標
比率(アセスメント社数)※1 94%(791) 97%(279) 100%(67) 100% 100%
スコープ(地域) 全リージョン グローバル本社
欧州地域本社
全リージョン 全リージョン
  1. ※1:アセスメント対象に対する比率

(KPI2)戦略サプライヤーのセルフアセスメント比率(1次サプライヤー、数ベース)※1

年度 2020実績 2021実績 2022実績 2023年(目標)
比率(アセスメント社数) 96%(239) 100%(17)※2 100%(23) 100%
  • ※1:スコープ(地域)はKPI1と同様
  • ※2:2021年に戦略サプライヤーの定義を見直しました。資生堂では、ビジネス環境や事業戦略を踏まえ、定期的に戦略サプライヤーの定義を見直しています

第三者監査により発見されたハイリスクサプライヤーの課題

分野 課題の詳細(例) 是正内容(例)
人権 ハラスメントに対する教育・訓練が実施されていない 全従業員を対象としたハラスメント教育を実施
労働安全衛生 化学物質が不適切な場所に保管されている 耐火性のある箱に化学物質を保管した
救急箱の消毒液の有効期限が切れている 有効期限内の消毒液を救急箱に設置
非常口の前に物が置かれている 障害物を除去
機械の点検が定期的に行われていない 点検表を作成し、定期的な点検を開始
環境 公害防止管理者が不足している 追加で選任を実施
ビジネス倫理 該当なし

サプライヤーとのパートナーシップ

購買方針説明会の開催

資生堂は、時代の変化や社会からの新たな要求に応えていくためにも、調達に対する考え方について、サプライヤーにタイムリーで的確な情報共有が重要であると考えています。
したがって、購買方針について周知を図ることを目的に、グローバル本社、中国地域本社における購買部門において、定期的にサプライヤーとの「購買活動方針説明会」を開催しています。
グローバル本社の購買部門では、原香料、材料、間接材の各領域における購買方針やさまざまな業務、依頼事項について直接お伝えするとともに、サプライヤーからの質問事項、要望に応える場として活用しています。

Shiseido Suppliers‘ Dayの開催

2021年は、グローバルで初めてのオンラインイベント「Shiseido Suppliers’ Day」を開催しました。生産用材、OEMサプライヤーのうち高いパフォーマンスを発揮したサプライヤーのトップマネジメントを招待し、資生堂の中期経営戦略、調達活動の方針及びサプライヤーへの期待事項を共有しました。
この中で、資生堂におけるサステナビリティの中期目標やアクション、人権・環境・社会の面でのサプライヤーへの期待事項も説明し、ご理解とご協力をお願いしました。

グローバルでの購買連携とバイヤー向け教育

グローバルでの購買連携

資生堂では、グローバル各拠点の購買責任者と定期的に会議を開催しています。会議では、サステナビリティをはじめとする重要なテーマの方針や戦略を討議し、グローバルレベルでの密な連携を図っています。

また、年に一度グローバル各拠点の購買責任者が一堂に会するSIPM(Shiseido International Procurement Meeting)開催しています。また、この場を通して、サステナビリティ活動のグローバルへの浸透も進めています。なお、2020年度から2022年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、オンサイトでは開催していませんが、2023年度は2月に東京にて実施しています。

グローバルでの購買連携

バイヤー向け教育

サステナブルで責任ある調達を会社全体で実行するため、資生堂では購買部門の社員を対象に、人権・労働安全衛生・環境などの観点でさまざまな教育を行っています。

購買部門における教育実績

日時 教育テーマ 参加対象
2020年5月、10月 サステナビリティにおける課題と機会に関する社内勉強会 欧州地域本社
購買部門
2020年11月 RSPOの概要・RSPO認証品の調達に向けた社内勉強会 グローバル本社
パーム油の調達に関わる
バイヤー
2020年12月 サステナブルで責任ある調達に関連した動向、
サプライヤーアセスメントプログラムに関する意見交換会
(外部講師)
グローバル本社・中国地域本社
サプライヤーアセスメントに
関わるバイヤー
2021年9月 持続可能なサプライチェーン管理に関するオンラインセミナー グローバル本社
サステナビリティ担当
2021年11月 Sedexに関連したオンラインセミナー グローバル本社
サステナビリティ担当
2021年11月 サステナビリティ評価に関する社内勉強会 グローバル本社
購買部門
2021年12月 サステナビリティに関するe-ラーニング グローバル本社
購買部門
2022年2月 「資生堂グループ 調達方針」に関する社内説明会 全リージョン
購買部門
2022年9月 EcoVadis社主催 バイヤー向けトレーニング グローバル本社・中国地域本社
アジアパシフィック地域本社関連会社
米国地域本社
購買部門
2022年10月

EcoVadis プログラムキックオフ

全リージョン
購買部門
  • サプライヤーアセスメントの目的、KPI、各担当者の役割などについてグローバルで確認するための会議を実施した

取引先のESGパフォーマンス向上に向けた取り組み

資生堂では、取引先のESGパフォーマンス向上を目的とし、以下のような取り組みを定期的に行っています。

項目 対象 詳細
資生堂グループ 調達方針の説明 すべての取引先
  • 「資生堂グループ 調達方針」およびアセスメントプログラムについて、動画資料を配付するとともに、適宜バイヤーがオンライン・対面による説明を行っています。
  • 新規取引先については、セルフアセスメントによるリスク評価を実施する前に説明を行っています。
  • 既存の取引先については、2022年2月に方針改定をした際、すべてのお取引先に対し説明を実施しました。
セルフアセスメント結果のフィードバック すべての取引先
  • セルフアセスメントの結果について、フィードバックを実施しています。
  • フィードバックには、ベンチマークデータも含まれます。
  • ハイリスクに該当したお取引先については、具体的な是正アクションを提案するなどの支援を行っています。
E-learning
(EcoVadisアカデミー)
戦略サプライヤー
  • EcoVadis加入済みサプライヤー向けのE-learning「EcoVadisアカデミー」の受講を推奨しています。

また、近年は以下の説明会、セミナーを実施しました。今後もより多くのサプライヤーへ教育プログラムを提供できるよう検討を進めています。

項目 対象 詳細
EcoVadis説明会
(2021年~2022年)
すべての取引先
  • EcoVadis を活用する背景、 EcoVadis の評価方法・加入のメリット ・回答のプロセス などについてEcoVadis社と合同で説明会を実施しました。
CDP説明会
(2023年5月)
日本の取引先
  • 取引先の環境パフォーマンス向上を目的とし、CDPと合同でCDPの回答方法に関する説明会を実施しました。