特集記事

「走ることは楽しい」
正しいランニングフォームで健やかに美しく!
弘山 晴美さんインタビュー

長きにわたり、日本女子陸上界のエースとして、数々の世界的な陸上大会やマラソン大会で活躍された弘山 晴美さん。

現役を引退後、陸上競技の指導を中心に活動されており、一般の方に向けたランニングプログラムの監修や講演活動を実施されています。

その弘山さん(以下、弘山)に、ランニングプログラムの内容や、ランニングを楽しみながら長く続ける秘訣を伺いました。

弘山 晴美 さん プロフィール

  • 元資生堂ランニングクラブ所属
  • オリンピック3大会連続出場
  • 世界陸上4大会出場、3種目入賞

「健康と美」を意識したプログラム

一般の方に向けたランニングプログラムを組む際、どのようなテーマで、何を重視していますか?

弘山)「活動を通して健康になること」をテーマにしています。競技志向でも健康志向でも「正しいフォームで」「怪我をしないように」走ることが基本となります。参加される方が、早くそうした状態でランニングできるよう、プログラムを組み立ています。

プログラムの特徴的な部分はどのようなところですか?

弘山)こだわっているのは“動き方”で、歩く姿勢や走るフォームが見た目にも美しくなるようにしたいと思っています。「背筋を伸ばして、歩幅を大きく歩く」と、外見的に若々しく見えたり、意識の面からも前向きになれたりしますし、さらには、記録を伸ばすことにもつながっていきます。とは言うものの、それを実行することは簡単ではありません。身体の動かし方を意識したドリルなどの運動を通して、「美しいフォーム」を少しずつ身につけていきます。

週3回、歩いてもいいからまず始めよう!

弘山)ドリルを行うにしても、一つひとつの動きはなかなか簡単にはできないものです。「もも上げ」や「股関節」を意識した運動など、様々な動きが少しずつできるようになってくると、実際に走るときに背筋も伸びてきて、走りのストライドも伸びてきます。「最初はできなくてよい。少しずつ時間をかけてやっていきましょう」とお伝えしながら指導しています。

実感ができるまで“続ける”ことも大変かと思います。どのようにみなさんへ伝えているのでしょうか?

弘山)健康になりたい、身体を動かしたいという要望があったとしても、「毎日やりましょう」ではやはりハードルが高いので、「週3日から始めましょう!」と伝えています。「週に3回やる」は、逆に「週に4回休んでも大丈夫」と考えることができ、ハードルが低く感じられます。「やってみようかな」「続けられるかな」と思っていただけるようにお話しています。
加えて、「できるだけ休みを2日以上続けないように」とも伝えています。連続して休みを取ってしまうと、積み上げてきたものが元の状態に戻ってしまうので、できれば一日置きに走るよう頑張ってほしいですね。

確かに一日置きでいいよと言われると、すごく気が楽になります。

弘山)さらに言うと、1回のランニングの中でも、ずっと走り続ける必要もありません。「2分歩いて、次の1分を走る」とか、「5分走って10分歩く」でもいいのです。「歩いても大丈夫」と言うと、みなさんとても安心して取り組めているように感じますね。

食べるためにランニングしていい!?

ランニングをしたからといって、すぐに健康を実感できることはないと思います。ランニングの初心者としては、どのようにモチベーションを保てばよいと思いますか?

弘山)私がよく伝えているのは、「運動したあとは、食べるものが美味しくなるよね!」ということです。これ以外にも、発汗による肌へのポジティブな効果など、実感できることはモチベーションにつながると思います。

「食事が美味しくなるから走ろう!」と言われると、やる気になってきました(笑)最近はデスクワークが多い方も増えているので、ランニングしようと思えることは大事ですよね。

弘山)そうですね。走ることによって、血液の循環がよくなるので頭もスッキリします。また、運動に慣れてくると、体力がつくのと同時に、運動した方が疲れが取れるようになり、睡眠の質も上がってきますよ。

大会に出る、記録に挑戦することが続ける秘訣

日本におけるランニング文化がさらに広まっていくためには、新たなランニング愛好者獲得とその継続が重要だと思います。そのためにどのようなことが必要だと思われますか?

弘山)ランニングの一番の楽しみは、やはり記録が伸びることだと思っています。それは、競技者だけでなく、ランニングプログラムに参加する人たちを見てもそう感じます。同じコースが速く走れるようになったり、大会に出て記録が上がったりすることが、モチベーションを高く維持する秘訣だと思います。

大会への参加や記録など、「目標」の効果は大きいのですね。

弘山)そうですね。走ることをきっかけに、大会などの“何かに挑戦していく”ことができます。記録を測ると、結果が良い時もあれば悪い時もあり、「次はどうしようかな?」と考えながら取り組むようになります。そういったことが、競技レベルに関係なく、“楽しさ”や“ランニングを続けるモチベーション”となり、結果、健康維持に繋がっていきます。「健康維持だけ」という方もいるかもしれませんが、私の聞いている範囲では、「フルマラソンに挑戦してみたい」「ハーフマラソンに出てみたい」など、大会や記録を意識しながらランニングを続けている方が多いですね。

弘山さんが今後目指すものを教えてください。

弘山)ランニングを楽しむ人が、一人でも増えてほしいなと思います。また、教える立場としては、みなさんに少しでも良い記録を出してほしいですね。子どもたちも含め、そうしたチャレンジをする方たちと、これからも多く出会っていきたいと思っています。

ありがとうございました!

弘山晴美さんのランニングのコツ

走りのフォームで大事なことは何ですか?

弘山)“力まないこと”ですね。力を入れると、肩が上がって疲れてしまいます。 私も現役時代かなり意識していたのですが、腕に力が入ると硬くなって振れなくなってしまいます。その『力みがない走り』が難しいのですけど(笑)。

走っているときには何を考えていますか?

弘山)現役時代は、他のことは考えず、その日のタイムのこととか体調のことに集中していました!

その他特集記事