社外取締役メッセージ
本パートでは、各社外取締役の考えをより的確にお伝えすることを重視します。
株主・投資家からよくいただくご質問のポイントを絞り、それぞれの就任期間に応じた質問に対して、社外取締役が端的に回答します。
新任の社外取締役からは、今後の抱負をお伝えします。
2020年以前から就任している社外取締役(大石氏/岩原氏)に対して:
Q.
A.
魚谷CEOのもと、構造改革を進め成長を続けてきた当社ですが、新型コロナ禍では非常に苦しみました。その中で、2021~2023年までの間に取り組むべきことをまとめた「WIN 2023」の内容と実現は、資生堂の将来を見据えた非常に重要なステップとなります。新型コロナ禍が続く中、思うように消費者へ商品をお届けできないもどかしさはありましたが、この期間も手を抜くことなく、構造改革を進めることができました。研究開発力を活かしたスキンケア・ブランドへの経営資源の集中、デジタルとリアルを融合した新しい消費者接点の構築、筋肉質な体質への転換など、戦略的アクションを実行できたと思っています。今後は、世界における唯一無二のビューティーカンパニーとして、資生堂ならではの付加価値が提供できるよう、さらに邁進してほしいと考えます。
戦略を実行するためにも、重要なのはトップで、サクセッションは会社の根幹にかかわる課題でした。何年も前からプランを考え、社外取締役全員がクライテリア(選任基準)の構築から、新社長の面談にまで関わり、十分な討議を尽くし、資生堂の次のステージを実現できる人物として藤原氏を選びました。このプロセスと結果は高く評価すべきものと考えます。
指名・報酬諮問委員会 委員
大石 佳能子
(2016年当社社外取締役就任)
A.
資生堂においては、取締役会で2021年に策定した中期経営戦略「WIN 2023」の実現に努めてまいりました。特に構造改革については、パーソナルケア事業やメイクアップ3ブランドの譲渡など、スピーディーに大きく進展させることができました。また、IT化の進展、新型コロナの感染拡大、消費者意識の変化などの環境変化に対応すべく、Eコマース取引の推進、新たな商品の開発などに努めてきたと評価しています。
しかし、世界中のコロナ影響により、2022年までは「WIN 2023」の目標であった営業利益率15%を大きく下回る結果となりました。新中長期戦略においては、収益性・人的生産性の向上に向けた改革をさらに推し進め、もう一度営業利益率15%の実現を目指すことを決定しました。同時に、サステナビリティ関連の目標達成にも努めることとしています。
また、指名・報酬諮問委員会および取締役会における数年にわたる魚谷CEOの後継者選定の慎重な検討の結果、昨年、藤原憲太郎氏を社長COOに選任しました。藤原氏には、2年間は魚谷CEOとともに経営にあたっていただき、経営トップとしての経験を積んでいただきたいと思います。2年後の万全なサクセッションに向け、社外取締役として監督とサポートを継続したいと思います。
指名・報酬諮問委員会 委員長
岩原 紳作
(2018年当社社外取締役就任)
2022年に就任した社外取締役(レイク氏/得能氏)に対して:
Q.
A.
創業150周年の節目に、取締役会では新たな中長期戦略策定に向けて深い議論を重ねました。コーポレートガバナンス・コードが「取締役会は、会社の目指すところ(経営理念等)を確立し、戦略的な方向付けを行う」と指摘するように、中長期的な戦略立案は取締役会の最も重要な役割・責務であり、超VUCA(不安定性、不確実性、複雑性、曖昧性)時代においては、リスクを戦略の中心に据え、統合的リスク管理の観点も踏まえて戦略立案に向き合うことが重要です。そして、意図的戦略(意識的、分析的なプロセスを経て策定される戦略)と創発的戦略(環境の変化を敏感に察知、分析し、学習を繰り返すプロセスを経て作り出される戦略)を融合し、さまざまなステークホルダーの期待に機動的に応えていくことが欠かせません。資生堂の先進的なコーポレートガバナンス体制のもと、こうした視点で「自由闊達で建設的な議論」に参画でき光栄に存じます。
特に、戦略立案とサクセッションプランニングとを一体に捉え、新中長期戦略の実行にあたり魚谷代表取締役会長CEOと藤原代表取締役社長COOが並走する新たな経営体制が実現したことで、戦略とサクセッションの実行性・実効性がより一層高まったと確信しています。引き続き、業務執行の効果的な監督をはじめ、社外取締役としての職責を果たしてまいる所存です。
指名・報酬諮問委員会 委員
チャールズ D. レイクⅡ
(2022年当社社外取締役就任)
A.
2022年の指名・報酬諮問委員会においては、藤原新社長の指名に関する議論を尽くしたことはもとより、役員報酬体系についても議論を重ねました。当社の役員報酬制度は、細部にわたってよく検討されたものである一方、特に業績連動報酬について、たとえ短期的には成果に表れずとも真に長期的企業価値向上に資する行為に報いていけるものになっているか、課題感を持っています。これを数値目標で測定することが難しいのはよく理解していますが、継続的に議論を行い、真の企業価値向上につながる役員報酬制度を検討していきたいと思います。
2023年は、新たな中長期戦略を策定・公表しました。特に、「日本市場」と「ブランド力強化」は、当社がさらに発展する上で要となるものと評価しています。当社は、150年の歴史を持つ、日本が誇るべき会社です。そして、この長期にわたる存続は、常にイノベーションを起こし続けてきたことを証明しています。イノベーションが当社のDNAであることを忘れず、立ち止まらずに新中長期戦略を完遂してもらいたいと思います。当社なら、正当な危機意識と自分たちならできるという「自信と情熱」を持つことで、次のステージに向けて成長し続けられるはずです。
指名・報酬諮問委員会 委員
得能 摩利子
(2022年当社社外取締役就任)
新任社外取締役コメント
社外取締役の就任にあたって
社会に大きな価値を提供し続ける資生堂の取締役会メンバーの一員に加わることを光栄に思います。
資生堂が果たすべき使命達成のため、未来に向けた価値創造プロセスが示され、長い歴史の中で、常に世界をリードしてきた当社がさらにその変革のスピードをあげています。マネジメントチームの柔軟な発想と健全なリスクテイクを強力にサポートすることが取締役会に求められる役割の一つと考えております。
多様なステークホルダーからの期待を理解し、取締役会メンバー、マネジメントチームとの建設的な議論を行い、資生堂が価値を創造し続けることに貢献してまいります。
畑中 好彦
2023年4月