目標と進捗
サステナビリティ関連の中長期目標
アクション
実績
排出量
<SBTi, Scope1・2>
開示予定
<SBTi, Scope3>
(パーム油換算重量ベース)
(紙重量ベース)
アクション
エグゼクティブオフィサー 35.3%
日本国内の管理職 37.6%
(ダイレクトリーチ)
(ダイレクトリーチ)
主な取り組み
1. 地球環境の負荷軽減
地球環境や生物多様性を保全するためだけでなく、持続的な社会や経済の発展、持続的な事業成長のために、企業は環境課題の解決に対するコミットメントとアクションが必要です。資生堂は対応すべき環境課題領域として、GHG(温室効果ガス)の大部分を占めるCO₂(二酸化炭素)の排出量、水資源、廃棄物について中長期的な目標を掲げ、バリューチェーン全体を通してさまざまなステークホルダーとともに推進していきます。
気候変動対応として、2022年には2030年に向けた全バリューチェーンを通じた科学的なCO₂排出削減目標(Science Based Targets)の認定を取得し、事業における電力の再生可能エネルギー100%切り替えを目指す「RE100」に加盟しました。今後ともCO₂排出量の削減とイノベーションを伴う機会創出に努めていきます。
TCFD提言に基づくシナリオ分析
資生堂は、気候変動問題による事業成長や社会の持続性に与える影響の重大性を踏まえ、TCFDフレームワークに沿った情報開示を行っています。脱炭素社会への移行、および気候変動に伴う自然環境の変化によって引き起こされる長期的なリスク・機会について、1.5/2℃シナリオと4℃シナリオそれぞれの短期・中期・長期の定性的・定量的な分析結果と主な対応アクションを開示しています。
シナリオ分析の内容
1.5/2℃および4℃の気温上昇を想定し、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が示したRCP(代表濃度経路)とSSP(共通社会経済経路)シナリオに沿ってリスクと機会について分析を実施しました。移行リスクについては、脱炭素社会への移行に伴う政策、規制、技術、市場、消費者意識の変化による要因を、物理的リスクについては、気温上昇に伴う洪水の発生や気象条件など急性・慢性的な変化による物理的影響について、1.5/2℃および4℃各シナリオにて分析しました。なお、2030年時点における炭素税によるコスト増のリスクは、炭素税が導入される国や地域の数により約1~8億円規模の財務影響が発生する可能性を予測しています。
一方、機会に関しては、1.5/2℃シナリオにおいて、消費者の環境意識の高まりに伴い、サステナビリティに対応したブランドや製品への支持が高まると予想されます。4℃シナリオにおいては、気温上昇に対応した製品の販売機会が拡大すると予想されます。イノベーションによる新たなソリューションの開発により、サステナブルな製品を提供していくことで、リスクの緩和と新たな機会の創出を目指しています。
シナリオ分析の前提情報やガバナンス、リスクマネジメント、指標と目標など、気候関連リスクと機会の評価の詳細については、「気候関連財務情報開示レポート 」、「サステナビリティレポート」をご参照ください。
サステナビリティに関する外部評価やグローバルイニシアティブへの賛同状況は下記をご覧ください。
2. サステナブルな製品の開発
資生堂は、気候変動や海洋プラスチックゴミ問題は、グローバルで喫緊に解決すべき環境課題と認識し、サステナブルな容器包装の開発など対応を強化しています。
容器包装開発ポリシー5Rs(Respect(リスペクト)・Reduce(リデュース)・Reuse(リユース)・Recycle(リサイクル)・Replace(リプレース))を前提としたイノベーションを通して、2025年までに100%サステナブルな容器を実現するという目標を掲げています。容器の軽量化や「つめかえ・つけかえ」容器の拡大などによるプラスチック使用量の削減、リサイクルが容易になる容器設計、再生素材(PCR)を使用するなど環境負荷軽減を推進しています。
2022年には、積水化学工業(株)と住友化学(株)と協業し、プラスチック製化粧品容器を回収し、分別することなく資源化、原料化を経て、再び化粧品容器として再生する一連の循環モデル構築に向けた取り組みを開始しました。今後は、3社が企業の垣根を超えて連携するとともに、関連する業界や企業にも参加を働きかけ、サーキュラーエコノミーの実現を目指します。
3. サステナブルで責任ある調達の推進
資生堂は、有限な自然資源を活用し事業活動を展開しています。そのため、環境保全や生物多様性の観点、さらにサーキュラーエコノミーに対応した資源の使用量削減や再利用など、サプライチェーンにおけるサステナブルな原材料調達に責任をもって取り組むことが重要だと考えています。また、人権侵害などの課題に対しても、自社だけではなくサプライヤーとの協働が不可欠です。
原材料に関しては、環境・社会課題が懸念されるパーム油と紙について中長期的な目標を開示し、サステナブルな原材料への切り替えを進めています。サプライヤーとの協働に関しては、行動基準、方針、ガイドラインを提示しています。また、2022年に改定した「資生堂グループ 調達方針」に基づき、サステナビリティ評価の高い取引先とのビジネス機会を増やしていきます。
4. ジェンダー平等
資生堂は、企業の意思決定機関における健全なジェンダーバランスを目指す「30% Club Japan」へ参画しています。これは、日本企業の役員に占める女性比率の向上を目指す英国発祥のグローバルイニシアティブです。日本では2030年をめどにTOPIX 100企業で女性役員の比率30%を達成することを目標として2019年5月に発足し、2022年5月に第2期がスタートしました。当社代表取締役 会長 CEO 魚谷雅彦が第1期に続き、第2期の会長を務め、「TOPIX 100」、「TOPIX Mid 400」に含まれる企業35社の会長・社長からなるコミュニティ「TOPIX社長会」で活動しています。第2期からは「30% Club Japan」の特徴でもある企業を起点とするステークホルダーで社会へ働きかける「統合的アプローチ」が本格稼働し、投資家31社から構成されるインベスター・グループ、9大学からなる大学グループと「TOPIX社長会」との連携によるアクションが具体化しています。
資生堂は、女性活躍推進による同性質からの脱却と、そこから生まれるイノベーションの創出に向け、日本企業の変革をリードしていきます。
5. 美の力によるエンパワーメント
資生堂は、誰もが持つ「自分らしくありたい」という願いを美の力で支援しています。私たちは、長年、美の力で“well-being(心身と社会的な満足)”の実現を目指し、社会貢献活動や研究活動を続けてきました。美の力が、心身の満足だけでなく、社会的な満足にも寄与することを発信し、加齢、疾病、障がいなどを問わず、さまざまな人々が、自分らしい一歩を踏み出すための「資生堂 ライフクオリティー ビューティー」活動を推進していきます。
2017年から、「がんになっても笑顔で過ごせる社会を目指す」をテーマに、がんサバイバーを支援する「LAVENDER RING」に参画しています。2022年、資生堂が日本国内で主導してきた「MAKEUP & PHOTOS WITH SMILES」を4つの国と地域(中国、シンガポール、台湾、タイ)でグローバル展開し、合計107名のがんサバイバーと、120名の社員ボランティアが参加しました。参加したがんサバイバーの方々の笑顔に触れ、協働した患者団体や医療機関からは継続開催を期待する声が次々と寄せられました。
6. 人権尊重の推進
資生堂のすべての事業活動は人権尊重の上に成り立っています。資生堂は、すべての人々の基本的人権について規定した国連の「国際人権章典」や、労働における基本的権利を規定した国際労働機関(ILO)の中核的労働基準などの人権にかかわる国際規範を支持、尊重しています。今日では強制労働や児童労働はもちろん、社会構造の変化や多様な価値観に起因するハラスメントなども人権課題であり、適切な対応を怠れば深刻な企業リスクにつながると認識しています。資生堂では、働く一人ひとりがとるべき行動を「資生堂倫理行動基準」に定め、常に高い倫理観を持ち、さまざまなステークホルダー、国・地域、多様な文化からなるグローバルサプライチェーンにおける人権尊重の取り組みを推進しています。