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「資生堂 レディスオープン 2022」優勝 青木 瀬令奈 選手 2023シーズンへの想い

青木 瀬令奈 選手 プロフィール

  • 7歳でゴルフを始め、2011年にプロテスト合格
  • JLPGAツアー通算3勝
  • 宝塚歌劇団、阪神タイガースのファン

「資生堂 レディスオープン2022」で通算3勝目を挙げた青木 瀬令奈 選手(以下、青木)。コロナ禍でJLPGA(一般社団法人日本女子プロゴルフ協会)プレーヤーズ委員長※1やJLPGAブライトナー※2を務めながら、女子ゴルフ界を背負う立場として、そして一人のプレーヤーとして、常に自分を追い込んできた2022年。

その2022シーズンを振り返りつつ、2023シーズンへの想いをインタビュー。 まるで「修行僧」のようなストイックな姿勢が印象的でした。

取材日:2022年1月31日

※1 JLPGAプレーヤーズ委員長:JLPGAの選手会長的立場。
  2020-2021、2022シーズンの2期担当
※2 JLPGAブライトナー:JLPGAのPRパーソン

2022年はキャリアハイだったが終盤に悔しさも

「資生堂 レディスオープン2022」優勝トロフィーを持って

2022シーズンを振り返っていかがでしたか?

青木選手2022年シーズンはキャリアハイで終える事ができました。「資生堂 レディスオープン」での優勝によって、目標だった「シーズン最終戦のリコーカップにファンや関係者のみなさんを連れていく」事が達成できたのがよかったです。

充実したシーズンになった要因は?

青木選手甘さを捨てて戦えた一年でした。毎日「どうやったら勝てるのか」を考えて過ごし、通算3勝目をつかみ取る事ができました。今後の競技人生においても、すごく意味のある1勝になりました。

かなりストイックに追い込まれていたようですね。

青木選手さながら修行僧のようだなと思いながらやっていました(笑) 「なんでこの順位なのか」「なんで勝てないのか」という事に毎日向き合っていました。 とくに、シーズン終盤はトップ10入りが少なく、もったいなかったと思っています。11月の最終戦が終わった時、「この悔しい気持ちのまま2023年の開幕を迎えよう」と思い、最終戦の次の日からトレーニングを続けています。シーズン終了後も「オフ」には入っていなくて、そのまま今シーズンに突入する予定です。

昔からストイックに頑張るタイプだったのですか?

青木選手実は私は練習があまり好きではなくて、次女にありがちな、要領がいいタイプです(笑) 量より質を重視しつつ、自分を追い込んでいます。その点が、若くていい選手が続々と出てくる中でも、生き残れている理由だと思います。

とにかく暑かった!「資生堂 レディスオープン2022」

「資生堂 レディスオープン2022」2日目
ファンからプレゼントされた冷却グッズを首に巻いて

「資生堂 レディスオープン2022」の4日間。改めて振り返っていかがでしょうか?

青木選手会場の戸塚カントリー倶楽部は、「飛ばし屋向き」とも言われるコースです。私はあまりショットの距離が出るタイプではないので、周りからも期待されていなかったと思います(笑) でも、しっかりと戦略を立てて臨む事ができましたし、なにより群馬生まれで暑さに強い私にとっては、天候の面でも恵まれましたね。

本当に「暑い」4日間でしたね。(連日30℃超え、4日間の最高気温は36.1℃)

青木選手ものすごく暑かったですね。なので、練習日から逆算してコンディションを調整し、色々なパターンを組み立てて臨みました。毎日必死だったので、最初の3日間はあまり覚えていないんです。どのウェアを着ていたかも思い出せないです(笑)
暑さ対策としては、夜にはスイカを食べてしっかり水分を摂り、コースでは大好きな梅干しを食べる事が多いです。

「今」に集中する

「資生堂 レディスオープン2022」最終日

プレーでは、バンカーに入った時などでも、冷静な表情でプレーされていたのが印象に残っています。

青木選手周りからはポーカーフェイスと言われますが、私としては気持ちに浮き沈みがあるタイプだと思っています。それを出さないように、「今に集中し、過去と未来は見ない」事を常に心がけています。前のホールの事やスコアなど、過去に影響を受けやすいスポーツですし、ゴルフは「ミスをするスポーツ」でもあります。目の前で起きている事に集中し、起きた事はすべて受け入れた上で、冷静に考えるようにしています。

首位でスタートした最終日。1番、2番ホールで連続ボギーだった時も冷静だったのですか?

青木選手そうですね。あの時は、逆に気分が楽になりました。パッティングは思ったところに打てていて、その結果だから仕方がない、と思えたので。
加えて、「最終日はスコアボードを見ない」事をコーチと約束していました。カメラの台数やショット後のコーチの反応から、自分の順位を想像していました(笑)

だから優勝争いの終盤も冷静に打てていたのですね。どのような事を考えていらっしゃったのでしょうか?

青木選手終盤は、「一番苦しんだ人が優勝する」と思ってプレーしていました。楽に勝てる事なんて絶対ないですし。追われる側も追う側も、首位争いをしている選手たちは、皆なにかしらの苦しみを感じながらプレーをしています。「この中で誰よりも一番苦しめるか」と思いながら、自分を鼓舞しています。

プレーヤーズ委員長として

プレーヤーズ委員長も務められていますが、具体的にはどのような事をされているのでしょうか?

青木選手JLPGAに登録する選手たちのまとめ役といった感じですね。コロナ禍でここ数年はリモートですが、定期的にJLPGAの理事と打合せを行い、試合の時に選手から集めた意見や自分たちが感じている事をまとめて提言しています。また、協会からの案内など連絡事項を選手たちに共有しています。
また、選手スローガンを決めたり、プレーヤーズ委員会主体のチャリティーの寄付先などを話し合ったりもしています。

委員長として心がけている事はありますか?

青木選手委員長は、2020年のコロナ禍のタイミングで有村智恵さんからバトンタッチしました。私は、エリート街道を歩んできた訳ではありません。下部ツアーでの4年間は、試合に出られない苦しさや金銭的な辛さも経験してきたので、いろいろな立場の選手の意見を吸い上げて、協会に届ける事を意識しています。

委員長を経験した事で得たものはありますか?

青木選手委員長になるまでは、周りの選手と積極的に話をするタイプではなかったのですが、委員長を務めた事で多くの選手との交流が増えました。また、協会と関わる中で、選手から要望があっても実現できない事の背景や課題も分かり、社会人としても成長できました。

『JLPGAブライトナー』として、PRパーソンの役目も担われています。

青木選手昨年発足したばかりだったので、「何ができるか?」をみんなでよく考えた一年でした。
これからは、ぜひ選手の肖像を活用したグッズをもっと作っていきたいと思っています。宝塚歌劇団のファンでもある私は、『ファン心理』が良く分かるので、「女子ゴルフを応援してくれる方はこういうグッズが欲しいのでは?」とたくさんのアイデアが浮かんでいます。今シーズンからは実現に向けて、より具体的に動いていきたいです。

今シーズンの目標を教えてください!

青木選手今シーズンで8年目になるのですが、『10年連続シード獲得』を目指しています。毎年若い選手が数多く出てくる中で、この目標は意味がある事だと考えています。
また、優勝してファンの方々や関係者を最終戦※3に連れていく事も大きな目標です。人生を変える3勝目をつかむ事ができた「資生堂 レディスオープン」の舞台で、さらに成長した姿を見せて、今年も優勝できたらとても嬉しいですね。

※3 女子プロゴルフ最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」の出場可能選手(40名):①当該年度のJLPGAツアー優勝者 ②当該年度のUSLPGAツアー優勝のJLPGA会員 ③当該年度11月8日時点のロレックスランキング上位50位までのJLPGA会員 ④大会開催前週までの当該年度メルセデス・ランキング上位者

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