企業向け研修の講師としても活躍。最高峰の知識と技術を持つ資生堂トップビューティースペシャリストにインタビュー。
目次
資生堂の美を代表する資生堂ビューティースペシャリスト
加藤 芳
中島 千絵子
資生堂の美容分野をリードし、独自の企業向け研修サービス「Beauty & Self Produce Program」の講師も務める資生堂ビューティースペシャリスト。その最高峰の存在である資生堂トップビューティースペシャリスト2人にインタビュー。活動内容や歴史を掘り下げると共に、Beauty & Self Produce Programについて、具体的な研修内容や美のスペシャリストからの学びが組織やビジネスに活きる理由についても伺いました。
資生堂ビューティースペシャリストとは?
― 資生堂ビューティースペシャリスト(以下SBS)とは資生堂の中でどのような存在でしょうか?
お客さまの美のパートナーである全国のパーソナルビューティーパートナー(以下PBP)の代表として、資生堂のビューティーをリードする存在です。スキンケア・メイクアップ・コンサルテーションにおいてトップレベルの知識と技術を持つ美のスペシャリストとして、お客さまの肌と心に寄り添いライフスタイルに合わせたオンリーワンの美しさを共に創ります。主な活動内容としましては、社内ではPBPのトレーニング、社外ではBeauty & Self Produce Programのような企業向け研修の他、講演・イベントやPR、店頭での美容活動などを行なっております。保有資格は様々で、全SBSが共通して取得しているマナー・プロトコールやパーソナルカラーアナリストの他、エステティシャンやネイリスト、珍しいものではサービス介助士やホリスティックビューティアドバイザーなどを保持するメンバーもおります。
― どうしたらSBSになれるのでしょうか?
まず資生堂独自の教育体系であるビューティーアカデミーで2年間学ぶ必要があります。厳しい選考にパスしたものだけが入講でき、講座でインプットしたことを現場でアウトプットするということを繰り返しながら専門的な知識を身につけます。カリキュラム修了後、試験に合格したアカデミー生だけがSBSの認定を受けることができます。弊社のように企業が従業員に対して2年間も学びの期間を提供するというのは、なかなか珍しい事例ではないでしょうか。このような教育体系が整っているからこそ、PBP及びSBSのクオリティの高さは生まれるのだと思います。
― SBSの歴史について教えてください。
SBSは2013年に第1期生が活動をスタートしましたが、資生堂の美容分野の歴史は1934年に誕生したミスシセイドウまで遡ります。美の伝道師としてその役割というのは進化し続けていますが、お客さまを第一に考える「おもてなし精神」、そしてお客さまに寄り添い美しさを共に創っていく「美のプロフェッショナル意識」は、90年以上変わらず受け継がれてきております。今この瞬間の美しさだけではなく、ずっと健やかで美しくいられることを目指し、お客さまの生活を彩る一部になれるよう責任を持って活動しています。
現場で培われた、プロの身だしなみを学ぶ
資生堂独自の
印象・接遇研修プログラム
お客さまから選ばれる魅力ある人材へ
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― ご自身の活動の中で、お客さま応対において大切にしていることを教えてください。
まず、お客さまと出会えたことへの「感謝」を忘れずに持ち続けるということです。そして、お客さまの肌だけでなく心まで大切に扱うという気持ちで接すること。お客さまと向き合う時は、表情やわずかな動作から伺えるインサイトの部分に目を向けるよう心がけています。お一人おひとりに興味を持って接することで、お客さまをしっかり見る・聴くということができますし、自然とインサイトも感じ取れるようになれます。
Beauty & Self Produce Programとは?
― Beauty & Self Produce Program(以下BSP)は、どのような研修なのでしょうか?
身だしなみや表情による「印象マネジメント」と心が通う「ワンランク上の接遇スキル」を身につけることができる、資生堂独自の研修プログラムになっております。私たちが美のスペシャリストとして培ってきた知識や技術、活動の中で実践している内容がベースになっており、お客さま一人ひとりの魅力を一層高めることで、顧客接点でのサービス向上などにお役立ていただけます。 具体的な内容を一部ご紹介すると、印象においては、見た目で好印象を与えるための笑顔を魅力的に見せるメイク体験、パーソナルカラー診断などを取り入れた色によるメイクやファッションの魅せ方など。接遇においては、対人関係を円滑にするための信頼感を与える所作や話し方、相互コミュニケーションに差がつく傾聴力などをご案内しております。
― 印象アップと接遇スキルの両面からのアプローチを展開している理由を教えてください。
身だしなみやメイクで第一印象を高めることで、信頼感の向上も期待できますし、見た目の魅力を引き出すことはご自身の自信にも繋がっていきます。また相手に対して敬意や心遣いを持っておもてなしの精神で接することは、信頼感を強めて良い関係性を構築できます。またBSPでは印象と接遇を通して“美”の大切さをお伝えしていますが、自分の魅力を引き出す美意識だけではなく、相手に心地よく過ごしていただくためには所作や動作一つひとつが美しくあることも非常に重要です。内面と外面の両面から美の意識を行き届かせることで、お客さまやビジネスパートナーから選ばれる人材になれると考えております。
― なぜ印象と接遇がビジネスシーンで重要視されるのでしょうか?
ビジネスマナーとして身だしなみなど第一印象の重要性はよく言われることですが、清潔感を保つことで相手に不快感を与えないことは対人関係の基本ですし、信頼感の醸成によって結果的にビジネスチャンスに繋がる可能性もあります。接遇に関しては信頼関係の構築に加えて、所作や動作に気を配ることで後から自信がついてくるという効果も期待できます。例えば、胸を張りゆっくりと振る舞うようにすると、自信があるように見えますし、自然と自分自身に自信が持てるようになると考えています。接客業や営業職などお客さまと接するポジションの方は企業の顔とも言えるため、印象や接遇スキルは企業イメージやブランドイメージを左右する大切な要素にもなります。
― 化粧品会社発の企業向け研修ならではの強みを教えてください。
スキンケアやメイクアップの知識や技術はもちろんですが、カラーサイエンスや表情研究など科学に裏付けられたコンテンツと接客を通じて積み上げてきたおもてなしノウハウをミックスし、印象と接遇のスキル向上をご提案できる点はBSPの大きな強みではないでしょうか。例えば、弊社では笑顔を数値化する研究を行なっており、気品なら60%の笑顔、親しみやすさなら120%の笑顔など、相手に与えたい印象によって笑顔の使い方をレクチャーできます。なんとなくこの笑顔が良いですよと言うのではなく、なぜ良いのかという裏付けがあることで、納得して行動に移していただけると感じております。
― BSP導入は、企業様や従業員様にどのようなメリットをもたらすとお考えですか?
即実践に繋がる内容を心がけておりますので、研修直後から業務に活かせる行動変化や、自信や意欲の向上などの意識変化に繋がり、顧客接点でのサービス向上や組織内のエンゲージメント向上などのメリットが期待できます。また研修前に企業様からよく伺うのが、見だしなみ教育をしたいがどう伝えていいのかわからないといったお悩み。多様化が進み個人の自由を尊重する流れもあるため、見た目の指標が薄れている傾向にあります。講座ではそのような背景も考慮し、必ずこうしましょうということではなく、相手に与えたい印象に合わせて具体的な方法をお伝えしています。また弊社独自の専門的な知識・技術をベースにした学びを得られることに加え、客観的な視点から企業様の課題を解決できるといった外部研修ならではのメリットもあります。
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受講者の変化や企業様からのフィードバック
― 受講者の研修中の様子や研修前後の変化について教えてください。
開始前は、表情も硬く緊張している様子の方もいらっしゃいますが、化粧品が並んでいる様子を見て気持ちが上がっている方も多くいらっしゃいます。講座が進みメイク体験になると、皆さん“楽しみながらも真剣モード”になられます。全体へ向けたレクチャーで基本的なテクニックをお伝えした後、ご自身で体感いただく際には、お一人おひとりの顔立ちのバランスや眉の形を見極めたワンポイントアドバイスも行います。ありがたいことに、「帰りに店舗に寄って、紹介してもらったアイテムを買って帰ります」と言っていただけることもあります。
男性は特に何から変えたらいいのかわからないという方も多いため、肌と眉を整えることで好印象が演出できるということを調査結果も踏まえてお伝えしています。まずは基本的なスキンケアステップを体感いただくのですが、「柔らかくなった」とか「明るくなった」といった肌の変化を実感していただけます。その後のメイク体験では、いつもと違う自分に出会えたことがモチベーションになり表情もぐっと笑顔になりますし、「感動しました」と声をかけてくださる方や明日から自分でもできるようにと講座後の顔を写真に撮って帰られる方もいらっしゃいます。
― 企業の担当者からは具体的にどのようなフィードバックをいただきますか?
特にメイク体験は毎回好評をいただいており、「好きなメイクだけではなくて、相手にどのような印象を与えたいかを考えてメイクするという新たな気づきを得られた」「顧客対応における第一印象の大切さを改めて認識し、自分の魅力を引き出すコツが掴めたことで業務への自信やモチベーションの高まりも伺えた」といった感想をよくいただきます。また、「話し方・聴き方のポイントを習得したことで、受講者の顧客対応スキルの向上に繋がった」など、コミュニケーションにおける自己演出方法においても参考になったという声も多くいただいております。自己演出の方法に関しては、業種・職種に合わせて、実際の業務シーンを想像しながら学んでいただけるよう工夫しています。
― BSPは、どのような企業様、業種・職種におすすめですか?
現在は金融、不動産、ホテル、メディア、アパレルなど主に人を相手にする業種・職種から幅広くご依頼いただいています。業務上、顧客応対がない方からのご依頼も一定数あり、社内コミュニケーションが向上することで、従業員様のモチベーションやエンゲージメントが高まるというメリットも望めます。基本のコースを設けておりますが、企業様からご要望があった場合にはカスタマイズにも対応しております。実施日まで何度か担当の方とお打ち合わせをしながら、対象者の状況や職場環境、BSPへの期待値など詳細を伺い、すぐに業務に活かせる研修内容を組み立てております。
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美の力を伝える講師としての心がけ
― 講師を務める際は、どのようなことを心がけていますか?
BSPを導入していただく背景や目的を確認し、企業様の期待を超えるような講座を実施できるよう心がけております。わかりやすく、すぐに実践いただける有意義な内容・進め方であること。また弊社ならではのメイク体験やスキンケア体験では、前向きな気持ちになったり自信が湧いたりといった化粧の力を感じていただけるよう雰囲気も大切にしています。本プログラムを通して、見た目の変化は気持ちにも大きな変化をもたらすということ、そして印象や接遇をマナーとして身につけるのではなくご自身の魅力を高めることが結果として円滑なコミュニケーションや企業価値を高めることに繋がるということを感じていただけると嬉しいです。
― 受講者にはどのような姿勢や心構えで研修に臨んでほしいですか?
化粧品を使った社員研修というのは珍しいと思います。まずは、自分を磨くことを楽しんでいただきたいですね。実際の業務に落とし込んだ時の、ご自身が活躍されるシーンを想像しながら講座を受けていただくと、実践に繋がると思います。「あの人のいきいきとした笑顔をはじめて見ました」だったり「いつもの研修とはまったく違う雰囲気でした」と言っていただけることも多く、楽しく学んでいただける研修になっていると自負しております。難しい心構えは不要ですので、そのような終わった後の高揚感をぜひ体感いただきたいです。
― 最後に、導入を検討中の企業様へ向けてアドバイスやメッセージをお願いします。
本プログラムは、弊社が培ってきた外見や立ち居振る舞いを磨く研究成果と、おもてなしの心で多くのお客さまと接してきたPBPの知識・経験を合わせた独自のノウハウから生まれています。印象や接遇を磨くことで、企業・ブランドイメージに直結する従業員様の魅力を内側からも外側からも引き出し、「この人に接客してもらいたい」「この人から購入したい」と思われるようなお客さまに選ばれる人材へと導きます。顧客満足と企業価値のさらなる向上のために、ぜひBSPをお役に立てていただければ幸いです。
資生堂トップビューティースペシャリストに聞いた明日から実践できる印象&接遇アップ
お客さまに好印象を与えるメイクのコツ
チークとリップをニコッと微笑みながらメイクすることで、笑顔の印象が高まります。
◯チーク
ニコッとした時にほおが一番高くなる部分に、ふんわりと丸く入れます。
◯リップ
ニコッとして口角がキュッと上がった状態で、口角側から「く」の字を書くようにリップラインを描きます。
さらにご自身のパーソナルカラーを用いてアイテム選びをすると印象がぐっとアップしますので、ぜひ取り入れてみてください。
お客さまに好印象を与えるコミュニケーションのコツ
3つのポイントを意識するだけで信頼感が高まり、円滑なコミュニケーションに繋がります。
①目線を合わせた笑顔
何よりまず目線を合わせることで心が通い合うはず。笑顔はいつも同じである必要はなく、相手や話の内容に合わせた自然な表情を意識しましょう。
②傾聴・共感
ただ聞くだけではなく適度なあいづちや共感を示すことで、お客さまは安心して話すことができ、本音を引き出すことにも繋がります。
③ミラーリング
相手の表情や動作をほんの少し真似ることをミラーリングと言います。例えば話すペースや表情を相手に合わせることで、会話がスムーズに広がっていくということが期待できます。
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