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感性研究

感触研究

■触覚メカニズムの解明

資生堂は世界のお客さまを知るために、皮膚科学的な観点はもちろんのこと、各地域における肌状態、美容意識、美容行動、生活環境などについてグローバルお客さま調査を行っています。さらに多様な肌状態や価値観を持つお客さまに気持ちよく化粧品を使用していただくために、科学的な視点で気持ちよく感じるメカニズム研究を進めています。
お客さまが求める感触の化粧品を開発するために、多くの研究は社外のさまざまな分野の著名な研究者と共同で実施しており、得られた最先端の知見は社内だけに留めず、学術発表を精力的に行い学術領域へも貢献しています。
ヒトがどのような物理特性を感じ、触感を判断しているかのメカニズムを解明するために、ヒトの感覚を客観的に測定する心理物理学実験に着目した研究を行っています。複数の物理特性から触感に寄与する物性を特定するこの実験により、柔らかさを感じるには柔軟性に加え、表面の摩擦状態も影響することを発見しました。※1

  • 1:N. Arakawa et al, IEEE World Haptics Conference, 2019

ヒトの触覚を客観的に測定するための物理実験風景

ヒトの触覚を客観的に測定するための物理実験風景

■触感メカニズムを反映した、触覚センサ「HapLog®」の開発

指が肌に触れて感じる触感はとても繊細です。そこで触感メカニズムで特定された物理特性を定量化した、指の指紋部を覆わず接触力を測定できる指装着型の触覚センサ「HapLog®」を世界ではじめて開発しました。これを用いると、肌や化粧品の触感の違いを精査に評価することが可能になります。
そしてこのHapLog®を用いて化粧品を塗布している時の接触力を測定し、専門技術者と一般の方との塗布動作の違いを定量化することに成功しました。※2
他にも肌をなぞる時の振動を高精度に定量化する触覚センサを開発し、肌状態の評価を行っています。※3
今後はこれらの触覚センサを用いて、化粧品の感触の有効性を定量的に評価し、心地よい触感を実感していただける化粧品開発へ活かしていきます。

  • 2: M. Kakizawa, IFSCC Magazine 2013
  • 3: N. Saito, IEEE World Haptics Conference 2019

指装着型の触覚センサ「HapLog®」

指装着型の触覚センサ「HapLog®」

脳科学・心理学研究

■化粧品に対する気持ちの変化を脳科学研究で解明

新しい化粧品を使い始める時のワクワク感や、使い慣れた化粧品に対する安心感など、化粧品に対する気持ちは使用経験によって変化していきます。しかし、愛用する化粧品に対する脳活動の特徴はこれまで知られていませんでした。資生堂は、化粧品に対するひとの気持ちを深く理解するため、2つのfMRI実験を行い、普段使用している化粧品にふれている時の脳活動を確認しました。 化粧品の初期・長期の使用に関する2つのfMRI実験から、それぞれ異なる対人関係状態に見られる脳活動と類似する脳活動を確認しました。

fMRI画像水色部分:使い始めたばかりの化粧品に対する脳活動例

fMRI画像水色部分:
使い始めたばかりの化粧品に対する脳活動例

■錯視効果研究

錯視とは、「対象の本来の性質とは異なる視知覚」のことをいいます。
メイクアップをすることで、実際の素顔よりも目が大きく見えたり、顔の形が変わって見える現象は錯視の一つと捉えることができます。そこで、大阪大学人間科学研究科森川研究室との共同研究により、これまで主観的に表現されることが多かったメイクアップ効果について、錯視(知覚心理学)研究で用いられる方法を活用して定量的な検証を行いました。

知覚心理学の研究で用いられる心理物理学的測定法を用いて、アイメイクによる錯視効果を定量化しました。まず、モデルにアイメイクを施した顔写真を標準刺激(測定の対象)としました。次に比較刺激(目の大きさのモノサシ)として、同じモデルの素顔の目の大きさのみを段階的に拡大・縮小した画像を作成しました。同一モデルの標準刺激と比較刺激を一枚ずつディスプレイの左右に提示し、お客さまに目が大きく見えると感じた方を選択してもらいました。標準刺激と比較刺激どちらを選ばれるかで、比較刺激の目の大きさを拡大、縮小し、その上で再度お客さまに目が大きく見える方を選択してもらうという手続きを何度も繰り返すことにより、アイメイクを施した顔の目の大きさの主観的等価点、つまり、アイメイクによって目が何%ぐらい大きく知覚されたかを測定することができます。
結果の一例として、真ん中のアイラインやつけまつ毛によりアイメイクをした顔は、素の目の大きさを縦横6.4%大きくしたもの、すなわち面積では113%大きく知覚されていることがわかりました。 また、一連の研究の結果、アイシャドーの使用により、確かに素顔より目が大きく知覚されることもわかりました。
メイクアップの知覚的な効果を科学的に検証し、さらにメイクアップの奥深さを効果的にお客さまに伝えるために、錯視の研究手法を用いて研究をしています。

さまざまな五感

同じモデルの素顔の目の大きさを段階的に拡大・縮小した画像

アイラインとマスカラによる錯視効果

香り・匂い研究

■緊張によるストレスで、皮膚から特徴的なニオイが発生することを発見

1999年に、資生堂が加齢にともなって発生するニオイの原因物質「ノネナール」を発見しました。今では一般的に使われている「加齢臭」という名前も、資生堂が命名しました。 そして今回、皮膚表面から放出される気体(皮膚ガス)に着目し、緊張による心理的ストレスが加わることで特徴的なニオイが皮膚ガスとして放出される現象を発見し、その成分として2化合物を特定しました。
これは、2017年4月に発表した「ノネナール(加齢臭)が皮膚ガスとして皮膚表面から放出されている」という知見に続く皮膚ガスの研究成果です。今回の知見は皮膚ガスが生理的に重要な指標であり、心理的変化も捉えることが出来ることを示すものです。また、このニオイに対して、強いニオイでマスキングするのではなく、ニオイを包み込んで目立たなくする独自のSTアンセンティッド技術を開発しました。

  • 主要成分がジメチルトリスルフィド(dimethyl trisulfide, DMTS)とアリルメルカプタン(allyl mercaptan, AM)であることを見出し、 この2成分を「STチオジメタン」と名付けました。

ストレス臭の原因となる「STチオジメタン」

ストレス臭の原因となる「STチオジメタン」