特集記事
自治体のスポーツ政策から未来を考える
コロナ渦であるがゆえに、通勤なども含めてカラダを動かす機会が減少し、それにも関連して余暇時間が増加傾向にあるなど、スポーツを日々の生活に取り入れる人が増えています。そんな今とこれからを見据えながら、スポーツを通じて誰もがいきいきとした生活を実感できる社会づくりを進める横浜市の取り組みや考え方を聞いてみました。
横浜市 市民局スポーツ振興課長 守屋 喜代司さんに聞きました
守屋 喜代司氏 プロフィール
1965年横浜生まれ
横浜市 市民局スポーツ振興課長
趣味:ランニング
■インクルーシブスポーツの振興を
「子どもの体力向上」「地域スポーツ振興」「高齢者や障害者スポーツの推進」「トップスポーツとの連携・協働」といった目標を掲げて、かねてより様々な取り組みプランを構築し、実行してきました。新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、スポーツ施設が利用できない、学校の部活動もできないなど、体を動かす機会の場が今なお制限され続けています。
ですが、横浜市民の方に限らず全国の多く方々が、カラダを動かせていないことに不安感を抱いていることも事実で、例えば、スポーツ実施率も劇的に上がってきています。
「健康長寿社会」「地域経済活性化」「共生社会」といった部分にポイントをおきながら次の未来を見据えたスポーツ推進計画を策定中ですが、その中でも「共生社会」にフォーカスしています。
スポーツそのものをはじめ、大会やそれに関連する競技団体などが「健常者」と「障害者」という分け方で運営されています。ですが、未来を見据えたときには、「インクルーシブスポーツ」という形をもっと進めていく必要があると考えています。「インクルーシブスポーツ」とは、障害の有無や年齢、性別、国籍などを問わず、誰もが相互に人格と個性を尊重し、支えあい、人々の多様なあり方を相互に認め合いながら、各人の適性に合ったスポーツ活動を行うことを言います。
例えば、公益社団法人日本トライアスロン連合はインクルーシブスポーツの考え方を重視し、競技団体としての取り組みにも落とし込んでいます。スポーツによってその在り方や進め方などは当然変わると思いますし、そこでの課題なども多様にあると思います。なので、そういうことに対しても、社会全体で考えてみたり、時には何かアクションに参画できたりする機会が増えるといいのではないかと思います。
大会スタッフとして感じたこと
「スポーツ」というとても身近なフィールドから「インクルーシブスポーツ」という言葉の意味や背景を考え、「インクルーシブスポーツ」の体験機会を得る、または増やしていくことが、これからの社会づくりに必要だなと感じました。日本だけでなく、世界中で「多様性」について考えよう、理解を深めようというという機運が高まっていることを日々実感していますが、子供も高齢者も、障害のある方もない方も、また性別や国籍にも関わらず、誰もが分け隔てなく一緒にスポーツを楽しむことができる社会は、きっとお互いを尊重し、自然と支え合える「豊かな社会」なのだろうと想像しました。